2017年初頭の4大トピックで取り上げたようにベトナムの携帯電話では、急速に4G(LTE)の利用者が増えています。そこで今回はベトナムの4G拡大状況や各種データを基にした今後と見通しについて調べてみました。

1.ベトナムで4G開始までの経緯

東南アジアでは2011年にフィリピンで最初に4Gのサービスが始まり、タイ・マレーシア・ブルネイ・インドネシアでは2013年から4G開始、ラオスは2014年、カンボジアは2014年の第4四半期から4G開始と各国で4Gサービスが始まりましたがベトナムでは、2012年に初めての4Gテストが行われたものの、商用サービスは2016年10月のライセンスが下りてからと一番遅い状況でした。

ベトナムにおいて4Gの展開が遅くなった経緯については、こちらの記事で紹介されていますが、3G開始時に通信方式の選択あたって失敗したことが影響しています。

時系列でベトナムの4G展開を調べてみると・・・
◆2015年にトライアルライセンス交付
◆2015年12月12日 Viettelがブンタオで試験開始
ダウンロード132Mbps、アップロード44Mbps
◆2016年1月18日 Vinaphoneがホーチミンとフーコック島で試験開始
ダウンロード231Mbps、アップロード33Mbps
◆2016年7月1日 mobiphoneがホーチミン・ダナン・ハノイで試験開始
ダウンロード225Mbps、アップロード75Mbps
◆2016年10月 4Gの商用ライセンスが計4社に交付される
◆2016年11月3日 フーコック島で4Gの商用サービス開始
3Gの速度7.87Mbpsに対し、4Gは40~80Mbpsほど
◆2017年4月18日 Viettelがベトナム全土で4Gの商用サービス展開完了
3Gの速度7.87Mbpsに対し、4Gは30~50Mbpsほど

シェアNo1のViettelは、一早く4Gの展開を完了したと発表していますが、2016年1月に発表された国の政策上は、2020年にベトナム95%の地域で4Gを利用できるようにする計画となっています。

各社とも4GのSIMへの無料切り替えキャンペーン中

またベトナム3大キャリア(Viettel、MobiFone、Vinaphone)とGTELの計4社は、Band3(1800Mhz、LTE FDD)にて4Gのライセンスを取得しています。1800Mhzは、ベトナムにおいて2G(GSM)でも使っている周波数ですが、日本ではドコモやソフトバンクなどが利用しており、日本のスマホをベトナムで使う際も4Gの電波を掴むことができそうです。

なおViettelでは、将来的に現在TV放送などで使われている700Mhz帯を使って山間部や田舎など広範囲をカバーできる4G展開を考えており、またベトナム政府として2017年中に4G利用の為の2600Mhz帯オークションが実施される予定です。

2.ベトナムの4Gは世界最安値レベルの通信費用

さらに調べてみると世界各国における4G(LTE)の1GBあたりの料金比較では、開始して半年しかたっていないにもかかわらずベトナムが世界最安値レベルであることもわかりました。(国際電気通信連合ITU発表データより)

・アメリカ:20ドル
・スペイン:11.6ドル
・イギリス:11.3ドル
・シンガポール:10ドル
・タイ:5.4ドル
・スウェーデン:5ドル
・デンマーク:4ドル
ベトナム:1.75ドル
・フランス:1.37ドル
・インド:0.7ドル

事実、ベトナムでシェアが一番大きいViettelにおいて料金プランを見てみると
・1GB/月=4万ドン=約200円
・2GB/月=7万ドン=約350円
・3GB/月=9万ドン=約450円
・5GB/月=12.5万ドン=約625円
と日本の格安SIM(データ専用)と比べても半額以下、ベトナムのSIMは通話もできるのでそれも考えると数分の一の金額水準です。よってベトナムの所得水準でも十分に利用しやすい金額設定となっており、利用者増加に繋がりやすい環境にあります。

また通信品質の面でも、例えば上記の画像はVinaphoneの4Gを使った筆者自身の実測値ですが、実測値として20Mbpsのダウンロード速度が出ており、安くてもそれなりにスピードが出ていることがわかります。

3.ベトナムの4G利用者数とカバーエリア

3Gも含めて加入者が一番多いViettelについてのみ、5月3日にデータの発表がありました。4Gの利用者は、2017年4月時点で300万件であり現在1日あたり6~7万の加入者が4GのSIMへ切り替えています。

また4Gデータパッケージが好調で4月は月間40万件の4G利用者増加。またViettelへの新規利用にしても10,600件/日だったのが、正式に4Gサービス開始後15,900件/日に増加しました。インフラの面でも6か月間で3.6万件の4G基地局を設置して(3Gの基地局3.5万件よりも多い)、早々と今年4月にはベトナム全国すべての省や都市で4Gの利用が可能になったと発表しています。

山間部でも移動式のアンテナ車を活用し4Gサービスを提供している

シェア2位と3位のVinaphoneやmobifoneについては、利用者数データが無いもののキャンペーンの展開など出遅れ感があり、「Vinaphoneでは5月末まで2.1万件の4G基地局を設置、さらに3000の基地局を設置予定」といった4G展開状況を見ると2社合わせて4Gの利用者はおそらく100万以下、よってベトナムの4G加入者は現時点で推定400万人くらいと予想できます。

4.ベトナムの4G利用者急拡大が予想できる理由は?

人口9,270万人からすると4G加入者はまだ少ないですが、2017年中に4Gの利用者は大幅に増える(おそらく3~4倍の1200万~1500万くらいはいくのではないか?)と予想することができます。そう考えた理由は、既に述べたような安い通信料金と一気に広がった4Gエリアに加えハードウェアの点でも2つの理由があるからです。

(1)ベトナムの4G(LTE)で使っている周波数帯の対応機種が多いこと
(2)ベトナムで売れているスマホの価格帯が、4G対応の中~高価格帯にシフトしていること

この2つについてそれぞれ説明いたします。

スマホSHOPでは4Gの宣伝が目立つ

(1)ベトナムの4Gで選択された周波数Band3(1800Mhz)及び、将来のオークション後Band7(2600Mhz)については、これらの周波数に対応した機種数が、他の周波数帯に対応した機種数よりも多いという特徴があります。2016年10月の時点における世界で販売されている4G対応機種においては、

◆band3(1800Mhz) 3,889端末(デバイス)が対応
◆band7(2600Mhz) 3,566端末(デバイス)が対応
◆band1(2100Mhz) 3,094端末(デバイス)が対応
◆band20(800Mhz) 2,173端末(デバイス)が対応

それゆえベトナムの4G周波数(1800Mhz)に対応したスマホは、ローエンドからハイエンドまでベトナムに入ってきやすく、また種類も豊富になることから結果4Gの利用者増加に繋がると思われます。

(2)もう1つは、ベトナムで売れているスマホが安さではなく中~高価格帯へと変わっていることです。以下は、ベトナムのメディアに掲載されていた金額帯ごとの販売シェアの推移になります。

ベトナムにおいて2013~2015年前半くらいまでは、安いスマホ(300万ドン=1.5万円以下)が売れていたものの、現在ベトナムでは、売れ筋が中価格帯(450~1,000万ドン=2.3~5万円)へとシフトしています。それゆえベトナムで安さをウリにして購入者が多かったNokia 520やAsus Zenfone 4(いずれも4G非対応機種)は、売れなくなりました。

こういった市場の変化に伴ってスマホメーカーは、安い機種よりも金額を上げてスペックを向上させた機種に力を注いでおり、例えばHTCはベトナムにおいて中~高価格帯への製品集中を計画しているとメディアへ匿名で語っています。

リサーチ会社GfKによると、2017年3中旬~4月初頭のベトナムの売れ筋TOP10に入ったスマホは、
◆300万ドン(1.5万円)以下:Samsung社 Galaxy J2 Prime
◆300~500万ドン(1.5~2.5万円):Oppo社 A39
◆500~700万ドン(2.5~3.5万円):Galaxy J7 Prime、J5 Prime、Oppo社 F1s
といった機種で全て4Gに対応しております。

量販店にて撮影(2機種はいずれも4Gに対応)

実際に量販店にいって販売価格と機能を調べてみると、安い機種で300万ドン(1.5万円)くらいから4G対応をしており、このことから販売されている70~80%の機種が4Gになっていることがわかるので、この点からも4G利用者の大幅な増加が期待できます。

ベトナムにおける携帯電話販売台数は、2015年に1,410万台で、2016年は1,940万台と以前予想されており(結果は未確認)、この数値を基に上記で上げた点を考えると2017年末までに4G利用者数が1200~1500万というのは十分にあり得るのではないでしょうか?

なお、以前書いたように4G利用者が増えることでEC利用の増加も見込めますし、ベトナムの内需を狙ったITビジネスの可能性が広がると期待できます。

5.ベトナムのITビジネスならご相談下さい

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