ベトナムでは、銀行によるクレジットカード発行競争(商品の多様化)に見られるように、銀行振り込み、カード払い、電子マネーといった非現金決済(キャッシュレス取引)が拡大しているものの、まだまだ現金による商取引も多く、先日取り上げたFacebookを使った直接販売の拡大の背景においても、現金取引が馴染みやすい社会環境があるからと考えられます。

そこで今回は、ベトナムにおける現金決済と非現金決済の実情、今後について調べてみました。

2016年急拡大した非現金決済とベトナム政府の目標

2017年2月2日にベトナムのNAPASという団体の発表によると、2016年は非現金決済が急増したとあります。2016年の非現金決済における取引総額は、320兆ドン(約1.6兆円)で2015年に比べて50%の急成長でした。この背景には以下のような国策があることがわかりました。

銀行カードにVISAやデビット機能が付くことも多いベトナム

・2016~2020年に現金決済比率を10%以下に引き下げることを目指し、これによりECの加速も目的としているベトナムの首相も認可したプロジェクトがある
・具体的には、全スーパーやショッピングモールといった近代的な小売店舗が参加し、公共料金(水道代、電気代、電話/通信費)の支払いといった取引の70%は、非現金決済へと移行させ、国内の個人及び世帯の半数は、非現金決済へ移行させる
・特に農村部や遠隔地における人々の非現金決済への移行に力を入れる予定で、15歳以上のベトナム国民の70%以上が銀行口座を持つようにする
・この目標は、過去6年間における実績を基に設定されている

では、現状ベトナムの社会インフラ状況において、これが可能なのでしょうか?

ベトナムにおける非現金決済を支えるインフラの拡大

ベトナムにおける非現金決済をDoanh NhanCafefVietnamNewsTaiChinhなど各種ベトナムのメディアから調べてみると、

・ベトナム国内における総支払額における現金支払いの比率(金額ベース)では、2001年23.7%、2010年14.02%、2016年末には12%と減っており(逆に非現金決済が順調に増え)、現在は、金額ベースで88%が非現金決済になっている
・銀行口座総数は、2010年の約1,680万から現在は約6,740万へと4倍の増加
・銀行カードの発行枚数は、人口9,270万人より多い1億1,100万枚
・現在254,000台のカード決済POS端末(2015年末から13%増加)、銀行ATMも17,380台(2015年末から5.39%増加)が稼働中
・ほとんどのスーパーやショッピングモールといった近代的な店舗では、カード払いに対応している

続々とオープンする小売店舗では、ほぼカード決済対応

実際にベトナムで仕事をしていると、企業間取引において2,000万ドン(約10万円)を超えるものは、領収書であるVATインボイスに加えて銀行振り込みなどの非現金で支払った証拠がないと損金算入できない税法上の規制もあり(その為、家電量販店でのパソコン購入の際にも金額によっては、現金での支払いができない)、金額の大きい企業間取引が非現金決済になっているため、金額ベースでの非現金決済が88%という点は納得がいきます。

ベトナムで損金算入に必要なVATインボイス

キャッシュレス社会への移行は簡単ではない理由

しかしインフラは確実に広がっているものの政府目標は、実現困難ではないかという声もあります。理由は信頼性と人々の商習慣、カード保有者の偏りにあります。例えば、

・現在、取引(回数ベース)では、90%が現金取引である点
・オンラインでの納税は2014年に始まり全ベトナム企業の95%がシステムに登録しているものの、多くのベトナム企業はそれを利用していない点
・ECが急速に拡大しているものの、ECサイトのカード決済は信用されていない為、引き続き現金取引(代引きによる現金払い)が好まれている
・電気代の支払いも、電気契約者の18.7%、たった450万人しか非現金決済方法(振込等)で払っておらず、残り8割以上は現金払いをしている点
・昨年10月で大都市の90%がカードを所有しているもののその人々は、全人口9,270万人からしたらわずか15%でしかない点
・ATMは、そのほとんどが大都市にあり、一方で人口の70%はまだ農村部に住んでいる点

ちなみにクレジットカードの場合、支払う場合の金利が非常に高いことも原因の1つですが、人々のカード払いにおけるセキュリティ上の不安が解消されていない点も、カード所有率に比べて決済がそこまで増えない理由の1つと考えられます。

EMVチップが内蔵された銀行カード

中央銀行としては、2020年までにすべてのATMカードを偽造されやすい磁気形式のカードから、安全性の高いEMVスタンダードチップが内蔵されたカードへの切り替え行う予定ですが、これだけで一気に人々のカードに対する信用が高まりキャッシュレス社会に移行できるかというと怪しいですね。

安全性や信頼性が欠けている実例

上記で上げた信頼性が低いの一例として筆者自身もレストランで食事をし、ベトナム国内の銀行カードで支払ったところ、銀行から決済完了のSMSが飛んできたのにお店側の端末から正しく伝票が出て来なかった為、決済が成功したのか定かではないと言われ後でカードへの返金処理をするからという理由で、現金での支払いを求められましたことがありました。

現金で支払いをし2日経った現時点においてもキャンセル処理は正しく進んでいるのか連絡もなく不明なままです。こういったトラブルが積み重なって、実際にベトナムにおけるカード決済への信頼性が損なわれているのではないかと自らも実感した次第です。ベトナムの銀行カードでは、ATMでの入出金や決済の都度SMSを使った通知機能が付くケースが多い(有料オプションの場合もある)

一方でベトナムにおいてもオンラインコンテンツなど現金では買えないものが出てきており、スマホを使った個人間送金サービスなども盛んに広告されていますので政府の目標ほどには、すぐに達しないかもしれませんがキャッシュレス社会は徐々に浸透していくものと思われます。

スマホを使った送金サービスの広告もよく目にするようになった

ベトナムにおいて銀行カード決済のセキュリティや安全性を高めるようなITソリューション、人々の不安感を超えるくらい便利やお得なサービスには、ビジネスチャンスがあるのではないかと思われます。

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