2017年11月27日付のベトナムメディアbaodautuによると、サムスン電子ホーチミン・コンプレックス(SEHC)は、研究開発センター(R&D)の運用を開始し、ホーチミン市研究開発センターによってSEHCコンプレックス(SHRD)に研究開発センター(R&D)を正式に開設しました。また、R&Dセンターとともにサムスンブリーフィングセンター「EBC」を正式に立ち上げ、ベトナムの東南アジアで最大のエンタープライズソリューションセンターが完成したと考えられています。
今回は、いまベトナムで熱いサムスン電子、そしてその親会社であるサムスングループについて調べてみました。(タイトル画像は、2017年12月5日付のHANOITIMESより引用)

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1. サムスングループとは? サムスン電子とは?

1938年に設立されたサムスン商会がサムスングループの起源です。1997年のアジア通産危機で経営難を迎えるも、採算性の悪いグループ企業を一気に精算し、将来性の高い事業に集中的に投資する「選択と集中」をより一層高めたことで、現在では電子・電気機器メーカーとしてはトップクラスの売上を誇っています。サムスングループ全企業でも韓国の国内総生産の20%を占めています。

サムスン電子は、そんなサムスングループの一企業で、常に他社を上回る莫大な投資をし、研究・開発に多額の資金を投入している企業です。このような大型投資は非常にリスクが高いため、膨大な市場や技術の発展に関するデータ集めを徹底して行っています。

2. サムスン電子がベトナムで発展した経緯

2016年発表の論文「サムスンのベトナム進出とその影響」によると、ベトナムは1980年代まで旧社会主義圏を中心に、対外経済関係を構築してきましたが、1980年代末に最大の援助国・地域であったソ連と東欧が崩壊したことによって、改革開放政策を進めざるを得なくなりました。

1986年にベトナム政府は 「ドイモイ」という政策に踏み切りました。これはベトナムが1976年の南北ベトナム統一以来行ってきた社会主義を捨て、新しい国づくりへ方向転換するというものです。(「ドイモイ」とは「DoiMoi」と書き、日本語で「刷新」という意味です。)ドイモイにおいて市場経済の導入や国際協力への参加を進めることが決定され、ベトナム政府は外国資本の対ベトナム資本を積極的に呼びかけてきました。その結果、2007年にはWTO加盟国となり、国際ルールに沿った投資・ビジネス環境改善の期待が高まりました。サムスングループはこの時期から本格的に対ベトナム投資を開始しました。

2009年には本格的にベトナムに進出するようになり、バクニン省では携帯端末工場を稼働し、製造拠点となりました。2012年にはサムスンの活躍で19年ぶりにベトナムが貿易の黒字転換を起こし、2013年にはベトナムから239億ドルを輸出し、ベトナムで初めて衣料品輸出を上回って携帯端末が第1位の輸出品となりました

(画像は、2017年4月12日付のBAOMOI TONGHOP.NETより引用)

この時点でベトナムの総輸出に占めるサムスン製品のシェアは18%に上っており、2014年にはベトナムの最大直接投資家となりました。

サムスングループの進出により、ベトナムは非常に短い期間で携帯電話をはじめとする耐久消費財生産国となりました。

ーブイ・ディン・タン「サムスンのベトナム進出とその影響」、コトバンク「ドイ・モイ政策」より―

3.  優秀なベトナム人材に目を付けた、サムスングループの今

ベトナムでの部品調達率は2015年時点で35%、2016年時点で51%に達しており、部品などを供給する地場企業は2016年時点で198社となっています。また、サムスンはベトナムの輸出総額のうち、2015年時点で20%、2016年時点で22.7%を占めています。このようにベトナムはサムスンの製造拠点として利用されてきました。

2016年にサムスングループは、R&Dに127億ドルを投じました。それとともに、サムスンブリーフィングセンター「EBC」を正式に立ち上げたことで、東南アジアで最大のエンタープライズソリューションセンターが完成したと考えられています。このことからサムスンは製造の拠点としてだけでなく、ベトナムを研究開発の拠点としても利用したいと考えていることが分かります。

ではなぜ、研究開発の拠点もベトナムに置くのでしょうか? その理由はベトナム人材にあります。

 

(画像は、2017年9月28日付のTHE WORLD BANKより引用)

ベトナムは近年、教育にとても関心が高くお金をかけている国です。1歳半の幼児は、公立の幼稚園に入園後にはすぐに算数やアルファベットを教わります。子供により良い教育を受けさせたいと思っている大人も多いようで、子供の教育費に親は大変多くのお金をかけています。

VIET JOによるとベトナムの学生は2016年時点で、科学的リテラシーで8位、数学的リテラシーは30位、読解力 は21位だそうです。科学的リテラシーにおいてはトップ10に入っており、UCLによるとこれは先進国イギリスより高い順位だそうです。先述のような教育を行っているからこそ、ベトナム人は今研究開発においても注目される人材になっているのではないでしょうか。

2016年12月9日付 VIET JO2017年7月19日付 UCLより-

4. 今後のサムスンとベトナム

サムスン電子の2017年のベトナムの輸出額目標は、前年比7~10%だそうです。さらにベトナム政府は「2020年までにベトナムは工業国になる」という目標を打ち出しており、2014年には「2020年までにGDPに占めるハイテク産業の割合を45%にする」という方針も発表されていました。

(画像は、2017年2月17日付Vietnam Investmentより引用)

2016年11月25日付のITproによると、現在世界でスマートフォン利用者数は、2016年時点で約43億人、比率的には半分だそうです。これはまだ世界の半分の人はスマートフォンを持っていないとも言えますし、スマートフォンの買い替えの需要もありそうです。今後もサムスンはスマートフォン市場に参入し、ベトナムの製造拠点としての機能は続くと思います。

また2017年11月30日付のVOA vietnameseの記事によると、ベトナムに今年設立された研究開発センター(R&D)には、洗濯機、掃除機、冷蔵庫などの家電製品の研究開発も行っていくそうで、サムスンは今後家電の開発や販売にも力を入れていきたいようです2017年4月11日付のLicoriceによると、ベトナムでは冷蔵庫やテレビ、炊飯器を8割ほどの人が持っていたのに対し、日本ではどの家庭にもある掃除機、電子レンジは2割程度の人しか持っていないとのことでした

ベトナム在住の10~40代の男女500人のさまざまな家電の所有率

(画像は2017年4月11日付のLicoriceより引用)

また、求人・転職情報サイト エイチアールリンクの2017年の記事によると、最低賃金も2015年から2016年にかけては13%ほど、2016年から2017年にかけては7%ほど増加しています。これは先述したような教育方法でベトナムのGDPが上昇し、最低賃金も上昇したと考えられます。これにより、家電もより手が届きやすいものとなり、需要が増大していると考えられます。

5.  ベトナムを研究開発の拠点として利用するなら・・・

ベトナムへ進出されるなら、若くて優秀なエンジニア達とホーチミンで約9年、オフショア開発・アプリ開発を展開しているバイタリフィバイタリフィアアジアへお気軽にご相談ください。上記のようなベトナムのビジネス情報提供に加えて、オフショア開発のリスクや費用を極限まで抑えた『拠点開設プラン』も用意しております。またベトナム向けIT・WEBサービス/アプリの開発支援、ローカライズ、テストマーケティングといった進出支援に加えて、日本や他国向けのオフショア開発やアプリ開発も行っております。ご興味がありましたら、ぜひご連絡下さい。