年末ベトナムの経済ニュースを見ているとよく目にするのが不動産の高騰に関する記事です。一部では、2007年頃の不動産バブル再来とも言われる状況について報道内容などからその背景を調べてみました。

New 2018年2月5日(月)に東京(渋谷)でAIビジネス活用セミナー&懇親会開催。AI開発の実情からベトナムでのAI活用事例も紹介!

1. 高騰するホーチミンの土地価格

12/28付のVNEXPRESSでは、「ホーチミンの土地価格において、政府の公示価格と市場価格の乖離が顕著である」と報じています。

これは今に始まったことではなく公示価格が発表された2015年の時点においても乖離があり、当時の公示価格は市場価格の30~40%に過ぎなかったとありますが、その後2~3年ほどでホーチミンの土地価格は2015年に比べて2~2.5倍と大幅に上昇したため乖離が大きくなり、今や公示価格の地価は市場価格の10-20%に過ぎない水準となりました。

また場所によってもバラツキがあり近年急速に価格が上がった9区などでは、現在公示価格は市場価格のわずか5~7%に過ぎず、実際の土地価格は14~20倍も高いことになります。

9区は中心部よりも東側、建設中の地下鉄の沿線沿いにあるエリア

その他2区、GoVap、ThuDuc、CuChiといった土地の公示価格の一部は、市場価格の10%未満であり実際には10倍以上も高騰していることになります。いずれも短期間で価格が急騰した証拠と考えられます。

郊外にもベトナム人向けマンションなど高層建築が増えている

こういった価格上昇を受け不動産取引件数も活発であり、12/27のニュースによると2017年第4四半期の不動産取引件数は、ハノイ5,959件、ホーチミン9,336件で圧倒的にホーチミンが多く、特に高額な物件が第1四半期よりも活発だったとも報じられています。

2. 海外から流れ込むベトナム不動産投資マネー

不動産高騰の理由の1つとして考えられる、外国からベトナムへ投資を見てみます。(12/27付のZingのニュース記事より)

2017年中の海外投資家からのベトナム新規投資(新規、増資、拠出)などの合計は、358億8000万ドルとなり、2016年に比べ44.4%増加しました。その内訳は、

1位「製造業と加工業」:158.7億ドル(総投資額の44.2%に相当)
2位「電力の生産、流通」:83億7000万ドル
3位「不動産業(不動産投資)」30億5000万ドル(総投資額の8.5%に相当)

であり、年間で約3,500億円近くものお金が不動産関係に流れ込んでいることがわかります。ベトナムのGDPは、先日書いた通り2017年でもまだ約25兆円ですのでこの金額の影響は大きいです。

活発な不動産投資により奇麗なお店も増えている

また12/29のニュースでは、2017年1~11月にホーチミンだけで外国からの不動産セクターへの投資が10億ドルにもなったとあり、外国からのホーチミンへの直接投資(FDI)の51%にも相当します。2017年は、2016年の同期間比3倍の不動産投資額あり、過去10年で見ても最高額です。

ちなみにこれまでの累計で見ると、投資計画庁から12/20時点で24,748件(3,187億ドル)の有効な投資プロジェクトがあると発表されており、その内訳は

1位「製造業と加工業」:1,861億ドル(総投資額の58.4%に相当)
2位「不動産業(不動産投資)」531億ドル(総投資額の16.7%に相当)
3位「ガスや水の生産と流通」:208億ドル(総投資額の6.5%に相当)

になります。ベトナム投資と聞くと工場設立などの製造拠点開設を思い浮かべる人が多いですが、2番目はこれまでに約6兆円ものお金が流れ込んでいる不動産業(不動産投資)という結果でした。

3. 2017年は、どこからどのような投資が多かったのか?

ではお金の出し元を見ていきます。2017年ベトナムへの投資国では、4年ぶりに日本が最大の投資国となり、

1位:日本:91.1億ドルで総投資額の25.4%
2位:韓国:84.9億ドルで総投資額の23.7%
3位:シンガポールで53億ドル

となりました。2017年、個別の大型プロジェクト(投資)で見ると

<日本>
◆丸紅のBOT Nghi Son 2火力発電所:27.9億ドル
◆住友商事のBOT Van Phong火力発電所:25.8億ドル
◆三井石油開発のキエンザン省ガスパイプライン(12.7億ドル)
<韓国>
◆サムスン社の大型工場:25億ドル
◆ロッテグループのホーチミン2区Smart Complex:8.85億ドル
<シンガポール(ベトナムと合弁)>
◆BOT Nam Dinh 1 火力発電所:20.7億ドル
◆B-O Monガスパイプライン:12.7億ドル

であり、日本が首位だった理由の1つは大型の投資案件があったことがわかります。こちら12/27付の日経記事によると、『投資件数は23%増の1,025件と初めて1,000件の大台を超え過去最高。中小の製造業、流通、サービス業の進出が増えた』とありますが不動産業は書かれていないため、そこまで多くないのかもしれません。ちなみにBOTとは、(建設・運営・譲渡)方式のことです。

日本からのODAによるホーチミンの地下鉄工事

一方で上記、韓国によるSmart Complex開発案件に加え中国・台湾・香港などからは、大型の不動産投資が目立ちます。例えば、

◆香港の周大福などによる南ホイアンのカジノプロジェクト:40億ドル

◆中国のChina Fortune Land Development GroupがVinaCapitalからDai Phuoc Lotusの全株式をベトナムの会社から1000万ドルで購入(4月実施)

◆台湾のPH Groupがビンズオン省の Bau Bang工業団地をBecamex Group から購入し、さらにニャチャンでFuture Otis hotelを取得(5月)

◆香港のSunwah Groupによるホーチミン市ビンタン区Nguyen Huu Canh通での2億ドルの不動産開発

などがあり、世界的な低金利を背景とした金余りの中、投資先を求めベトナムの不動産セクターへ大きなお金が流れている様子が伺えます。

4. ベトナム人による会社設立でも不動産業が大幅に増加

次に海外からではなくベトナム資本の会社の動きを見てみます。こちらの記事によると2017年、ベトナムで新規設立や休眠中から復活した会社の合計は、153,300社(内、新規設立会社は126,000社)であり、その内、不動産事業の会社は5,065社も設立され、1日あたり14社も設立されていた計算になります。

再開発などのビジネスチャンスを狙って不動産業への参入が相次いでいる

またそれら不動産会社の合計登録資本金は、388兆ドン(約1.94兆円)を超え1社あたりの平均登録資本金は770億ドン(約3.5億円)にもなります。設立企業数に占める不動産業の割合では153,300社中の5,065社で3.3%でしかありませんが、新規設立企業の登録資本金総額に占める割合では30%と10倍ほどのインパクトがあります。

また業種別の新規設立会社増加数(2016年の新規設立数と比べてどのくらい増えたか)では、不動産業が圧倒的に多く増加率は62%にもなります。その他の業種と比べると、

◆電気ガス水道など(おそらく販売):34.5%
◆銀行や保険等(おそらく販売):29.8%
◆情報通信業:24.6%増加

であり、高騰する不動産セクターでチャンスをつかもうと続々と様々な会社が参入している実態が伺えます。

5. 2018年もこの傾向は続く可能性が高い

アメリカの利上げなども緩やかなため、2018年も引き続き世界中からベトナムの不動産へお金が流れ込む傾向は変わらないでしょう。また上記には書いていませんでしたが、ベトナム人の不動産信仰/土地信仰、一部の越僑が海外の親族から受け取った仕送りを元にした個人による不動産投資などは、今後も続く見込みです。

一方で所得は伸びているもののそれ以上の速度で値上がりし既に一般庶民では購入できないほど高騰した中心部の不動産や、郊外と中心部を繋ぐインフラ整備の遅れといった問題も発生しています。また過去に取り上げた通り地価高騰に伴ってインフラ整備がさらに遅くなったり、建設しても投資回収が難しいプロジェクトが多数出てくるものと思われます。

活発な不動産投資の一方、途中で資金が尽きて長期間放置されたままの不動産も・・・

様々な矛盾や問題を抱えながらも、ベトナムを取り巻く経済環境が変わらない限り2018年も引き続き、不動産投資が活発である状況が続いていく可能性が高いでしょう。

6. 今年で10年!ベトナム事情にも詳しいオフショア開発会社

バイタリフィバイタリフィアアジアは、2008年から約10年間ベトナムオフショア開発のパイオニアとして蓄積したノウハウを元に、経験を積んだエンジニアを活用したソフトウェア開発を提供しております。スマートフォンアプリ開発、Javascriptなどを活用したシングルページアプリケーション開発に加えて、最近ではベトナムオフショアを活用したAIの研究開発などにも力を入れております。お気軽にご相談くださいませ。

New 2/5(月)開催
AI(人工知能)ビジネス活用セミナー&懇親会 2月5日(月)18:00 東京・渋谷 お申し込みはこちら