ベトナムでは日々様々なニュースが報じられていますが、これらを眺めていくなかで今後2019年に伸びていきそうだと考えられるITビジネスの分野が見えてきます。そこで日本でも注目をされているFintech分野について、既に始まっているサービス事例をいくつか交えて紹介します。

1. 日本からベトナム向けの送金サービス

世界銀行によると2018年のベトナムへの送金額が世界10位の159億ドル(15%増加)で過去最高でした。2016年は118.8億ドル、2017年138.1億ドルとあり毎年増加していることがわかります。

1年前の2017年時点でも世界8位の送金受取国

国際送金受取額には、ベトナム戦争後に国外に逃れた越僑と呼ばれる人たちの親族への仕送りや投資なども大きいですが、最近では海外で働くベトナム人からの送金も含まれており、これは日本も大きく関係している事柄です。

というのもベトナム国外で働く海外派遣労働者は、2018年に7%増加し14万人を超えました。世界28カ国のうち、日本が一番多く6.7万人で台湾が6万人、韓国はその10分の1の6,500人くらいとなります。またこの3ヵ国での平均月収は、1,500万ドン(約7.5万)~2,000万ドン(約10万円)であり、3年間働いた後の平均貯蓄は1億ドン(約50万円)とも報じられています。

さらに今後、日本では単純労働者の受け入れを決定したこともあってベトナム人労働者が大幅に増える見込みであり、日本で稼いだお金を低コスト&迅速に家族に対して国際送金するといったサービスへのニーズは高まるものと考えられます。

一方で現状のSWIFTを使った国際送金の仕組みでは、送金元銀行での手数料、中継銀行での手数料、着金手数料に加えて、為替両替手数料も日本円からベトナムドンでは高額であり、また送金から着金まで時間がかかるといった不便さがあります。

1-1. ベトナムへの送金サービス事例

例えばベトナムには、ブロックチェーンベースの送金サービスとして1回2ドルでの国際送金を実現したcash2vnといったサービスもあります。

日本における外為法といった法規制上の問題はありますが
・日本の電子財布からベトナムの電子財布への国際送金サービス
・暗号通貨を介在させて低コスト&即時送金を実現するサービス
などの分野にビジネスチャンスがあるのではと考えられます。

2. 訪越旅行者向けにQR決済インフラと母国との繋ぎ込み

ベトナムは、あまり知られていませんが国外からの訪越観光客が多く、2018年の観光収入は620兆ドン(約3兆円)で前年比110兆ドン増加。観光客も1,550万人と前年に比べて260万人も増加しています。さらに2019年は1,800万人、2020年には2,000万人まで増やす国家目標を掲げています。

理由の1つとして地理的にアジア各国と物理的に近いことや(ほとんどの都市がフライト時間2~4時間以内で到達可能)、周辺アジア各国の経済発展に伴う海外旅行客が増えていることがあげられます。

観光の際には両替が必要ですが、一部を除きアジア各国の通貨はそれぞれ国際的に使われるハードカレンシーではない為、そのまま持ち込むと両替できないケースや、両替レートが非常に悪くなる(両替手数料が高い)といった問題があり、いったんドルに両替して持ち込み、ドルからベトナムドンへ再両替する必要があるなど不便な状況が存在しています。

2-1. ベトナムのQR決済インフラとの繋ぎ込み事例

この辺の市場を狙っているのがGrabやGoVietといった東南アジア各国で展開している配車アプリであり、母国でのGrabPayチャージ残高を他国での買い物の際にそのまま使える様にしようとしています。

また面白い試みをしているのが韓国のNH農協銀行(Nonghyup Bank)のモバイルバンキングアプリです。ベトナム国内で展開されているVimoというQRコードを使った決済インフラ(3,000店舗が加盟)を活用し、韓国のモバイルバンキングアプリを使ってのQR決済を始めました。ベトナムドン建ての買い物をその時点のレートで韓国ウォン口座から引き落とすとあります。

ベトナムでは政府が非現金決済を国策として進めていることもあってQR決済などが徐々に広がっていく見込みで、こういった”ベトナムの既存ITインフラに乗る”サービスは今後も増えていくと考えられます。例えば日本からは2018年に82.7万人がベトナムへ訪れていますので、日本の電子財布やモバイルバンクアプリをそのままベトナムで使えるようにするといったサービスも出てくるのではないでしょうか。

3. 可処分所得増加に付随して増える保険商品InsurTech

2017年8月7日JETRO資料8ページ目掲載のデータより筆者作成

1人1人の所得の向上に伴い、今後さらなる増加が見込まれるのが「海外旅行」「自動車保有」「民間医療サービス」といった分野です。

そしてこれらに付随する「海外旅行保険」「自動車保険」「医療保険」といった保険商品も拡大が見込める分野だと考えられており、その際に出てくると考えられるのが Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)の融合であるInsurTech(インシュアテック)と言われる分野の保険商品と考えられます。

現在の保険は、年齢や性別などを元に保険料が定まっていますが、例えば健康器具やスマホやSNS内データを活用して

・スマホ内にアプリをダウンロードし、その人の行動特性を見て保険料を設定
(バイクで信号無視やスピードを出しすぎている人の保険料が高くなる)
・普段食べている食事の写真を分析してAIが健康リスクを判断し保険料を設定
・ウェアラブル健康機器からのデータをスマホが取得し健康リスクを判断し保険料を設定

といったインシュアテック保険商品などが考えられます。

3-1. ベトナムのInsurTechサービス事例

スマホアプリ+保険という分野では、INSOというサービスが12月より始まりました。出発6時間前までに搭乗券を買ってアプリ内で保険に申し込めば、飛行機が遅延した場合30分後には保険金を受け取れるといったフライト遅延保険などを発表しています。

保険への申し込みをアプリ上で行って(身分証などの写真もアプリ内で自動認識)、保険加入の証明書もスマホで受け取るといった現段階では単にペーパレスのアプリでもありますが、将来的には個人データを元に保険料が決まる保険商品が販売されてくるものと考えられます。

4. マネープランニング/資産運用に関するツール

2年前にベトナムの生産年齢比率について取り上げましたが、現在ベトナムの人口ピラミッドは下記図のようになっています。

既にベトナム国民の平均年齢は32歳であり、単に若年層が多い国ではなく30代働き盛りの層が厚い国であることがわかります。そしてこの年齢層は、住宅取得や教育費といったマネープラニングの重要度が高い年齢層でもあります。

またベトナムの平均寿命は、世界55位の76.3歳であり既に東南アジアの新興国では第1位の長寿国となっています。(2016年時点WHOデータより)

その一方で都市人口の増加やライフスタイルの変化にに伴い、親と同居してその面倒を見るといったライフスタイルは急速に変わりつつあり、特に40代に差し掛かる層は、身近に迫ってくる老後の資金への関心が高まっていくものと思われます。(ちなみにベトナムの定年は男性60歳、女性55歳。2021年からは、毎年徐々に引き上げられて、最終的には男性62歳、女性60歳となる見込み)

12/28の報道では退職後に向けてのマネープラニングに関する記事が取り上げられており、この中では退職後に関する回答データ(2015年)として、
・老後に貯蓄がすべてなくなることへの不安(82%)
・子供達に迷惑をかけること(92%)
・十分なお金が無くて貧しくなること(92%)
・病気になり誰にも看護されない事への不安(93%)
といった日本人と同様の不安を抱えているベトナム人の一面が見て取れます


上記は、Nielsen社が2018年8月30日に発表した「Q2 2018 Vietnam Consumer Confidence Index」、最終ページ「Chart 4: Spending and saving intentions of Vietnamese consumers, Q2’2018 」から抜粋した余剰資金の使い道についてですが、1位70%で貯蓄を上げており(かつ2位以下に20%以上のを差をつけてる)これは世界平均の53%よりも圧倒的に高い数値となります。

4-1. ベトナムのマネープランニング/資産運用サービス事例

この分野に関わるITビジネスとしては、Money Loverといった家計簿アプリがあり、レシートからの取り込みや自分の銀行口座(ATMカード)と紐づけて出費を管理し、マネープラニングできるサービスが始まっています。

またアプリを使った資産運用という面では、1口5万ドン(約250円)からアプリ上で投資できるFinhayというマイクロインベストメントサービスがあります。11月26日の報道では、資本金で37億ドン(約1,800万円)、50人のベータユーザーから開始して1年後には約3,000人のユーザーとあり、まだまだ小さいサービスではありますが、今後伸びていく可能性がありそうですね。

5. ベトナムでのビジネス展開やソフトウェア開発ならご相談ください

バイタリフィVitalify Asiaでは、ホーチミンで2008年から10年超のベトナムにおけるビジネス経験や、ベトナム人エンジニアを使ったソフトウェア開発経験/実績を活かし、今後ベトナム国内やアジアへ向けてITサービスを開発・展開したい、ソフトウェアを作りたいという企業をサポートしております。

Javascriptを使ったフロントエンド開発』や『アジャイル・スクラムでのサービス開発』、独自の『ベトナム法人設立前にベトナムをお試しできる拠点開設プラン』、『AI導入をお考えの方に精度や効果を無料で確認してから開発の判断ができるサービス』など様々なご要望に対応できます。

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