ベトナムでは、FacebookやGoogleのサービス幅広く利用されていることもあり、そこでのオンライン広告も伸びています。そこで市場規模や彼らを取り巻くビジネス環境について調べてみました。

1. 動画でもこの記事を視聴可能に!Youtubeで配信開始

最初に宣伝となりますが今回、新しい試みとして筆者自身による動画での『ベトナムのオンライン広告市場を紹介』をしております今後も動画を配信していきますので、チャンネル登録をぜひよろしくお願いします。


【2019年最新版】ベトナムにおけるFacebook広告について〜前編〜

【2019年最新版】ベトナムにおけるFacebook広告について〜後編〜

2. ベトナム人は世界平均よりもFacebookを利用している?

さてベトナムにおけるFacebookの存在感は、実感として日本におけるLINEやTwitterの様ですが、まずはどのくらいの人達がFacebookを使っているのかについて紹介します。2018年12月20日の報道によると、

■ベトナムでは、毎日4,200万人が利用し月間利用者数は6,200万人
⇒計算上、月間利用者の67.7%が毎日Facebookを利用

■全世界では、毎日14億人が利用し月間利用者数は22億人
⇒計算上、月間利用者の63.6%が毎日Facebookを利用

ベトナムでは、全世界的な平均よりも毎日Facebookを使うアクティブユーザーが多い事がわかります。

3. ベトナムのオンライン広告市場規模(2015~2019年)

2019年1月14日の報道におけるデータでは、FacebookとGoogleのベトナムにおいてあげる広告収益が急増していることを示しています。ANTS Market Research会社によると、ベトナムのオンライン広告市場規模と両社のシェアは下記のとおりです。

■2015年市場規模2.17億ドル
Facebook:0.8億ドル(シェア37%)
Google:0.65億ドル(シェア30%)

■2016年市場規模3.29億ドル(前年比+51%増加)
Facebook:1.41億ドル(シェア43%)
Google:1億ドル(シェア30.4%)

■2017年市場規模4.96億ドル(前年比+50%増加)
Facebook:2億ドル(シェア42.8%)
Google:1.49億ドル(シェア30%)

■2018年市場規模5.51億ドル(前年比+11%増加)
Facebook:2.35億ドル(シェア42.7%)
Google:1.521億ドル(シェア27.6%)

■2019年市場規模予測6.48億ドル(前年比+17.4%増加)
Facebook:2.75億ドル(シェア42.4%)
Google:1.749億ドル(シェア27%)
その他ベトナムメディア(数千サイトの合計):1.89億ドル(シェア約28%)

市場規模自体も伸びていますが興味深いのは市場シェアであり、2社で毎年7割のシェアを継続的に取り続けているという点と、FacebookのシェアがGoogleよりも高いということですね。

4. Facebook広告は、どのように利用されているのか?

2019年1月19日の報道によると、ベトナムには6,400万のFacebookアカウントがあり、そのうち50万近くがFacebook経由で販売を行っている、さらに10万以上のアカウントがFacebookで広告を掲載しているとあります。参考までに2018年末のベトナムの人口は、9,467万人ですから老人や子供も含めた全国民の3分の2が使っているITサービスとなります。

同記事によると、美容院、歯医者、食料品店などは売り上げの25~30%をFacebook広告に費やしており、衣料品店、靴販売店でも利益の70~80%にあたる金額を費やしているとあります。

ベトナムでは小規模な店舗でもFacebookページを構えて販売活動をしています

広告では、動画を使ったり外部ECサイトへ誘導したり

 
例えば、あるハノイの衣料品店のオーナーは、毎月Facebook広告に5,000万ドン(約25万円)を費やしているとあり、オンライン衣料品販売サイトでは、アクセスを確保するため利益の50~70%相当の金額をFacebook広告に使わざるを得ないとあります。また支払い手段としては、(後述の通り)ベトナムにFacebookの法人が無いため、クレジットカード(VISAやMasterなど)を使って広告費を払っています

5. 徴税できないベトナム政府

2019年1月時点では、GoogleとFacebook共に2ベトナム国内に法人が無いため、ベトナム政府がその広告収入を徴税することができない状態です。

またFacebook広告については、現在ベトナム国内に認可された広告代理店が無く、Googleはベトナム国内に多数の公式広告代理店があるものの、ほとんどの人がネット上でクレジットカードを使い直接支払っている状態であると報じられています。

5-1. 広告費を払っても損金算入できない?

そのしわ寄せは、広告費を支払う側にきています。それは広告費を払っているのに広告費用が損益参入できず(存在しない)利益に課税されるという問題です。ベトナムでは、何か支払いをする際にVATインボイスという領収書を受けとり、それを支払いの証拠として納税申告をする必要があります。また外国企業への支払いにおいては、契約書を交わし外国契約者税(FCT)という源泉徴収をして支払う必要があります。

しかしながらGoogleもFacebookもベトナムに法人が無いためVATインボイスはもらえず、FCTを控除して払った場合はその分を広告費の残高に反映してもらえるか不明です(単に入金額が少ないだけの扱いになってしまう可能性があり)。

ベトナムで損金算入に必要なVATインボイス

また手続きが面倒なことや、GoogleとFacebookに関する税務上の取り扱いを定めたレターが出たのが昨年後半(2018年8月15日Official Letter 3149/TCT-CS2018年12月11日Official Letter 81260/CT-TTHT)ということもあって、損金算入ができていないケースがほとんどと考えられます。

それゆえ広告費を払っている企業/個人側も、経費は認められないのに収入だけ正確に申告して課税されるのはバカバカしいということで、無申告や過少申告をしているケースが横行しているものと考えらえます。

それを可能としているのは、以前にも取り上げたFacebook上での販売であり、Facebook広告を使って集客し、問い合わせ対応をFacebook内で完結して自分でバイクを使いモノを届け、さらに商品の受け渡し時の決済を現金で行うケースが一般的であるといったビジネス環境になります。(結果、ベトナム政府を含めた外部からは、お金の流れが追えない状態になる)

5-2. Google(Youtube)で稼ぐ人からは徴税している

もう1つ、Google(Youtube)などから広告収入を得ている人からは徴税しています。これは、ベトナム国外からベトナム国内の銀行口座に振り込まれるため税務当局が把握しやすい為です。

数百万単位のチャンネル登録数を持ちYoutubeで稼ぐ人も増えている
(上記写真と下記報道内容とは関係ありません)

2018年8月16日の報道では、2014年から2017年にかけて598の組織と17,130の個人がGoogle、Facebook、YouTubeを使って、1兆1,148億ドン(約55億円?)を稼ぎながらも大半が税務申告していなかったとありました。ホーチミン市だけでも579の組織と8,309の個人が7,873億ドン(約39億円)を稼いでいたとあります。38の組織と個人に対して59億ドンの延滞税を請求するなど、この部分ではかなり力を入れて税金を徴収しているようです。

6. ベトナムから見たGoogleとFacebookの問題点

本来ベトナムで商業広告活動を行いたい場合は、2012年に施行された広告法による規制があります。

広告手段自体(例えばFacebook広告など)の宣伝活動を行う場合は、ベトナムに駐在員事務所を設立する必要があり、広告サービス事業活動(ベトナムでFacebook広告収入を得る)を行いたい場合は、いわゆる外資規制として合弁事業および事業協力契約の形でベトナム国内の広告サービス販売業者と協力し投資する必要があります。

一方でFacebookはそのいずれも対応せずに、広告費を受け取りベトナム向けに広告を配信している事になります。当然ベトナムでは税金も払っていない事になります。

6-1. ベトナム政府がとくに懸念していること

またベトナム政府が問題視しているのは、規制品(偽造貨幣、偽造品、武器)に関する広告に加えて、「政治広告」の部分となります。ベトナムは社会主義の為、既存のメディアにおいて言論や表現は、全て政府の統制下にあるもののFacebookはこれだけベトナムで利用されるサービスでありながら管理できない存在です。特に党大会、中央会議といった政治的に重要なタイミングで政治広告が出されてベトナム政府の方針に沿わない世論が形成されるのを恐れていると考えられます。

ベトナムの党大会の様子、baobinhduong.vnより

政治広告は、日本ではそれほどなじみが無いものの、世界的には大きなマーケットになっており、前回アメリカ大統領選挙で盛り上がった2016年5月5日~10日にかけては、Facebook上で2.56億ドル(160万件)の政治広告が出されたとあります。また2018年、世界中で20億ドルがSNSを含むオンライン上に政治広告として出稿されるなど大きなマーケットになっています。

ベトナム政府としては、Facebook広告をなんとか管理下におきたい(特に政治広告は規制したい)、しかし中国の様に完全にサービスをブロックするわけにもいかずといった状況です。

6-2. TVに取り上げられましたという偽広告も発生

また2018年末頃から目立つようになったFacebook広告における社会問題として、VTV、HTV、THVLといったベトナムのTVニュース画面に商品などの画像を当て込みし、いかにも「商品やサービスがTVニュースで取り上げられた」の様に偽造した画像をFacebook広告にする事例が発生しています。

TVに取り上げられましたという偽広告、ニュースサイトbizlive.vnより

今後規制強化の方向に向かう場合、クレジットカード決済を使った広告出稿をできないようにするといった案も出ており、ベトナム国内の銀行やカード会社側に対してFacebookやGoogleへの支払いに対する圧力がかかる可能性があります。その場合、ベトナムの広告代理店を通じた支払いのみに切り替わる可能性もあります。

保有者も増えているクレジットカード、各社差別化をしている

 
こういった状況も踏まえてか昨年12月にGoogleがベトナムに駐在員事務所設立を検討していると報じられています。FacebookやGoogleとベトナム政府がどのように歩み寄っていくのかにより、ベトナムのITを含めたビジネス環境が変わるため、今後もこの分野に注目していきたいと思います。

7. ベトナムでのビジネス展開やソフトウェア開発ならご相談ください

ベトナムでのオンライン広告(Facebook広告)事情については、いかがでしたでしょうか?バイタリフィVitalify Asiaでは、ホーチミンで2008年から10年超のベトナムにおける経験を踏まえ、このような現地ビジネス事情の情報提供も行っております。

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