以前の記事では、ベトナムの可能性を主に書きましたがチャンスがある場所にはリスクもあるわけで、本BLOGでは良い面だけでなく現状の問題点についても皆様に情報を配信致します。今回は、ベトナムは経済的にまだ新興国なので国際情勢の影響をより大きく受けるという点です。
アメリカのFOMCが利上げをしたことで日本でも円安が進みましたが、ベトナムにおいては、以前からその利上げが予想されていたことで、年間を通じて海外からの送金受け取り金額が大きく減るという影響が出ました。
ベトナムの海外送金受け取り金額が減少
ベトナムのニュースサイト『DoanhNhanCuoituan』の記事によると、2016年のベトナム国外よりベトナム国内への国際送金額は当初110~120億ドル(約1.3兆円)と予定されていたものの、中央銀行の現時点における見積もりでは90億ドル(約1兆円)にとどまりそうだと報じられています。
2015年、世界銀行の発表においてベトナムは122.5億ドルを受け取ったとされていたので、昨年に比べても大幅に落ち込んだことになります。
特にホーチミンでは、当初55億ドル(約6,325億円)と予想されていたものが、2016年11月までで43億ドル(約4,945億円)、年末までで50億ドル(約5,750億円)の見込みと10%ほど減りました。
海外からの送金が減った理由は?
その理由として第一には、アメリカからの国際送金が減ったからとあります。ホーチミンへの国際送金額においても60%を占めるアメリカからの国際送金が急減したとのこと。
この要因としては、12月に発表のあったアメリカの利上げです。目下、ベトナムにおいては政府の規制上、銀行のドル預金金利が0%に設定されていますので、アメリカで利上げされるとベトナム国内でドルを持つよりもアメリカ国内にて保持した方が有利となります。(ベトナム政府としては、外貨であるUSDよりも金利が高いベトナムドンに両替を誘導したい=ベトナムドンの購入に持っていきたいため、ドルの金利を0%に規制しています)。
実際の利上げ発表は12月でしたがアメリカの利上げが予想されていたので、発表以前から送金が減っていたと考えられます。またこれに加えてアメリカの大統領選挙でトランプ氏がTPPへの不参加を表明していたことで、アメリカからベトナムへの投資が横ばいになったとのことです。
海外からの国際送金がベトナム経済に与える影響ってどのくらい大きいの?
この影響を知るには、世界銀行が2016年4月に発表した『Migration and Remittances – Recent Developments and Outlook –』というレポートが参考になります。
19ページの『Annex 1: Regional Trends in Migration and Remittance Flows』において、2015年の推計でベトナムは132億ドル受け取ったとされており(その後の別発表で122.5億ドル)、その量はアジアで3位。インドネシアの96億ドル、タイの52億ドルよりも大きい金額です。併せて次のグラフでは、2014年のGDPに占める比率が6.4%で世界8位とされています。
実際の結果では、2015年GDPが1,914億ドルで、受け取り金額が122.5億ドルだったので、2015年も国際送金がGDPに占める比率は、同じく6.4%となります。
GDPの6.4%というのは、統計上の数値としても大きいですが、ベトナム人の消費にも少なからず影響を与えると思われます。というのも例えば、給料500ドルくらいのベトナム人が2,000ドルのバイクや、数百ドルのスマートフォンを利用したり、20~30万ドルの住宅を買ったりするのには、ベトナム国外に住む越僑※から親族にあてた国際送金が原資となっていると言われているからです。(※ベトナム戦争後にベトナム国外へ逃れた方々)
また活発な不動産投資などにも影響が出てくるかもしれません。
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