2016年に発生したニュースから、2017年主にITビジネスでのトピックとなりそうな事柄が『THE GIOI VI TINH』(ベトナム語)にて取り上げられていましたので紹介します。
4G(LTE)のエリア拡大
2016年、3大キャリアへテスト用のライセンスではなく、正式なライセンスが下りて4Gのサービスが始まったベトナム。各通信事業者の4G展開状況は、
(1)シェア最大のViettel
軍隊系の通信事業者(東南アジアでは、軍隊が「銀行」「電話会社」「地上波TV局」などを運営しているケースが多々あります。)
⇒ホーチミン近郊、海水浴場などもあるバリア=ブンタウ及び、ハノイで4G展開中
(2)Mobifone
郵政公社系の通信事業者
⇒11月からハノイ、ホーチミン、ダナンで4G展開中
(3)Vinafone
同じく郵政公社系で固定電話などを手掛ける電話会社VNPT系の通信事業者
⇒ホーチミンやフーコック島で4G展開中
といった状況で、商用4G開始とはいうもののエリアも限られており実質的には試験運用中状態です。また3大キャリア(シェア90%超)に含まれませんが、Gtelという政府機関(公安省)が運営するGlobal Telecommunications社も4Gを開始しています。
しかし3社間の競争もあることから2017年は、ベトナムでも4Gの利用が本格的に始まる(広がる)年になりそうです。
セキュリティ対策が注目される年になるのでは?
2016年は、ホーチミンやハノイの空港が大規模なシステム攻撃を受けて、チェックインカウンターでは手動で対応することになった結果、多くの遅延が発生したり、またベトナム航空のウェブサイトが攻撃を受けて多くの顧客情報の流出が発生。
金融機関でもベトコム銀行や複数の銀行で口座残高が突然消えるといった事件が起こり、社会的なパニックが発生したり、悪質なラムサウェアウィルスによる恐喝も発生。
統計によるとネットワーク攻撃の事件数は、2015年に比べて4倍に増加したとのことなので、セキュリティ回りのビジネスはベトナムにおいてニーズが高まるものと思われます。
ベトナム人による起業、スタートアップが促進される?
これはベトナム政府も音頭を取って行っているようで、以前も「実際には不動産関係などが多かった」と書いた件に関係するのですが、2017年はベトナムでITビジネスの起業が増えるかもしれません。
昨年ヘッジファンドや500社近いシリコンバレーから企業が、ベトナムにおける100~150のスタートアッププロジェクトへ1,000万ドルの投資を行うと発表があり、スタートアップキャピタルと呼ばれる送金サービスを展開するMoMo Vietnamは、スタンダードチャータード銀行やゴールドマン・サックスなどから2,800万ドルの資金調達に成功したニュースもありました。
また、新サービスの開発/起業促進と相反する内容と批判されたベトナムの刑法292条、(おそらくベトナム政府の正式な許可を得ていないという意味で)違法なWEBサービスを規制する条項もキャンセルされたので、ベトナムにおいても新サービスの発表や展開がいろいろと出てくると思われます。
EC市場の競争激化と再編
『1年で3倍に急拡大』でも紹介したベトナムのEC市場ですが、急速に規模が拡大してはいるものの、競争も激しく値引きやプロモーションの乱発で赤字に耐えられなくなり運営の停止や、事業&会社売却まで追い込まれるところも多数出ています。
また事業者同士の競争だけでなく、Facebook上で物を販売する個人(商店や副業感覚のサイドビジネス)が意外にも強敵となっているようです。
Facebookで物を売り買いするといっても、特殊なことをしているわけではなく、Facebookページを開いて商品の写真や価格を掲載、やり取りはメッセンジャーや携帯電話を通じて行い、支払いはATMでの振り込み、同じ街の中であればバイクで自ら運んで行くといったベーシックなものですが、これが脅威となるというのは、既存の事業者に比べてフットワークやレスポンス、サポート対応の良さにあるのかもしれず、その点で既存の事業者は(価格以外の面における)改善の余地がありそうです。
なお競争激化の結果、昨年
・ベトナムで最大手のECサイトLazadaの株をアリババが10億ドルで取得
・家電量販店のNguyen Kim グループがZALORAベトナムを買収
といったニュースが報じられたり、Lingo.vnは突然の解散(従業員解雇)でサイト閉鎖、Beyeu.vn、Deca.vn、Lamido.vnといった競争に耐えられなくなったサイトも閉鎖するなど競争激化ニュースが報じられました。
またECサイトのTikiは1,800万ドル(約21億円)を調達し、取扱商品を増やしてFPT、Sendo、Adayroi、Vingroupなどと戦えるようにした一方で、資金調達後の8か月間において1,570億VND(約7.9億円)の費用を使うなど、急拡大するECマーケットを狙っての激しい競争が続いており、今年も様々な企業の参入や撤退・再編がありそうです。
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