ベトナムでよく見かけるスーパーマーケット「CO.OP mart」が、昨年2016年12月28日に公式発表した新形態店舗「CO.OP smile」へ行って実際に見てきました。「Kinhte Saigon Online」「vov.vn」「congly」など様々なベトナムのメディアでも取り上げられた店舗は、何が違うのでしょうか?

レジの前にカタログが置いてある

サイズは、日本のコンビニより小さい(店によっては半分以下?1店舗あたり20~200平米というサイズ)中で、ペットボトル飲料や袋詰めされた菓子類、洗剤、乾電池などが売られており一見普通の小売店(商品数は1500~2000点)ですが、レジカウンターの前に大きなカタログ(レストランのメニューより一回り以上大きなサイズ)が置かれています。

このカタログに掲載されているのは、
・フルーツ類
・野菜
・魚介類
・生肉類
といった生鮮食料品です。

店内にはこういった生鮮食料品の実物を置いておらず、カタログに挟まっているスリップを取り出してレジで購入すると、3時間以内に無料で配達してくれます。(店舗から5km以内。購入額20万ドン(約1,000円)以上の場合。その金額以下は1回2万ドンの配送費用がかかる。)

ローカライズにあたって参考になる4つのポイント

このモデルは、4つの点でホーチミンの環境に即しているなと考えられます。

(1)最小の店舗サイズで投資効率が良い
ベトナムホーチミンの土地の価格は、特に中心地である1区や3区において非常に高く、またそれに伴って賃料もベトナムの物価水準・所得水準(購買力に影響)と比べれば非常に高くなります。

参考:2015年11月の記事「BUSINESS Retail space more expensive in downtown Saigon than in other big Asian cities

商品販売の粗利総額が少ない割に家賃だけは意外とかかり、それを極端な人件費の安さ=学生バイトなら時給15,000ドン?(時給80円)とも言われる安さでカバーして、採算を合わせていると推測されます。

また中心地において家々が非常に密集しており空き地が少ないため、広大な敷地を必要とするスーパーの新規オープンは、建設費用や時間の面でなかなか大変です。

しかしこの形態であれば、コンビニより小さいサイズで生鮮食料品も含めた幅広い商品を売ることができ、家賃も抑えられ初期投資金額も低い分、短期間に素早くお店をオープンでき、全体的な効率も良いはずです。(失敗して撤退の場合も撤退費用が少なくて済む)

写真:店舗が密集しているなか、小規模なスペースでもこの店舗形態なら出店しやすい

(2)決済についての安心感や幅広い層の取り込みができる
以前紹介したようにベトナムでは、ECサイトで生鮮食料品も扱っているものの、違う商品が届いたor商品が届かないという不安があり、人々は商品の代引きを使って購入するケースが多いです。

また若者はECサイトでの購入に抵抗が少なくても、日本同様に年配の方々はECより実際の店舗での購入に慣れているのでそちらを選びます。

しかし店舗でカタログを見て購入という形であれば、実店舗(しかもCO.OP martという安心感)があり、届かないという不安軽減やスマホを使ったECサイトでの購入ができない方々でも取り込むことができます。

(3)停電時にも問題がない
最近では減りましたがホーチミンでも停電があり、街を歩いていると真っ暗なコンビニを見かけることもあります。

常夏の外気温の中、停電は長ければ数時間に及ぶこともあり温度管理が重要な生鮮食料品(生肉や魚介類)にとって致命的です。発電装置も売られていますが、家々や店舗が密集し庭といったスペースも無い小規模店舗の場合、発電装置の置き場所に困ります。しかしカタログで売るなら、発電装置も完備して空調管理された倉庫で保管できますので停電時も問題ないはずです。

写真:発電量によって大きさが異なるが設置スペースが必要になり発電中は騒音が発生

(4)廃棄ロスなどを減らせる
レジで注文された商品がどこから配送されるのかまではわかりませんが、既存の大型店舗のストックから配送するのであれば、個々の店舗で見込みで在庫を抱えて(生鮮食品なので日持ちがしないゆえ)廃棄ロスや、売り切れによる機会損失を減らすことができるはずです。

公式に発表されたのは、昨年12月28日ですが、既にホーチミン市内の6つの区で計12店舗が運営されており、5月くらいまでにもう8店舗オープンさせて20店舗まで増やし、将来は200~300店舗まで増やすことを計画中とのこと。

このビジネスモデルがどこまで成功するのかはわかりませんが、現地の実情に合わせたローカライズについて教えてくれる1つの実例ではないかと思います。日本企業がベトナムでビジネス展開をするにあたっても参考になるはずです。

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