Amazon.comが電子書籍ブランドとしてKindleを展開していますが、品揃えが圧倒的です。
先日Kindle fire HDを購入したのですが、非常に便利な端末で、かつKindleはAmazonのビジネスを象徴しているような特徴を備えているような気がしたので、Kindle fire HDのレビューと併せてAmazonのこれまでとこれからについて考えてみたいと思います。

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Kindleのおさらい

Kindleは、Amazon.com(または各国のAmazon)が提供している電子書籍サービスです。
出版社と契約してAmazonストア内に商品を出品、購入したら電子書籍データを配信するというサービスです。また、専用リーダーとしてKindle(PaperwhiteやVoyage等)という読書に特化したリーダーデバイスとKindle FireというAndroidベースの独自OSを搭載したタブレット端末を販売しています。

消費者から見たKindle

メリット

とにかく便利です。本屋に行く手間が省けます。
先日友人と食事をしていた時、おすすめの本を教えてもらったのですが、忘れないようにメモする代わりにその場で購入/ダウンロードしました。
メモをとって、書店に立ち寄る際にそのメモを忘れずに持参し、たくさんの棚の中から目当ての本を探し出し、長い列に並んで精算をする……そんな作業が必要なくなってきています。
本を読み切ってしまい、次の巻を購入するまでやきもきする必要もなくなりました。
また、非常に軽量です。
今私のkindleには10冊弱の本が入っていますが、それらをカバンに入れて持ち運ぶことを考えると、あまり現実的では無いと感じますし、少なくとも快適ではありません。kindleだと、小説なら50冊は軽く持ち運べるのでかなり身軽に移動することができます。
これは意外だったのですが、視力に不安がある方にもいいようです。文字を好きなサイズに変更できるので、大きめの文字で読みやすく読むこともできます。

デメリット

紙媒体での本は昔からずっと慣れ親しんだものであり、違和感がある人も多いと思います。
kindleでは、電子書籍に特化したpaperwhiteシリーズやvoyageシリーズではe-inkという紙に近い自然な画面になっており、人によるとは思いますが電子書籍を読んでいる感覚が少しは和らぐのではないかと考えています。
しかしながら、やはり紙だからこその温かみなどは、やはり電子書籍には再現できない部分です。
この部分をどうしても譲歩できない人は大勢いると思いますし、そういう人には電子書籍は向かないと思います。
また、付録をつけることが難しくなります。例えば音源データなどを付録とすることは可能ですが、アクセサリーやカバンなどを付録とすることは難しいです。

kindleなどのアプリ/サービスに見るAmazonの戦略

Amazonのkindleへの注力ぶりには目を見張るものがあります。
もともとAmazonはオンライン上の書店だった(ロゴのAからzに向けての矢印もaからzまでの本が揃っているという意味だそう)ことを考えると納得できないわけではないのですが、それ以上に色々ありそうです。

データは在庫を保つ必要がない

まず第一に、kindleは品切れとは無縁です。
扱いがないという状態や何らかの事情で取扱が停止になった、ということはあるかもしれませんが、売り切れてしまうという状態はありえません。
kindleで販売しているのはあくまでもデータ(.epubという形式のファイル)なので、いくらでもコピーしてそれを配信するだけです。
消費者側から見ても非常に便利なことではあるのですが、それ以上にAmazon側から見てもメリットが大きいです。
まず、不良在庫というものがありません。また、想像以上に売れ行きがよく売り切れ状態を生み出してしまい、その結果売れたはずのタイミングで商品を届けられなかった、という機会損失もありません。
これらは、小売業では非常に大きなリスクとなりうることであるため、これらのリスクを排除できるビジネスモデルはAmazonにとって非常にメリットが大きいはずです。

商流の短縮が可能

作家が筆を走らせた原稿からお手元に届くまで、本は非常に沢山の人の手を介します。
出版社、印刷業者、取次、卸業者、などなど……。
電子書籍だとどうなるでしょう。
作家→出版社→Amazon(kindleストア)
非常にシンプルです。場合によっては出版社を介さずとも取引が可能です。
これによるメリットは、中間コストの削減です。
kindleストアを見ていただければわかるのですが、紙の本より高い場合は稀有ですが、そこまで紙の本と比べて安くはなっていないと思います。
消費者からすれば利便性を享受できているわけですからそれで問題ないんですが、でもこれよく考えると不自然なんですよね。最低でも印刷していない分コストは浮いているはずなので。
これによる問題は、中間業者が立ち行かなくなってしまう未来が見えているという点です。
コンテンツを持っている出版社はまだしも、取次などは紙の本がなくなれば明確に淘汰されてしまいます。これについては賛否両論あると思いますのでここで深く掘り下げるのはやめます。

囲い込み(+リスク回避)

ここはデバイスとしてのkindleについて触れます。
お手持ちのスマートフォンやタブレットに入っているアプリストア(AppStoreやGooglePlay)で「kindle」と調べていただければ、Amazon謹製のリーダーアプリが出てきますよね?
これを使えば問題なくkindleストアの書籍を閲覧できます。
しかしながら、kindleブランドとしてタブレットや電子書籍リーダーを販売しています(それも、fireシリーズに至ってはあまり利益率の高い商品とは言えなさそうです。詳しくは触れませんが恐ろしいコストパフォーマンスです)。
fireシリーズはAndroid OSを独自カスタマイズしたfire OSを搭載しており、GooglePlayもAppStoreもなく独自のアプリストアを持っています。
裏技はあるようですが、基本的にfireシリーズでGooglePlayやAppStoreを使うことはできません。
これがいわゆる囲い込みってやつで、相場よりも遥かに安いタブレットで引きつけて、どんどんAmazonプラットフォームにのめり込んでもらうような戦略ですね。
また、これにはリスク回避の意味も込められているようです。
Amazonの大きな弱点は、インターネットの中ではかなりの巨人なのにインターネットの入り口をApple / Googleに握られていることです。つまり、AndroidやiOS(PCユーザーはWindowsやMac)を使ってユーザーはAmazonにアクセスするわけで、極端な話AmazonにアクセスできないようにされてしまうとAmazonはなにもできなくなります。
独自プラットフォームはそれら巨大プラットフォームに支配されてしまうリスクから少しでも回避しようとしている証拠だと考えています。昔にはタブレットだけでなくfire phoneという名前で携帯電話を売り出した時期もありましたしね。

kindleのような独自サービスを支えるAmazonそのものの地盤

前述の通りkindle fireシリーズは一種の投資という味方をすることができるわけですが、こういった多額の投資ができる背景には、Amazonの企業体質やキャッシュフローなどの特徴があります。

利益より配当より投資

こちらのサイトを見ていただければお分かりいただける通り、Amazonは相当な勢いで売上を伸ばしているものの、営業利益率が非常に低いです。
その背景には、kindleをはじめとする多額の投資があるようです。
また、株主への配当も非常に少ないらしく、基本的に売上から必要経費を引いたお金はすべてと言っていいほど投資に回しているようです。
ちなみに、Amazon全体の営業利益の半分以上はAWS(Amazon Web Services : Amazon.comを運営している強固なインフラを貸し出すサービス)が出しています。
しかしながら、そのような綱渡りのような経営では何かで打撃を受けたら致命傷になってしまうのでは? と考える方もいらっしゃると思うのですが、そのからくりは、以下になります。

圧倒的なキャッシュフロー

キャッシュコンバージョンサイクルという数値をご存知でしょうか?
これは、仕入先にお金を支払ってから実際に店頭にその商品を並べ、販売して現金になるまでの期間を表した数値です。
例えば元旦に商品を仕入れて仕入先にお金を支払い、1/3にその商品を販売したならキャッシュコンバージョンサイクルは3日という事になります。
こちらの記事でお分かりいただける通り、Amazonのキャッシュコンバージョンサイクルはなんと-30日ほど。
つまり顧客から代金を受け取った後に仕入先に支払いを行っているのです。それも30日ものラグがあります。
Amazonの交渉力の賜物なのでしょうか。これなら資金繰りには苦労しなさそうです。
こういった形でキャッシュフローに圧倒的な優位性を持っているからこそ、余すことなくキャッシュを投資に回せる仕組みができあがっています。
ちなみに、同じようにキャッシュコンバージョンサイクルがマイナスの企業として、Apple等が挙げられます。

Amazonのサービス/アプリこれから

前述の強固な地盤に支えられたAmazonは、引き続き投資を行っていくものと思われます。
最近のAmazonの取り組みをざっくり列挙します。

レジいらずの実店舗「Amazon go」

最近流行した某Gotcha!なゲームみたいなネーミングですね。
コンビニより一回り大きい実店舗で、レジがなく、ユーザーが欲しいものを手に取り店を出たタイミングで登録しているクレジットカードに請求が行く仕組みになっているようです。
現在はAmazon社員のみに限定的にオープンしているようですが、どのような仕組みになっているのでしょうか。
それにしても、実店舗の覇権も握られてしまったらとうとう小売業はAmazonの天下になってしまうのでは無いでしょうか。

欲しいときにボタンを押すだけ「Dash Button」

これは海外では比較的前から展開されていたようですが、消耗品、例えばティッシュ等が足りなくなってきたタイミングでDashボタンを押すだけで注文が完了するというものです。
物を買うハードルが大きく下がりますね。
いわゆるIoT的な取り組みです。

注文する前に配達するサービスも!?

Amazon Prime Nowが話題を呼びましたが、更にそれを加速させたような取り組みです。
ユーザーが事前に欲しいと思っているであろう商品を事前に配達しておき、注文した瞬間に届けるというものです。
ここまで来ると若干ホラーな気がしなくもないですが……。

まとめ

いかがでしたか?
小売業という分野でイノベーションを起こし続けているAmazon、これからも目が離せませんね。
バイタリフィでは、ショッピングアプリやオークションアプリなども多数開発させていただいており、ご提案から保守運用まで、ワンストップでお力添えをさせていただくことが可能です。
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