急拡大をしているベトナムのECについて「Facebook上での販売が増えホーチミン市など自治体において徴税困難な状況が発生している」と報じられていたので、その詳細を探ってみます。
目次
Facebookページを使った販売活動の増加
ニュース記事では、現在8万件のECサイトがホーチミンで登録されておりそのうち約半数が実際に運用されているものの、こういった正規に登録されたECサイトでは無い=ベトナムの税務署が把握できない取引が増えたとあります。それは主にFacebookページを使った商品の販売活動です。
扱っている商品は、化粧品、洋服、小物、食品などお店によって様々です。例えば、ハノイやホーチミンといった大都市には昔からハンドキャリーSHOP(旅行者が日本などからハンドキャリーでベトナム国内に商品を持ち込み、商品を販売しているお店)などがありますが、こういったお店もFacebook上での販売を増やしているようです。(本記事内における写真のお店は関係ありません)
生鮮食品をFacebookで紹介/販売しているところも・・・
既存の店舗(家族経営から大企業まで)に加えて一般個人が手軽な副業感覚で、興味のある化粧品やアイテムをFacebookページで紹介し販売するといった流れも増えています。特に20代の女性が多い様です。
具体的にどうやって販売活動をしているのか?
こういったページが増えている背景としては、大掛かりなECサイトの構築、決済システム導入、在庫管理&物流システムといった初期投資・労力を必要とせず、単にFacebookページを作成してそこで商品を紹介するだけという手軽さにあります。
商品紹介を機械翻訳するとこんな感じで説明されていることがわかります
連絡手段として携帯電話番号を掲載し、電話やFacebookメッセージ、ベトナムのCHATソフトzaloなどを使って購入者とやり取りをした後、近距離であれば自らバイクに乗って商品を配送し、現金の手渡しで決済という方法を取っているため、外部からは売上の補足(課税)が困難です。また既にECサイトが別にある会社も、Facebookページ上で商品を紹介して販売活動をしている様子がうかがえます。
この社会的背景としてネット利用者のFacebookの利用率が高いこと、都市部ではほぼ1人1台のバイクを使って個人でも広範囲に物を運搬できる事や、副業(表に出ない副収入)の文化、ベトナムの消費者が現金取引を好むといった商習慣があります。特にECサイトの場合、購入者がクレジットカードを持っていたとしても、違う商品が届いた・届かないといったトラブルがあるため、代引きによる決済が好まれています。
バイク1台あれば基本何でも運べる
一般的には、マイナーな取引と思われるFacebookページを使った商取引が、『このようなニュースとして報じられるほど税務署からして無視できない規模まで拡大してきた』ということがわかります。
ベトナム人による越境ECも増えてきた
またもう1点ベトナムの消費者、特にクレジットカードなどを手に入れた都市部の若者によるベトナム国外のECサイトからの直接購入(国際発送で受け取り)も、昨年2016年から大きく増えたと報じられています。ベトナム人商品者が主に利用しているのは、AmazonやeBayといったサイトです。
この場合、商品の値段によっては輸入関税がかかりますが購入金額が低いものは課税されなかったり、そもそもデジタルコンテンツの購入については、ベトナムの税務署も把握できずにいます。
ベトナム語でAmazonでの購入サポートをするサイトも・・・
ベトナムのEC協会によると、「ベトナム国外に住む人がベトナムのECサイトを使って購入するよりも、ベトナム人が外国のサイトを使って購入する方が多い」とのことです。この原因としては、
・ベトナムのECサイト(特に中小企業が運営するサイト)において、ベトナム国外からの購入に対する適切なサイト構築がされていない点
・世界的なECサイトがベトナム人から信頼されているのに対して、ベトナムのECサイトは国外の外国人から信頼されていない点(そもそも認知度も低い)
・ベトナムのEC業者が扱う商品の競争力不足(質、形状、価格など競争力が、国外で売られているものに劣る)
点が挙げられています。
企業間取引の越境ECも増加
なお企業間取引(BtoB)においては、2016年ベトナムの輸出入の32%がオンラインチャンネルを通じて関係が構築されたとあり、11%はECサイトを通じて、49%はWEBを通じて関係の構築がありました。この分野に強いAlibabaにおいても2016年時点でベトナムの50万サイトがメンバー登録されており、過去3年間メンバーの増加は、毎年10万で2009年に比べると10倍に増加と好調です。
BtoCにおいては、ベトナム国外からの購入についてまだまだであるのに対して企業間取引の方は、よりクロスボーダー取引が進んでいる様子がうかがえます。
以上から、『日本のECサイト向けにベトナム人からの購入を増やすべく言語や配送方法の面でサポートするといったビジネス』や、『競争が激化しているベトナムのECサイト向けにベトナム国外からの購入を増やすよう開発やコンサルティングをするといったビジネス』については、可能性があるのかもしれません。
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