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インタビュー[受託開発] インタビュー

【専門手続き相談×AI活用】相続手続き相談特化型チャットボットサービス「相続AI®」開発の背景とは

相続手続き・遺言書作成等支援をはじめとした行政書士事業を行う行政書士法人エベレスト。今回、相続手続き相談特化型チャットボットサービス「相続AI®」のシステム開発をご依頼いただきました。

開発の背景や今後の展望などを代表の野村様へオンラインにてインタビューをしてまいりました。

下記インタビューの模様をまとめましたので是非ご一読ください。

■最初に貴法人の事業内容と野村様の普段の業務を教えてください。

当法人は行政書士事業を行う特殊法人(行政書士法人)で、主に「相続手続き・遺言書作成等支援」「在留資格・帰化許可」「公的補助金・資金調達(設備投資支援)」「介護事業者向けコンサルティング事業」「DX支援事業」の5つの事業領域でサービス提供しています。

その中で、私が特に力を入れてきた業務は「相続手続き支援」です。この事業は、人が亡くなった時に、故人が有していた預貯金や有価証券などの遺産を相続人や受遺者の方々に承継したり、そのための遺産分割協議書を作成したりするサービスです。この分野は、2023年10月時点で3000件以上、13年以上の相続手続き相談実績があります。

■今回、ご依頼いただいた開発の内容について教えてください。

今回の取り組みは、相続に関する事業の一貫として、「相続AI®」というチャットボットシステムの開発を依頼しました。チャットボットシステムを活用することで、24時間365日、場所を選ばずに、相続の手続きに関する相談が気軽にできる、というものです。

どういった機能を搭載していますか?

当法人が3000件以上培ってきた相続手続きの相談のうちよくある相談内容80項目(※サービスリリース時)に集約し、これを「シナリオ」として予め組み込みました。その結果、当該チャットボットシステムを導入した事業者は、Q&A形式で利用者からの相続手続き相談の「初期対応」が簡単にできるようになっています。今回開発したサービスは、「相続手続き相談」ニーズのある葬儀社様等に向けて、拡販していく予定です。そのため、プログラミング等の知識が無くても、簡単に管理画面で操作ができるような機能などを一緒に検討させていただきました。「シナリオ」の修正はExcelデータ上でテキストベースで行うことができ、誰でも簡単にアップロードして、各事業者の要望に応じたシナリオに何回でも更新できる仕様になっています。

■今回「相続AI®」としてチャットボット型のサービスを開発することになった背景は何でしょうか。

行政書士法人エベレスト代表 野村様

一つは、専門的な相談に対応できる「窓口」となる人材の不足です。 私は行政書士として10年以上働いていますが、今まで約2000〜3000件の相談を受けてきました。窓口業務を担当できる人は、数々の経験と専門的な知識を要するため、人を採用できてもすぐに長年の経験を持った行政書士と同じように対応ができるという訳ではありません。また、休日や営業時間外の相談対応についても対策を考える中で挙がったのが「チャットボットシステム」でした。

細かい部分の回答が必要のない一般的な相談であれば、24時間365日対応可能なチャットボットだけでも解決できるため、当法人としても「DX」を進める第一手にもなりました。

また、「相続市場」が今後広がっていくことも背景としてあります。日本の死亡者数は2040年まであと20年近くは右肩上がりと言われており、「相続(ライフエンディングステージ産業)」を1つのマーケットと捉えて参入していく人たちが増えていくと考えています。自社サービスとしても使えるかつ、汎用的なツールとして外部にもシステム提供できるサービスを検討する中で、私たちのノウハウを活かした「相続AI®」を開発することになりました。

販売先として考えている業界はどういった業界ですか。 

主に相続関連業務に注力している「士業」、「不動産会社」、「葬儀社」の3事業者を考えています。

士業に関しては、 相続手続きに取り組む企業、司法書士、税理士、弁護士、行政書士の方々、不動産会社に関しても相続相談にまつわる部分で需要があると思っています。

特に注力したいと考えているのが葬儀社です。葬儀業界では、コロナ禍以前より、家族だけで小規模で見送る家族葬が増えていて、たくさん人が集まって行う従来は当たり前だった「葬儀」が減ってきています。日本における年間の死亡者数は増えているため、葬儀業界自体は拡大している市場ですが、小規模での葬儀=葬儀単価は下がるため、回転率が向上する部分はあるにせよ、中長期的には葬儀業界全体の利益率は少しずつ減少していくと見ています。そのため葬儀業界全体として、「差別化」の意味でも、「葬儀」前後のお困りごとに対してまで、ご遺族や喪主の方々のニーズに則したサービスを付加していくという動きがあるのかなと考えています。その中の1つに「(葬儀施工後に発生する)相続手続き等の代行」というものがあり、葬儀社様においても自社又は外注で「相続手続き」をサービスとして提供していることが珍しくありません。当法人では、そのような事業展開に対する生産性向上(及びコンバージョンUP)ツールとして、「相続AI®」のニーズがあると考えています。

業界が異なっても基本的なシナリオは同じなのでしょうか。

すでに提供してるのは「汎用型」の相続手続き相談チャットボットで、基本的には共通のシナリオで納品します。ただ、納品先によっては「設置するサイトに合わせたUIに変更したい」や、「会社独自のオリジナルなシナリオに変更したい」という要望が出てくると思うので、オプションとしてカスタマイズ機能を追加できる仕様にしていければと考えています。

■バイタリフィのことを何で知りましたか。

「チャットボット 開発 Watson」とGoogleで検索して調べる中で知りました。世界的に評価が高い「IBM」が提供している「Watson」を基盤技術として使うことを前提としていたので、この条件で調べていました。

■なぜ数ある開発会社の中からバイタリフィと契約することを決めていただけたのでしょうか?

提案いただいたシステムの「UI/UX」が非常に良かったことと、予算に合った提案をしていただけたことが決め手です。

UI/UXの点で具体的にどの部分がよかったですか。

特に気に入った点は、管理者側が「ワンタッチ」で、「自動応答」と「有人対応」を切り替えられる仕様にしてもらった点です。販売するときのアピールポイントの一つにもなっています。これにより、消費者がチャットボットを使っていただいている間で、タイミングを逃さずに、瞬時に切り替えて、専門家が個別に対応するようなことが実現しました。 

ユーザーが解決できないことがあった時にキーワードに反応して通知が飛ぶような仕様にもなっているので、“常時管理画面に張り付かなくても、「デスクトップ通知」が来たらすぐに自動応答から切り替えて担当者が対応する体制を実現できます”という風に説明しています。実際に、当法人でもそのような運用をしています。

■開発中のバイタリフィの対応やプロジェクトの進め方はいかがでしたか?

当法人が名古屋にあるため、東京にあるバイタリフィ社とは基本的にオンラインでのやり取りでしたが、とてもスムーズに対応いただけたと思っています。リリースまでもスケジュール通りに進めていただけました。

サービスリリース後も困った際はすぐに質問でき、迅速かつ分かりやすく回答もいただけるので、その点ですごく助かっています。

■サービスをローンチしてから数値的な成果はありましたか。

2023年4月にシステムが完成し、5月初旬にローンチしました。5月中は拡販に向けた提案資料(パワーポイント)の作成をバイタリフィ社と一緒に行い、6月初旬から提案資料を用いて販売を開始しました。直近では、販売代理店契約が正式に決まり、他にも相続税申告に力を入れている税理士事務所様から導入のご相談を複数件頂くようになりました。

また、バイタリフィ社に作成していただいた販売促進用のLP(ランディングページ)があるのですが、そこからのお問い合わせも徐々に増えている状況です。結果的に成約には至りませんでしたが、リリースしてまだ1〜2か月しか経っていない頃に、とある「地方公共団体」から導入のご相談を頂いたのも嬉しかったですね。

当法人では複数事業をやっている関係で、専任の営業人材を置かずに販促用LPから問い合わせを獲得できるように自動化することが喫緊の目標でもあります。想定より反響はいいと思っているので、提案資料の作成や販促用LPの製作までご協力いただけたことは大変ありがたいです。

LPの制作という部分でもチャットボットとセットで拡販していきたいという風にも聞きました。

そうですね。チャットボットはあくまでウェブサイト上で動くものですので、メインとなるウェブサイトがないとやっぱり販売が難しいと感じました。アクセスの集まるウェブサイトの制作というのは、どちらかというと上流にあって、それができた上で、コンバージョンアップツールとしてのチャットボットがあると思っています。現状、当法人では、その「コンバージョンアップツール」(=チャットボットシステム)しか提供できていないという状況です。そのため、上流工程にある「集客ができるウェブサイト」についてもセットで提供できないか、というところで今協議させていただいているところです。

今後はウェブサイトを持たない企業向けに、チャットボットを設置するためのLPサイトや集客用ホームページ(ウェブサイト)も併せて提供していけたらと思っています。

特に需要の見込める士業は、マーケットが大きく、毎年数千人単位で開業者がいるので、そこに対してウェブサイトとセットで「専門分野相談対応チャットボット」機能を提案するというのは相性がいいと思っています。AIの台頭で、危機的状況にあると思われがちな「士業」界ですが、見方を変えれば「生産性向上のチャンス」であり、士業界にとってポジティブな変革期なのです。

ウェブサイトの構築部分はやはり当法人だけでは提供できない部分なので、バイタリフィ様の力を引き続き借りて、提供サービスの拡張を進めていけたらと考えています。

■貴法人から見た弊社の強みは何だと思いますか。

チャットボットの開発に留まらず、デザインも含めたウェブサイト制作などワンストップで依頼できる点はバイタリフィ社の強みだと思います。

また、体制が整っていて人数もいらっしゃるので、安心感があります。ベトナムにも開発拠点を持っているなどグローバルである点も特徴的だなと思っています。

■今後弊社に期待していることはありますか。

当法人に限らずですが、開発システムは開発をした後の運用やその改善、収益化に向けた営業展開のところが一番課題だと思っています。そういったところの、フォローや協力をぜひ今後もしていただければなと思っています。

私たちで言うとそれが、今はウェブサイトの制作部分が優先的に解決していきたい課題になるので、チャットボットを導入するためのウェブサイトを持っていないという方に対する共同営業みたいな体制を作れたらと考えています。

■最後に貴法人のサービス展開について教えてください。

私たちの狙いとしては、この「相続AI®」事業で、年間売上を1億円超の規模にしたいと計画しています。前期は開発に注力したので、今期は販売代理店を通しての販売もさらに増やしていきたいですし、販売代理店との繋がり自体ももっと増やしていきたいです。

また、現在提供している汎用型の「相続AI®」に加え、業界特化型のシナリオを組み込んだパッケージの提供も見据えています。私たちの行なっている介護事業者向けコンサルティング事業ともシナジーの高い「介護事業者」や、元々販売先として想定していた「士業」、「不動産会社」、「葬儀社」の4つほどをパッケージの商品として作成したいと考えています。

「相続AI®」は現在、私たちの事業の柱という位置付けなので、今後もバージョンアップやプラスアルファの提案をバイタリフィ社と一緒に取り組んでいけたらと思っています。

■まとめ

バイタリフィバナー

インタビューのお時間いただき誠にありがとうございました。

バイタリフィでは、今回ご依頼いただいたような新規システムの開発も可能です。想定されている内容をヒアリングさせていただき、最適なご提案をさせていただきます。その他、エンタープライズ系、エンタメ系、IoTなど多種多様なジャンルを得意としておりますのでご興味ある方はぜひお気軽にご相談いただけますと幸いです!

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