2020.03.29

ベトナム情報

ベトナム歴史秘話~全人口の10人に1人が亡くなった200年前のパンデミックとは?~

現在世界中で猛威をふるっている新型コロナウィルス(COVID-19)。ベトナムでも感染者を抑えるべく封じ込めに力が入っています。

そんなベトナムの歴史を調べてみると過去数多くの感染症流行に襲われ、それを乗り越えてきた歴史があることがわかりました。なんと1820年から1895年までの75年間で大小70回にもなり、ほぼ毎年のように疫病が蔓延していたとあります。

その中でも代表的な2つの大流行(1820年、1849年)について、今回調べてみたのでこちらで紹介します。

1. 1820年の感染症大流行

ベトナム最後の王朝である阮朝が全土を統一し、清の嘉慶帝から越南国王に封ぜられて正式な国号を越南国(ベトナム国)としたのが1804年。初代皇帝の嘉隆帝(ザーロン)が亡くなり、2代目の明命帝(ミンマン)の統治が始まった年です。

1820年6月ベトナム南西部のハティエン、Vĩnh Thanh、ディントゥオンなどで感染が始まると12月までに全国へ広がり、死者数は206,835人にもなった大流行です。それは当時のベトナムでどのくらいのインパクトだったのでしょうか?

1820年の戸籍簿には、成人男性人口620,246人という数字があります。これには、未成年、老人、兵士、女性が含まれていません。おそらくこれは税の徴収のために必要な戸籍であったため成人男性のみと考えられます。

よって戸籍の3~4倍が総人口と考えられ、こちらのサイトではおよそ200万人と紹介されています。つまり約200万人中20万人、人口の10分の1が死亡したことになります。

2. どのような病気だったのか?

この大流行については、当時の文献に王が「カルダモン」を治療の為、患者に与えたとあるためコレラと考えられています。

1817年にインドで始まったコレラの流行は、スリランカ、ミャンマー、タイを経て東南アジアへと広がり1820年には中国の広東から北京の地域にも拡大とあるので、時期や地理的にも一致します。

このコレラは、日本にも1822年に上陸し、九州から東海道まで主に西日本で猛威を振るいました。またインドから西側では1820年に東アフリカ、1821年にイランから中東へ、1823年にはコーカサスや南ロシアへ広がり1824年にはいったん収束したとあります。

まさに世界的なパンデミックに巻き込まれたベトナムですが、1839~1840年にも2回目の流行があり5.4~6.7万人が亡くなったとあります。(フエの王宮への報告が不完全だったためデータが限られている様です)

しかし、この後ベトナムはもっと恐ろしい災厄に襲われることになります。

3. 1849年の感染症大流行

時代は流れ4代目皇帝の嗣徳帝(トゥドゥック)の時代です。

1849年12月から始まった大流行は、Vinh Longで43,400人、Quang Binhで23,300人が亡くなり、1850年までの2年間に国全体で最大589,460 人が流行病で亡くなりました

しかしこの感染症がどういった病気かについては、不明とあります。1848〜1849年にイギリスで流行したコレラかもしれませんし、インフルエンザや天然痘の可能性もありますが、当時のベトナムが対外的に国を閉ざしていたこともあって情報が少なく、いくつかニュースを見ても感染が広がったとしか情報がありません。

ではこの大流行の社会的インパクトです。この大流行の2年前、1847年の戸籍簿には、成人男性人口1,024,388人とあります。同じ様に総人口を推測すると300〜400万人であり、約59万人が死亡したわけですから、なんと総人口の6~7人に1人が死亡という国家存亡レベルです。

この大流行の約9年後、フランスが侵攻して敗れることで植民地化が始まるわけですが、この大流行後の経済力の低下が抵抗活動に影響した可能性もありそうです。

4. その後の感染症流行について

その後も、ベトナムでは感染症の流行が続きます。1887年は、植民地化(フランス領インドシナ連邦が成立)した年ですが、1887年11月から1888年6月にかけては、天然痘がクアンガイ省で猛威を振るい、統計によると13,934人が亡くなりました。

そしてベトナムの近代史を調べていくと、この天然痘こそが19世紀にベトナムの歴史、運命を決めたのかもしれないと考えられる、ある2つの出来事に関わっていることがわかりました。

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