ベトナムオフショア開発の現場から動画付きでお届けする現地情報。
今回は『ベトナムの2020年GDPまとめと2021年の成長率について』。コロナ禍で全世界でマイナス成長国が相次ぐ中、他国と比較してベトナムの成長率はどうだったのか?、どんな分野でどのくらい成長したのか、どこでベトナムは稼いだのか、2021年の成長率予想といった現地事情について紹介します。
目次
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2. 2011~2020年ベトナムのGDP成長率推移
2020年12月27日の報道より
ここ10年ほど6~7%で経済成長していたベトナムですが、2020年コロナ禍の影響を受け2.91%のプラス成長となり、結果GDPは2,710億ドルとなりました。(1米ドル=23,221ドンで換算)
しかし成長率は第2四半期を底として回復傾向にあります。
・第1四半期(1~3月):3.68%
・第2四半期(4~6月):0.39%
・第3四半期(7~9月):2.69%
・第4四半期(10~12月):4.48%
3. 2020年ベトナムGDPの伸びを世界と比較
では世界各国と比べてどうだったのかですが、こちらのベトナムでの報道による予測値ですと
・全世界:-4.4%
・先進国:-5.8%
・途上国:-3.3%
と世界的にマイナス成長であり、アジア各国でもフィリピン-8.3%、タイ-7.1%、シンガポールやマレーシアで-6%とマイナス幅が大きいです。
数少ないプラス成長国である中国1.9%、ミャンマー2%などと比べてもベトナムの2.91%は高いことが分かります。
4. ベトナムGDPではどこが伸びたのか?
ベトナムGDP2,710億ドルを産業別に金額の割合で見たのが上記図です。
■サービス業(1,128億ドル):41.63%
⇒成長率+2.34%増
■製造業&建設業&鉱業(914億ドル):33.72%
⇒成長率+3.98%増
■農業&漁業&林業(403億ドル):14.85%
⇒成長率+2.68%増
■間接税マイナス補助金(265億ドル):9.8%
⇒成長率+1.7%増
これをベトナム統計総局が発表した「第4四半期および2020年の社会経済状況に関する報告とプレスリリース」や、日本語メディアNNAでの報道「2020年の成長率は2.91%、プラス維持」より詳細を見ていきます。
2020年成長率が大きい分野では、
◆保健・社会サービス(81億ドル):10.58%増
◆情報通信(18億ドル):7.42%増
◆金融(145億ドル):6.87%増
◆建設業(168億ドル):6.76%増
◆科学・技術(35億ドル):6.63%増
◆製造業(452億ドル):5.82%増
などがありますが、
◆レストラン&ホテル(85億ドル):14.68%減
◆鉱業(150億ドル):5.62%減
◆運輸(67億ドル):1.88%減
◆不動産・コンサルティング(120億ドル):0.31%増
といったコロナ禍の影響を大きく受けた分野もあり、比較的規模が大きい分野が低迷した為、全体としてみると経済規模は2.91%成長となります。
5. 2020年ベトナムは何で稼いだのか?
2020年12月27日の報道より
また分野別でみると伸びたのは、輸出で+4.97%、その中でもモノの輸出が+6.5%伸びました。一方で資本形成+4.12%、消費+1.06%といった形でGDP成長は、輸出が牽引したことが分かります。
なお金額でみると、モノの輸出は2,815億ドル(輸入2,624億ドル。結果モノでは191億ドルの黒字)。サービスの輸出は63億ドル(輸入183億ドル。結果サービスでは120億ドルの赤字)であり、モノづくりで稼ぐベトナムが見えてきます。
このモノの輸出ですが重工業製品と鉱物では前年比11.3%増の1,525億ドル、軽工業および手工芸品は2.4%増の1,003億ドルと推定されており、金額と伸び率が大きい分野は
・電子/電子部品(446.7億ドル):前年比24.4%増
・機械/機械設備(270.4億ドル):前年比47.8%増
になります。
なおベトナムと言えば、サムスンに代表される「スマホ」の生産大国ですが、
・電話/電話部品(508.8億ドル):前年比1%減
と規模は一番大きいものの、通年での伸び率はそこまで大きくはない状況でした。(ただし直近では大きく回復しています)
そして貿易相手国で見ると
<2020年ベトナムの主な輸出先>
・アメリカ(764億ドル):24.5%増
・中国(485億ドル):17.1%増
・EU(348億ドル):2.7%減
・ASEAN(231億ドル):8.7%減
・日本(192億ドル):5.7%減
・韓国(187億ドル):5.1%減
<2020年ベトナムの主な輸入元>
・中国(839億ドル):11.2%増
・韓国(463億ドル):1.5%減
・ASEAN(300億ドル):6.9%減
・日本(205億ドル):5%増
・EU(145億ドル):3.5%増
・アメリカ(137億ドル):4.9%減
となっており、アメリカや中国、EU相手に輸出して稼いだことが分かります。また上記を見るとアメリカが貿易の不均衡を指摘してくる(昨年為替操作国に指定されてしまった)のもわかりますね。また中国とベトナムは、島をめぐっての争いもありますが、経済面ではお互いに欠かせない関係であることが見えてきます。
5. 2021年ベトナムGDPの成長率予想
「10/20付報道、フック首相による2020年及び2016年から2020年まで5年間の社会経済開発計画の実施報告」では、2021年の経済成長率目標を6%としており、一人当たりGDPを3,700ドルにすると発表されています。
なお12/22報道による各機関からのベトナムGDP成長予測では、
・世界銀行:6.8%
・アジア開発銀行:6.3%
・国際通貨基金(IMF):6.7%
・UOB銀行:7.1%
・スタンダードチャータード銀行:7.8%
という予測が掲載されており、これを見ると政府の目標値6%は控えめの数字でもあります。
また「11/11付、2021年の社会経済開発計画に関する決議」では、今後5年間で平均6.5%成長させて、2025年までに一人当たりGDPを5,000ドルまで持って行くとしており、今後の経済成長が楽しみなベトナムでもあります。
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