ベトナムでのオフショア開発のバイタリフィ

2016.05.18

オフショア開発

ベトナムでのオフショア開発8年の振り返り

代表の川勝です。
ベトナムでのオフショア開発、ラボ型開発を手掛けています。

弊社がベトナムに進出したのは2008年、8年が経過しました。
ベトナムでのオフショア開発を改めて振り返ってみたいと思います。

Vitalify Asiaオフィス外観

Vitalify Asiaオフィス外観

なぜオフショア開発を始めたのか?

弊社は特殊ケースなのであまり参考にならないかもしれませんが、買収によって進出を果たしました。通常はコストを下げたい、エンジニアが不足しているなどの要因でオフショア開発を検討し始め、自社のニーズに見合った国や都市を選び、視察、再検討、決定、パートナー探し、実行という流れかと思います。

また買収するとしても、上記プロセスの中で買収という選択を取ることもありえるという感じで、買収ありきでは相手もあることなので、うまくいくとは限りません。

弊社は「買うか買わないか」の二択であったこと、
リーマンショック後で進出よりも撤退のほうが多かったこと、
差し迫ってエンジニアリソースが必要ではなかったこと、
中小企業でありキャッシュリッチでもなかったこと、

これらの要因により、外部の人からはかなり冒険と捉えられたようです。
また社内の幹部会でも買収することにはほぼ全員反対でした。幹部会の総意を尊重しなかったのは、過去10年においていまだにこの時だけです。

買収を決断したのは、以下の理由です。
1)売却元の経営者とバックパッカーつながりでベトナム情報の交換をしていたことがあり、
私に声を掛けていただいたこと。
2)学生時代から海外好きで、いつかは海外進出を夢見ていたこと。
3)リーマンの影響もあり、買収価格が割安で当時のランニング費用も低かったこと。
4)当時の収益性を考えると、体力的になんとかなりそうだったこと。
5)現地の代表がやる気に満ち溢れ、優秀だったこと。

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ではなぜベトナムがいいのか?

弊社は1択だったので後付けの理由ではありますが、
オフショア開発を検討する際に土俵にあがるのは、中国、フィリピン、ベトナム、インドくらいでしょうか。
8年前であればタイやマレーシアも対象になっていたと思います。現在ならカンボジアやミャンマーも対象になるのでしょうか。

1)コストパフォーマンスがよい。
他の国のことは検索結果や耳学問でしか知らないので間違っていたら申し訳ないですが、
人件費や家賃、駐在員に掛かる費用などを考えると他の国(都市)より優位に思います。

インド、中国 > タイ、マレーシア > フィリピン、ベトナム > カンボジア、ミャンマー

こんな価格順でしょうか。カンボジアやミャンマーはインフラ面に不安があるため、あまり選択肢に入らないことが多いと思います。
フィリピンはベトナムより近いし、人件費もさほど変わらず英語も使えるのが魅力ですね。
エンジニアの数が確保できるかは諸説あるようです。駐在員を置く立場としては治安があまりよくないのは懸念材料にはなります。

2)時差やアクセスの容易さ
アクセスに関しては国より都市によりますが、ホーチミンは東京から毎日数便あるので、チケットが取れないことはあまりないです。飛行時間は5時間程度。時差は-2時間。オフショア開発はクロスボーダー開発なので、コミュニケーションは必須ですが、2時間程度の時差は問題になりません。

インドや中国の2番手、3番手の都市であれば、人件費もホーチミンと変わらない可能性もありますが、アクセスが不便ですね。
マニラやセブも飛行機で4時間くらいでしょうか。フィリピンはアクセスの点でもいいですね。
ミャンマーやカンボジアは直行便もない(または少ない)ので、この点でも選択しづらいです。

3)国民性、親和性、その他
自分がそこに住んで仕事することを考えます。
ご飯は美味しいか、楽しく過ごせそうか、理解しあえそうか、余暇は楽しめるか、モチベーションを維持して仕事をできるか。
ベトナム人は親日的でフレンドリーな優しい雰囲気を持っています。
ベトナム料理は美味しいです。ビールも安く、どこでも飲めます。日本食も充実しており、食でホームシックに掛かることはありません。

ホーチミンは大都市ですが、日本人街も存在し、日本語だけで生活することもできます。
在留日本人は2万人程度と言われていますが、多数の交流会やスポーツイベントなどがあり、趣味や仕事の仲間をすぐに探すことができます。

オフショア開発を検討しており、ベトナムを視察した方でベトナムを選ぶ確率はかなり高いと思います。

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次にどういう仕事がオフショア向きか?

これは発注側の力量や情熱によっても変わるし、短期スパンで見るか長期で見るかによっても変わりますが、一般論としては「コアビジネスは自社内で行い、ノンコアオペレーションをオフショアで」するのが王道と言われています。
データの入力や投入、テスト、簡単な更新作業、ルーティンの保守開発業務、詳細設計完了後の大量コーディング、グラフィックの量産、モックの作成、α版までの製品試作、類似品の試作や移植などで仕様の説明があまりいらないもの、など。

理想は10人以上のエンジニアを6ヶ月以上使うようなプロジェクトが望ましいです。
うまくチームビルディングできれば、高い生産性と品質、ローコストを実現できます。

8年間を振り返って

1)為替が与える影響
8年間でドル円は77円~123円くらいまで最大で50%くらい変動しました。
オフショア開発は輸入業になるので、円高はプラスに影響し、円安は逆に収益悪化要因となります。
我々のような中小企業では景気の影響は薄いのですが、為替の影響は甚大でした。
仮に1ドル100円計算で1000万円のコストとすると、最安値で770万円、最高値で1230万円と500万円くらいのコスト差になったということです。そんなに利益のあるビジネスでもないので大変でした。

2)人件費の高騰
為替の変動もあるので体感値ではあるのですが、人件費は8年前の2倍以上に上がっています。

3)東南アジアブーム
2010年頃からか、なぜか急激に東南アジアブームが到来しました。
オフショア開発的な製造業に関してもそうだし、現地マーケットを狙ったビジネスも注目を集めました。
ビジョンが定かでない投資目的も多く、短期的に成果が出ずに撤退した企業も多くありました。

4)日本食の充実
寿司、焼肉、ラーメン、うどん、居酒屋など、ホーチミンにいると日本食が恋しくなることはなくなりました。
8年前はまだ少なかったですが、今はバリエーションも質も問題ないです。

5)若い日本人在住者の急増
8年前は年配の駐在員が中心だったように思いますが、最近は若い日本人をよく見かけます。
海外は経験豊富なベテランが赴任すると思ってましたが、最近は若手のチャレンジが多いのか、20代、30代が増えてきています。

6)日系企業の裾野が増える
製造業や飲食業中心だったと思いますが、最近はあらゆる業種が進出しています。
日系企業が増えたことによって、日系企業や日本人相手の商売も増えています。
日本語だけでビジネスも生活もできる環境です。

今後の戦略は?

社長も日越で別々に立てているし、それぞれが強みを生かして事業展開していきます。
グループとして共同でやることを持ちつつも、それぞれ現地化して、相互にあまり依存しなくてもいいような組織にしたいです。
ベトナムもオフショア開発以外の売上も作れているので、日本法人に依存しない、現地ならではの売上をドンドン増やしていきたいです。

またバンコクやクアラルンプール、ジャカルタなど他の東南アジアにも進出したいです。
いくつかアイデアもあり、随時進めています。

ベトナムで東南アジアでご一緒できることがあれば、なんでもご相談ください。
お待ちしております!
http://vitalify.jp/vietnam_offshore/contact/

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