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2017.05.10

ベトナム情報

ベトナムへのITビジネス進出ならハノイかホーチミンか?~ECビジネス環境から両都市を比較~

ベトナムは、南北に長い国で2大都市であるハノイとホーチミンの距離は、陸路で約1,700km(飛行機で2時間)と非常に離れています。

政治の都ハノイと商業都市ホーチミンと言われますが、同じ国内・同じ民族であってもこれだけ離れているとビジネスをする上での違いがあると思われるので、今回はベトナムで毎年20%ほど規模が拡大しているECビジネスの面から両都市を比べてみました。

1.EC面でベトナム都市の優位性を数値化して比較

2017年2月に開催された「Vietnam e-commerce overview forum in 2017」において、ベトナムのEC市場における各都市の優位性が様々な面から数値化して比較されていましたのでまずはそれを見ていきます。

これによると「人的資源」と「インフラ」の面では、
・ハノイ:93.7
・ホーチミン:85.5
とハノイの方がホーチミンよりもビジネス環境が良いと評価されています。ハノイはビジネスエリア(CBD)が広く分散しており、新市街では道路幅が広いことや高層ビルの数が多いことなども影響していると思われます。

一方で「BtoC」ビジネス環境においては、
・ホーチミン:72.4
・ハノイ:69.2
・ビンズオン(ホーチミンの隣):62.1
・ハイディン(ベトナム中北部):61.6

「BtoB」ビジネス環境においては、
・ホーチミン:77
・ハノイ:64.4
・ダナン:50.4

と対消費者向けビジネスでも対企業向けビジネスでも、いずれもホーチミンの方が高評価です。これはホーチミンの方が人口が多く、海外企業も含めて企業数が多いからかもしれません。

ダナンが強いのは、「BtoG(政府・役所向けビジネス)」でホーチミンやハノイを上回る数値でした。

以上を基にした総合評価では、
・ホーチミン:78.6
・ハノイ:75.8
・ダナン:52.8
・ビンズオン:43
・ハイフォン:42.2
という順になっており、これは結果的にベトナム3大都市の規模順であるホーチミン、ハノイ、ダナンの順と同じ並びとなっています。

2.ハノイとホーチミンEC利用者の属性

ハノイとホーチミンのECにおける消費行動の違いについて、ベトナムの価格比較サイトiPriceが発表しbizliveやtuoitreで取り上げられていたので、それを見てみます。まずECサイトを利用する人の属性ですが、

◆ハノイ
・男性:46%
・女性:54%

◆ホーチミン
・男性:45%
・女性:55%

両都市共に男性よりも女性の方がEC利用者が多い事がわかります。ECを利用する年齢層で比較してみると、

◆ハノイ
・18-24歳:39%
・25-34歳:46%
・35-54歳:12%
・55歳以上:3%

◆ホーチミン
・18-24歳:42%
・25-34歳:44%
・35-54歳:10%
・55歳以上:4%

ホーチミンの方が24歳以下の若い層の利用者が多く、一方でハノイは若干上の25~34歳層の利用が多い事がわかります。また両都市共にEC利用者の大半(85%)が34歳以下です。

3.ハノイとホーチミンEC利用傾向の違い

さらにEC利用時における両都市の違いですが、

◆購入前の事前調査に時間をかける割合
ホーチミンの消費者の方がハノイよりも、+36%の時間をかけて購入前に商品を調べています。

その主な理由としては、ホーチミンの方がブランドや商品が入ってきやすく選択肢が豊富にあるため、日ごろから時間をかけて調査(例:価格、デザイン、サイズ、仕様、評判などの下調べ)をしてから購入の意思決定をしている習慣がECでも反映されているからと見られています。

◆プロモーション価格の影響について
一方で購入時にプロモーション価格を調べるorその有無が購入の意思決定に影響する割合は、
・ハノイ:80%
・ホーチミン:67%
とあり、ハノイの人々の方が価格が下がるプロモーションに対してより興味を持っている事がわかります。

これは、企業がプロモーションを開始するときに合わせて商品を購入するというハノイの人々の習慣があるためと見られています。

4.ハノイとホーチミン、テト商戦前後における違い

ベトナムの旧正月テト(通常1~2月頃の約1週間)は、ベトナム唯一の長期休暇ということもあり、その期間中に消費も活発(日本での年末年始における特価セールの様)になるのですが、ここにおいても両都市において違いが見受けられます。

◆テト1週間前の購入活動
・ハノイ: +20%
・ホーチミン: -19%

◆テト1週間後の購入活動
・ハノイ: +9%
・ホーチミン: +2%

ハノイはテトの1週間前からオンラインでの購入において+20%と盛り上がりはじめ、テトを終えても+9%とまだ購入活動が続きます。一方ホーチミンは、テトの前は-19%といったん購入が減り、テト期間中にその分盛り上がった後、テトを終えると+2%と通常と変わらなくなり、テト期間限定のお祭り型であると推測できます。

5.商材と時期に応じて都市(ハノイ・ホーチミン)を選択

以上ホーチミンとハノイのECビジネス環境の違いになりますが、売る商材/時期に応じて注力する場所を変えるというやり方も考えられます。

例えば、ベトナムでも経済成長に伴い排ガスによる大気汚染が問題になっていますが、「ハノイの大気汚染は、ホーチミンよりもかなり深刻」と報じられています。これは、2017年1~3月の3ヶ月間に米国大使館/領事館が調査したところ、両都市においてPM2.5の濃度が国際基準を上回る日々が続いたものの、その期間や濃度はハノイの方がだいぶ悪かったという内容です。

これは、両者の気候の違いに起因すると思われ、この時期ハノイはコートが必要なほど寒く結果湿度も低いのに対して、南のホーチミンは乾季とはいえ暑くハノイよりは湿度が高いためPM2.5の粒子飛散が軽減されたから考えられます。

よって日本製の空気清浄機やPM2.5対策のマスクをECで売る場合は、ベトナム市場とひと括りにするのではなく、冬季は大気汚染が深刻なハノイなど北部に集中したプロモーションを行うといったやり方が考えられるのではないでしょうか。

6.ベトナムITビジネスのパートナー

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