ベトナムでのオフショア開発のバイタリフィ

2017.07.05

ベトナム情報

ベトナムのECビジネス事情~オンラインと店舗のマルチチャネル販売状況について~

2017年に60億ドル超えを目指すなど急拡大中のベトナムEC市場についてですが、市場自体の拡大に伴って既存の小売店舗も続々とECに乗り出しており、店舗とオンラインといったマルチチャネルでの販売が増加しています。今回は、この辺の状況について調べてみました。

1.ベトナムECでのマルチチャネル販売が増える背景

6/16にtintucというベトナムメディアが報じていましたが、ベトナムで82%の買い物客は、あらかじめ決めたブランドやお店(過去に購入をするなど馴染みがあるところ)で買い物をすることが多く、他店からの乗り換え=新規顧客の獲得がなかなか難しいという状況があります。一方でネット販売の場合、最大52%が購入前に複数比較するなど、新規顧客を獲得しやすい環境にある様です。

実際にベトナムの生活に欠かせないバイクの販売においても、実店舗だと19%しか比較しないそうですが、オンラインだと44%が複数のブランド(お店)を比較してから購入しているとのこと。よってベトナムの中小の小売店舗も含めてネットと実店舗というマルチチャネルでの販売が大きな流れになっていることがわかります。

2.ベトナムEC調査対象の規模・業種・販売経路

調べたところ今年3月に2016年の中小企業におけるオンラインビジネス状況や、マルチチャネルでの販売に関する調査結果が発表されていました。Bizweb.vnというサイトが顧客27,000以上の内、オンラインビジネスをしている5,000社以上を対象に調査を行った結果で、回答者の73%が従業員10名以下の企業であるなど、ベトナムにおける中小/ベンチャー企業のECビジネスの実態が見えてきます。

2-1.調査対象となったオンラインサイト各社のスタッフ数

・5名未満:31%
・5~10名:42%
・10~20名:12%
・20名~:15%

2-2.調査対象となったオンラインサイトの取扱商品

・衣類/アクセサリー:16.59%
・IT:11.74%
・家具:7.42%
・自動車/バイク/自転車:7.22%
・食品:6.62%
・化粧品:6.42%
・内装/DIY:5.42%
・医薬品:5.22%
・旅行/ホテル:4.01%
・贈答/生花:2.61%
・書籍:2.21%
・その他:24.17%

旅行/ホテルなどは、2015年の2%から2016年4%へと2倍に増加したとあり、この分野のオンライン販売が増えています。

2-3.主な販売経路(販売チャネル)

・自店舗/ショールーム:38.9%
・WEBサイト:35.7%
・Facebook:33.6%
・eコマース取引所(chototのようなサイト?):11.9%

調査対象のオンラインショップのうち75.4%が実店舗を持っているそうでオンライン専業は少なく、またWEBサイトとFacebookでの販売が同じ比率であることから、以前の記事で紹介したようにFacebookを通じた販売の重要度が伺えます。

3.ベトナムECの売上増加率、増加額、全売上EC比率

3-1.オンラインからの売上は、1年間で何%くらい伸びたのか?

(2015年と2016年の比較)
・売上が減った:17.9%
・売上が変わらない:13.3%
・売上は10%以下の成長した:32.9%
・売上は10~30%の成長した:24.2%
・売上は30%以上の成長した:11.7%

2015年に売上の成長が0%と答えた比率は、40%もあったそうですが2016年は13.3%に減るなど良い傾向にある一方、いまだに30%近いの店舗が、2015年と比べて売上が同じか下がったと回答していることから需要以上に競合の増加による競争激化が見て取れます。

3-2.オンラインからの売上は、1年間でいくら伸びたのか?

(2015年と2016年の比較)
・2億ドン(100万円)以下:11%
・2~5億ドン(100~250万円):29.7%
・5~10億ドン(250~500万円):26.1%
・10~30億ドン(500~1500万円):15.2%
・30億ドン(1500万円~)以上:18%

3-3.オンラインからの売上が売上全体に占める割合

・全体の10%以下:28.27%
・全体の10~30%:24.38%
・全体の30~50%:13.59%
・全体の50~70%:16.88%
・全体の70~100%:16.88%

約半数(47.4%)の企業が、売上の3割以上をオンラインから得るなど、ベトナムの中小企業にとってもオンライン販売が欠かせない存在になっていることがわかるものの、月商125万円を超える伸びを示した会社は、全体の18%と絶対額としてはまだ少ないですね。

4.ベトナムECの宣伝広告費、宣伝手段

4-1.様々な宣伝手法の中で販売促進活動において活用している割合

・Facebook:84.5%
・Zalo:45.1%
・Google Adwords:56.1%
・SEO:63.6%
・Email(メルマガ?):37.4%
・ネットフォーラム:56.5%
・雑誌:28.2%
・動画(Youtubeなど):44.1%

Zalo、Instagram、Youtube、ネットフォーラムを活用して宣伝しており、またFacebook広告といった使い方以外に、全企業のうち73.3%が自社Facebookページを持つなどFacebookが非常に活用されています。

4-2.2016年の1年間でオンライン販売促進の為に使った費用

・販売促進費無し:8%
・1000万ドン(5万円):21%
・1~2000万ドン(5~10万円):45%
・2~5000万ドン(10~25万円):14%
・5000万ドン(25万円)以上:12%

販売促進費は、2015年に比べて2016年は7%上昇し、特に2000万ドン(10万円)以上使った割合は、2015年の8%から2016年の26%へ3倍超上昇しています。

4-3.2017年オンライン販売促進の為の宣伝予算

・販売促進予算無し:5%
・売上の5%以下:37%
・売上の5~10%:36%
・売上の10~15%:12%
・売上の15%:10%

2017年は58%の企業が売上の5%超を販売促進予算として使うなど、オンラインの宣伝活動に力を入れています。

5.ベトナムECの決済手段、配送方法

5-1.お客さんが使う支払い方法について

◆銀行振込
・使われたことがある割合:87.9%
・多頻度(週1~2回以上)使われたことがある割合:53.9%

◆店舗で支払い
・使われたことがある割合:85.5%
・多頻度(週1~2回以上)使われたことがある割合:72%

◆代引き
・使われたことがある割合:80.1%
・多頻度(週1~2回以上)使われたことがある割合:66.2%

◆クレジットカード
・使われたことがある割合:37%
・多頻度(週1~2回以上)使われたことがある割合:15.9%

◆電子マネー
・使われたことがある割合:20.7%
・多頻度(週1~2回以上)使われたことがある割合:7.2%

銀行振込が多いのは、企業間取引で2000万ドンを超える場合に銀行振込が必要になるという理由があります。カードはまだ少ないですが電子マネー利用が意外とあり、これはmomoやPayooといった送金ソフトウェアによるものと思われます。

5-2.お店側の配送の方法

◆店舗においてお客自身で持ち帰り
・利用率:87.7%
・多頻度(週1~2回以上)での利用率:68%

◆お店の経営者自身で配送
・利用率:76.5%
・多頻度(週1~2回以上)での利用率:46.1%

◆車など運送手段を使って配送
・利用率:75.7%
・多頻度(週1~2回以上)での利用率:44.1%

◆宅配業者を使って配送
・利用率:74.8%
・多頻度(週1~2回以上)での利用率:53.7%

◆お店のスタッフが配送
・利用率:65.8%
・多頻度(週1~2回以上)での利用率:54.5%

「車など運送手段」については、どういう手法なのか詳しくは書いてありませんが、配車アプリGrabタクシー等を使って人ではなく荷物だけを運んでもらうという使われ方があり、また荷物だけを専業で運ぶahamoveといったアプリもあるため、こういった配送手法によるものと思われます。

6.ベトナムECにおいて現地経営者の関心が高い分野

・効果的な広告/宣伝方法:83.6%
・WEBサイトのSEO:82.5%
・WEBサイトのユーザビリティ(使いやすさ改善):80.9%
・販売方法(販路開拓?):69.6%
・どこから商品を調達するのか:55.9%
・配送方法:51.1%
・オンライン決済方法:48.2%

既に見てきたように予算面でも宣伝広告を強化してより売上を伸ばそうという傾向があるので、こういった企業へのコンサルティングや広告の効果測定などにおいてビジネスチャンスが豊富にあるように見えるものの、一方で1社あたりの予算はまだ小さいため、この市場を狙うなら低価格なサービスをいかに売り込んでいくのかが1つの鍵となりそうです。

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