日本ではメルカリに代表されるフリマサービスが人気ですが、ベトナムのオンラインフリーマーケットサービスでは、どのような商品やサービスが取引されているのか、ベトナムNo1と言われる直接取引仲介サービス「ChoTot」について調べてみました。
目次
1.ChoTotとはどのようなサービスか?
ベトナム語でChoの部分が「市場」、Totの部分が「良い」合せるとChoTotは「良い市場」という意味のオンラインフリーマーケットサービスになります。WEBサイトに加えてスマホアプリも用意されていますが、英語メニューは無く全てベトナム語です。
◆Android版
◆iOS版
WEBでもアプリでもTOPページは、「MUA=買いたい」か「BAN=売りたい」のどちらかを選んで始めるメニュー構成で非常にシンプルです。
「買いたい」を選ぶと商品ごとに出品者の名前、住所、携帯電話番号などが直に表示されており、その商品に興味がある購入希望者は、電話で直接コンタクトをする流れとなっていますが、この辺の作りを見ると個人情報保護についての感覚(市場環境)がベトナムと日本では、だいぶ異なることを実感させてくれます。
なお出品者は、個人と法人どちらも可能となっていますが、商品やサービス検索の際に出品者を個人かそれ以外かでフィルタリングすることも可能です。
2.ChoTotでは、近場で直接会っての取引を想定している
他にも、最終的に実際に会っての直接取引を想定しており、それゆえWEBやアプリでも最初に自分のいる場所(地区)を選択して、その場所で出品されている商品を閲覧するという構成になっています。(他の場所を選択することも可能)
地域についていえば、ホーチミンでは1区や3区といった区単位でフィルタリングが可能で、東京で言うなら渋谷駅周辺とか、品川近辺といったエリア区分で出品されているものを調べられるイメージです。
その際の安全については、運営でも注意を払っているようで、購入者、出品者共に家やオフィス、カフェなど他に人がいる場所で会って商品の受け渡しをすることを推奨しています。
また安全のため友人を連れていくことも推奨しております。これは、支払い関係を振込とした場合、詐欺にあう可能性があるため直接会って現金でやり取りすることを推奨しており、その結果現金のやり取りが発生するので誰か連れて行った方が良いという注意書きになったものと考えられます。
3.日本とは異なる驚きのフリマ出品内容
日本と同じように一般的なフリーマーケットやオークションサイトなどで扱われている商品が多いものの、ベトナムのオンラインフリーマーケットならではの下記のような出品もあります。
3-1:マンションや土地、一戸建てといった非常に高額な不動産物件
画像は、ChoTotサイト内の219平米の家で225億ドン=1.1億円の物件より
また不動産デベロッパーが新築のマンションなどをChoTotを通じて販売している様子もうかがえます。
画像は、ChoTotサイト内の業者による新築マンション販売(950万円)より
その他、住宅地や工業用地などもこのフリーマケットサービスを通じて販売されています。
3-2:賃貸情報(住居、店舗、オフィス)
画像はChoTotサイト内の貸し部屋(月890万ドン=4.5万円)より
不動産のオーナーが家賃や住所、部屋の設備などを掲載して入居者を募集しており、物件仲介サイト並みに登録されている物件数も多いです。また、オフィススペースや店舗といったビジネス向けの入居者募集も数多く登録されています。
3-3:自動車、トラック、各種中古車両
画像はChoTotサイト内で販売されている自動車(100%ローン可能で金利0%とのこと)より
ベトナムでは中古車の流通がまだ発達していない為か、自動車やトラックなどの出品も非常に多く、出品価格も数十万円から1000万円超の高級車まで取引されています。
3-4:求人情報(採用募集、雇い主募集)
画像はChoTotサイト内の求人情報(WEBページ作成、月収400万ドン=2万円)より
プログラマーや、ホテルのスタッフなど様々な業種でこのフリマサイトを通じて求人が出されています。逆にベトナム人個人が、自分を雇ってくれる人をこのサイトで募集していたりもします。
3-5:各種業務サービス
画像はChoTotサイト内にて弁護士事務所が法律相談を販売している様子より
他にも会計事務所などが月次会計処理を販売していたり、飲食(給食業者)店がオフィスへのお弁当宅配サービスをフリマで売るなど、各種業務サービスの販売も盛んです。
3-6:請負業務
画像はChoTotサイト内でバイクを使った近場へコーヒーやドリンクを買って配達する宅配サービス(1回1万ドン=50円)より
3-7:旅行商品(パッケージツアー)
画像はChoTotサイト内で販売されている旅行商品より
日本でのフリマのイメージを超えて何でも取引されているカオス感がありますが、既存のシステムを使ってニーズがあるものなら何でも取り扱っていくという逞しさもあり、こういった柔軟性はベトナムでビジネスをするうえでの参考になります。
4.ChoTotは、どこで収益を上げているのか?
日本のフリマサービスでは途中にカード決済を挟み出品者から決済額の何%という形で手数料を取っていますが、chototは決済まではやっておらず、あくまでもサイト内で出品者と購入者を結び付ける仲介のみをしているように見受けられます。
またサイトをあちこち見ていくとバナー広告などもありますが主な収益源として考えられるのは、商品の宣伝サポートメニューと考えられます。単に出品をするだけなら無料の様ですが、
◆検索結果において商品を上位に持って行く機能
◆商品にSales、Discount、Hotといったタグを付けて目立たせる機能
などを有料としており課金しています。その課金決済手段としては、
■キャリア課金代行(SMSを使い、特定の番号にSMSを送るとプリペイド携帯のチャージ済みの残高が減る仕組み)
■銀行振り込み、クレジットカードでの課金
を設けており、またサイト内ポイント(Tot dong)を使って、サイト内サービスの支払いに使える様にもしています。これは商品の支払いには使えないポイントで、またこのポイントを貯めるための手段は、同様にSMSや銀行振り込み、クレジットカードとなります。
5.ChoTot手数料の料金体系からわかること
出品している商品のジャンルによって料金が異なっており、料金が高いジャンルは出品数が多いなど人気があるジャンルではないかと想像できます。
■宣伝料金が一番安い商品群
・SMS支払いの場合:1回1万ドン
・銀行&カード払いの場合:1回5千ドン、3日間1.4万ドン、7日間3.2万ドン
カメラ、記録機器、洋服、内装、インテリア、赤ちゃん用品、音楽、映画、本、家具、ペット、靴、バック、アクセサリー、スポーツ用品
■宣伝料金が安い商品群(1)
・SMS支払いの場合:1回1.5万ドン
・銀行&カード払いの場合:1回1万ドン、3日間2.8万ドン、7日間6.3万ドン
電子アクセサリー(スマホの付属品など)、収集コレクション物、ゲーム、タブレット、TV、スピーカー、アンプ、音楽機器、白物家電(冷蔵庫、エアコン、扇風機、洗濯機)
■宣伝料金が安い商品群(2)
・SMS支払いの場合:1回1万ドン
・銀行&カード払いの場合:1回1万ドン、3日間2.8万ドン、7日間6.3万ドン
バイクや車のアクセサリー、自転車
■宣伝料金が少し高め商品群
・SMS支払いの場合:1回1.5万ドン
・銀行&カード払いの場合:1回1.5万ドン、3日間4.3万ドン、7日間9.5万ドン
自動車、バイク、トラック、その他車両、アパート、マンション、一戸建て、土地、オフィス、工業用の敷地、賃貸住宅
■宣伝料金が高い商品群
・SMS支払いの場合:1回2万ドン
・銀行&カード払いの場合:1回2万ドン、3日間4.3万ドン、7日間9.5万ドン
求人(会社が募集を出す)、求職(個人が雇ってくれる人募集)、コンピューター、スマホ、オフィス用品、各種サービス、業務用品、農業用品、旅行
ベトナムでオンラインフリーマーケットへ新規参入するなら、上記のような値段が高めに設定されている商品=出品数が多い商品を狙う、最初はそこに力を注ぐというやり方もあると思います。
またSMSを活用したキャリア課金代行は手数料が高いようで振り込みの方が安いです。おそらくSMS課金では1回につき固定額+何%という手数料をキャリアが取っている為と考えられます。
6.なぜフリマで入居者募集や不動産販売をしているのか?
ホーチミンやハノイの街歩きした際に気づく点として、日本ではどこでも存在する街の不動産屋さん(路面店で店先に販売や賃貸アパートの情報を掲載したお店)を全く見かけないことに気づきます。
ではベトナム人にどのようにアパートを探しているのか聞くと、このChoTotを始め他のオンライン不動産会社のサービスで探していることが多いという話で、地場の不動産会社(店舗)を活用してという話はあまり出てきません。
アジアでも香港や中国本土では、物件情報を張り出している街の不動産屋を目にする
よってベトナムでは街の不動産屋さんという選択肢が日本よりも少ないため、オンラインでの不動産情報(住居を探し、売買)というニーズが強く、これをフリーマケットサービスがうまく取り込んだものと思われます。
一方でChoTotサイトのUIや検索機能が不動産検索にあたって最適化されておらず不便であることや、あちこちで新築ラッシュ&投資目的の不動産への資金流入、若い夫婦の新居需要といったベトナムの経済環境を考えると、オンラインを活用した不動産取引のサービスについては、イロイロとビジネスチャンスが眠っているように思われます。
また今後急速にモータリゼーションを迎えるベトナムにおいては、中古車などのオンライン取引についても可能性がありそうですね。
7.ベトナムのITビジネスならご相談下さい
ベトナムへ進出されるならホーチミンで約9年、オフショア開発・アプリ開発を展開しているバイタリフィ・バイタリフィアアジアへお気軽にご相談ください。上記のようなベトナムのビジネス情報提供に加えて、オフショア開発のリスクや費用を極限まで抑えた『拠点開設プラン』も用意しております。またベトナム向けIT・WEBサービス/アプリの開発支援、ローカライズ、テストマーケティングといった進出支援に加えて、日本や他国向けのオフショア開発やアプリ開発も行っております。
本ページ内の画像は、不動産屋さんの画像を除きChoTotより引用したもので、その権利はChoTotに帰属します。