「ニアショア開発」という言葉を聞いたことがある方はいるでしょうか。
オフショア開発を検討していると聞くこともある言葉かもしれません。
なるべく安く開発を進めたい人にとって、ニアショア開発も気になる選択肢の一つのはずです。この記事では、ニアショア開発について、オフショア開発との比較をしながら解説します。
目次
1. ニアショア開発ってなに?
オフショア開発が、オフ=離れる、ショア=岸、つまりベトナムなどの海外に開発を頼むのに対し、ニアショア開発とは、ニア=近い、ショア=岸、つまり国内の地方などに開発を頼むことを指します。
よく挙げられるのは、沖縄や福岡の九州地方、青森や北海道などの東北地方などでしょうか。
オフショア開発が、物価の安い東南アジアへ頼んでコストメリットを出すのと同じで、日本でも地方は生活費や賃金が東京と比べると安いため、その価格差を利用してコストメリットを出すというのがニアショア開発です。
1-1. 実際どのくらいの差が出るの?
ニアショア開発といっても、東京に住んでいる人からすると「そんなに価格差が出るの?」と不思議に思うかもしれませんね。
まずは、地方と東京の賃金を比べてみましょう。
厚生労働省によると、現在の最低賃金は以下のようになっています。
東京
最低賃金ー1,013円
沖縄
最低賃金ー790円
青森
最低賃金ー790円
ここに例に挙げた最低賃金の違いだけでも、1ヶ月(22日)、最低賃金でフルタイムで働く場合は
東京が178,288円、沖縄・青森が139,040円で39248円、約4万円ほどの差が出ます。
また、ニアショア機構のデータによると、エンジニアの単価は、東京を1とすると、沖縄は0.71、青森は0.65となっています。
つまり、沖縄や青森のエンジニアへ仕事を依頼するときには東京で払う単価の65%〜70%前後で頼める可能性があるということです。
もちろん、オフショア開発のように物価が東京の3分の1とまではいかないので、そこまでコストメリットが出るということはありませんが、それでも東京で探すよりは安いのではないでしょうか。
2. ニアショア開発のメリットは?
ニアショア開発のメリットとしては、まず東京で開発を頼むよりも値段が安く済むことでしょう。
また、オフショア開発と違って、エンジニアはほとんど場合、日本にいる日本人です。
そのため、オフショア開発に比べるとコミュニケーションコストがかからない可能性が高いです。
オフショア開発では、なかなか製品の品質レベルの意識を合わせるのが大変なことがありますが、ニアショア開発であれば、製品に対する品質レベルなどにそこまで大きな乖離が出にくいことは非常に大きなメリットとなり得ます。
国内ということもあり、時差なく開発やコミュニケーションが行えることも大きなメリットです。
オフショア開発に頼んでいると、自分が仕事が終わった後にメッセージが来たりするので、対応に迷うことも多々ありますが、日本でニアショア開発を行う場合、基本の勤務時間はほとんど同じかと思いますので、それほど困ることは無いでしょう。
3. ニアショア開発のデメリットは?
逆にニアショア開発のデメリットはなんでしょうか?
ニアショア開発は、オフショア開発ほどコストメリットが出ないという点が挙げられます。
オフショア開発ほど安くなく、でも開発体制はオフショアのようにリモートで行うため、開発の進捗について把握したり、すぐに問題を解決したりということがしづらい環境ではあります。
また、ベトナムに代表されるオフショア開発は、非常に優秀な人材も日本よりコスト安く雇うことができます。
それに対し、日本では優秀な人材はやはり東京にいることが多く、また地方にいたとしても東京と同じくらい高いので、特にコストが削減できるわけでは無いという結果になりがちです。
これから国内のIT人材がどんどん不足していくと言われている日本では、地方においても優秀な人材を確保することは決して容易ではありません。
5. オフショア開発とニアショア開発、どっちにする?
では、どのようなことを基準にしてオフショア開発にするかニアショア開発にするか決めるのが良いのでしょうか?
決めるための要素はいくつかあると思いますが、まずは基本的な下記のことをチェックしてみると良いでしょう。
5-1. 予算は?
エンジニア3人、PM1人のプロジェクトを3ヶ月行う場合を例にとります。
例えば、東京でこの体制で開発をしようとすると、3ヶ月合計で1020万円かかるとします。
ニアショア開発を東京の単価の70%として計算すると、ニアショア開発での3ヶ月合計は714万円となります。
一方、オフショア開発の平均単価から計算すると、3ヶ月合計で570万円となります。
実際には諸経費なども入ってくるのでこの通りにはならないと思いますが、まだまだオフショア開発の方がコストメリットが出やすいのは事実です。
5-2. コミュニケーションをする人は?
オフショア開発だと、こちらでかなり綿密にプロジェクトの詳細を決めておいた方が成功しやすいです。
そのため、開発委託先とやり取りをする人がなるべく経験のある人の方が良いでしょう。
しかし、オフショア開発先に経験豊富なPMやエンジニアが揃っていて、お互いに期待値のすり合わせができればそこまで心配する必要はありません。
ニアショア開発であれば、開発委託先のエンジニアの方である程度は顧客の要望汲み取ったり、開発や製品のセオリーを適用して実装をしてくれることが期待できます。もしあまり開発経験がないという場合は、ニアショア開発の方が安心できるかもしれません。
5-3. 連絡を取る頻度や、直接会う必要性は?
もし、なるべく勤務時間を合わせて時差なく開発を行う必要があったり、定期的に会わないといけないという場合は、時差もなく距離も近いニアショア開発が適しているかもしれません。
少し時差があっても大丈夫、リモートでもうまくマネジメントできる時はオフショア開発の方が圧倒的にコストのメリットもでるのでオススメです。
ベトナムの場合は、日本から6時間程度かかってしまいますが、最近はLCCも就航して安くベトナムを訪れることが可能になりました。
5-4. プロジェクトや、欲しい人材は?
上記でもお伝えしたように、日本国内では優秀な人材を取りたいと思っても、かなり高くなるのが現実です。
高度な人材が必要だが、予算が限られているというときはベトナムなどのオフショア開発に頼む方が人材の確保はしやすいように思います。
特にAIを使うプロジェクトなどでは、日本の人材を採ろうと思うと非常に高くなります。
レベル的にはベトナムも優秀なAIエンジニアは多いため、一度オフショア開発を視野に入れて検討してみるのが良いでしょう。
6. まとめ
ニアショア開発もオフショア開発もそれぞれメリット、デメリットがあるため、作りたいものや予算に合わせてしっかり検討することが大切です。
なかなか予算も人材も完璧な委託先を見つけることは難しいですが、より良いものを作るために、自分に合ったパートナー探しをしてくださいね。
7. ベトナムでオフショア開発をするならバイタリフィへ
ベトナムでのオフショア開発を検討している方は、ぜひ弊社へご相談ください。
バイタリフィ・バイタリフィアアジアでは、ホーチミンで2008年から10年超のオフショア開発経験と実績を活かし、優秀なベトナム人エンジニアを活用したソフトウェア開発・サービス開発/保守運営が可能です。
また、当社は、ベトナムに子会社(バイタリフィアジア・スクーティー)を設立しています。
バイタリフィアジア・スクーティーでは、当社で受けた案件の開発部分をベトナム拠点に依頼するようなオフショア開発ではなく、お客様がベトナム拠点と直接関わり、案件進行して頂く事によりコストを抑えたリソース提供を可能にしています。
お客様の専属エンジニアをベトナムにもって頂くようなイメージでの開発が可能となっていますので、「どのようなチームで、どんな風に開発を進めれば良いのかわからない...」と迷っている場合にも一度お気軽にご相談ください。
当社で受託するのがよいのか、バイタリフィアジアへお繋ぎするのがよいのか、お客様にとって適切な開発体制をご提案しています。