doshishauniv_shimohara_prof

2023.01.16

インタビュー[オフショア開発] インタビュー

日々の暮らしでポイントが貯まる!地域との繋がりを可視化してコミュニティを活性化するアプリとは【同志社大学インタビュー】

今回、同志社大学理工学部情報システムデザイン学科の研究の一貫として地域コミュニティを活性化するアプリの開発をご依頼いただきました。

本日は、同志社大学教授 下原先生 に今回の開発についてインタビューをしてまいりました。また、研究室の学生の方々を対象に実施した今回の開発に関する講義の感想なども伺っています。

下記インタビューの模様をまとめましたので是非ご一読ください。

■下原先生の研究テーマや普段の講義内容について教えてください。

下原先生

研究テーマは多岐にわたりますが、主軸としてはシステム情報学の研究を進めています。大学では主に理工学部の情報システムデザイン学科にいる情報工学を学ぶ学生たちを対象に、システム情報学や社会情報システムといった講義を行なっています。

■ご依頼いただいた開発内容を教えてください。

CSDアプリという地域コミュニティを繋ぐためのアプリとそのデータを集めるためのクラウドサーバーの開発を行なっていただきました。

■今回の開発プロジェクトを実施することになった背景を教えてください。

我々の研究テーマは「コミュニティシステムデザイン」というもので、地域コミュニティを研究の対象としています。アプリの名称であるCSDはこの「Community Systems Design」の略です。

システムというのはシステムを構成する要素と要素同士の関係性で定義されていて、システムとして一つの機能や目的を達成しようとすることで成り立っています。サッカーに例えて話すと、メンバーが要素、チームの連携プレーが関係性と言うことができます。チームのパフォーマンスは目に見えるメンバー(要素)だけではなく、メンバー同士の目に見えない連携プレー(関係性)で良さが決まりますよね。企業などの組織も、社員と社員同士の関係性や、各々が属する部署同士の連携で成り立っているため同様にシステムと呼ぶことができます。

我々は地域コミュニティもこれと同じようにシステムとして捉えていて、地域コミュニティを良くしていくには、住んでいる人々同士の連携や繋がりを大事にしていく必要があると考えています。企業の場合には目的が共有され、対価ももらっているため「一つの目的を達成すること」を目指しやすいシステムである一方、地域コミュニティは家族構成も世代も価値観も考え方も違う人たちがたまたまそこに住んでいて、特別なにか目的を共有しているわけではありません。比較的薄い関係のシステムだと考えています。このシステムにおいて繋がりを強化し広げていくことが地域コミュニティを良くすることに繋がるのでは、という考えから今回のCSDアプリの開発プロジェクトがスタートしました。

アプリは具体的にどのような内容ですか?

CSDアプリキャプチャ

簡潔に言うと、地域での活動がポイントとして貯まっていくという仕組みです。例えば、朝散歩をして、病院に行って、買い物をして、誰かと会って話をして…というように人々は日常生活を暮らす中で情報を生成していると言えますが、これらは当事者さえ忘れてしまい消えていくものですよね。ですが、我々は地域で暮らす方々がごく自然に日常生活を送る中で生み出すヒト・モノ・コトに関わる情報は実は極めて重要で、ある意味資産であると考えており、関係資産と呼んでいます。そういった日々の行動を全てデータとしてポイント化して、地域との関係を定量化・可視化することで住民のみなさんにフィードバックできる内容になっています。

スマートフォンがあれば、位置情報を取得することで、散歩した距離、誰とどこで会った、いつどこに行った、何のイベントに参加した、というデータを貯めることができます。それぞれに若干のポイント差をつけて、「あなたは今日地域活動で〇〇ポイント獲得しました」というようにアプリ内で確認できるようになっています。CSDアプリ使用者同士のすれ違い、歩数の計測、陣取りゲームや地域マップへの参加、指定の施設訪問、ポイントを誰かにギフトする時のコメント追加などの方法でポイントを獲得することが可能です。

CDSアプリならではの点として、自分のポイントを誰かにギフトする仕組みと「みんなの共通ポイント」というものを設けています。貯まったポイントをそのまま自分で保持していると、日々一部のポイントが回収されてしまう仕組みになっており、減らないようにするためには、他の人にポイントをギフトすることを勧める仕組みがあります。あげた分一時的にポイントは減りますが、このギフトしたポイントが「みんなの共通ポイント」としてカウントされ、地域全体でギフトされた分が総計され1週間に1度その一部がアプリの使用者に配られます。このような仕組みを通じて自分の生活を成り立たせている周りの物事に気づき、自然にそして自発的に地域活動に関わる気持ちを育むことを考えています。ポイントを送る時にはメッセージもつけられるようになっています。

こうすることで自分一人で何か行動してポイントを貯めるのではなく、他の人との繋がりも意識しながらポイントを貯めるという動機付けになります。

貯まったポイントはどうなりますか?

よくあるのはお店の割引に使えたり、1ポイント1円になったりというものですが、我々の実験では現在そのような仕組みにはしていません。

理由としては地域活動をする動機が「お金」になってしまうことはいいことだと考えていないからです。「お金になるから歩いている」「お金になるから会話している」となってしまわないように、あえて金銭的な価値はつけておらず、その街に暮らす人々の気持ちが豊かになる指標になればいいなと思っています。貯まったポイントをみんなでギフトし合いながら人との繋がりが強くなって街が活性化していくことが理想ですね。

■バイタリフィの営業からの提案内容はいかがでしたか?

我々は学生主体でアプリの仕組みを考えていくのですが、どうしても抜けが出てきてしまいます。バイタリフィ社はその点プロフェッショナルな方々なので、実装するためのアルゴリズムやメカニズムを細かく提案していただきました。

■バイタリフィで制作中の対応やプロジェクトの進め方はいかがでしたか?

我々の学科の学生たちもプログラミングを学んでいる学生たちです。しかし、大きなシステムかつ多くの人たちに満足して使ってもらえるようなソフトウェアやプログラムを作り上げるまでのレベルには至っていません。この部分をバイタリフィ社にお願いしているのですが、学生たちも技術を磨きたいという意欲を持っているので、彼らの勉強も並行して行えるようにサポートしていただきました。開発環境を共有してもらってプログラムの中身を理解したり、バイタリフィ社の技術者の方に質問して答えてもらったりですね。とてもありがたかったです。

■納品物の品質はいかがでしたか?

現在バージョン3までリリースしていますが、フィールド実験を行いながら徐々にいいものが出来上がってきていると思います。

我々が動作検証した段階では問題なかったものの、使う方の多くがご年配の方ということもあり、実際に出来上がったアプリを使ってもらうと想定していなかった使い方をされることが多くありました。例えば「戻る」ボタンとして置いていた矢印がそもそも何の矢印なのかわからず、他のボタンを押してしまう、メールアドレスの登録に手間取ってしまう、などです。

フィールド実験を経て、機能を取捨選択したり、ブラッシュアップしたりしながら現在も一緒に改良を進めているところです。

フィールド実験は特定の地域で行われたのでしょうか?

はい。フィールド実験は2ヶ所で行いました。一つは京都府宇治市槇島町というところです。元々NPOがあり、コミュニティを豊かにしようという意識が高い地域だったため、その活性化に役立ててもらおうと実験に協力してもらいました。

もう一つは秋田県能代市というところです。我々と共同研究を行う先生がいる地域で協力をしてもらいました。

現在は2ヶ所ですが、今後も徐々に地域を広げていけたらと思っています。

■学生の方々を対象に弊社からの講義を実施させていただきました。その背景を教えてください。

プログラムについての細かな質問については先ほど言ったように随時質問させてもらっていたのですが、全体が見えていない、分かっていないことを痛感したので開発を行うにあたっての全体の構造や枠組みについての理解を深めたいと思い、講義をお願いしました。

具体的には、クライアント・サーバー型のシステムをどのようなフレームワークでどのように開発するのか、今回使用したクラウドであるAWSをどのように使っているのかといった内容です。中身のソースコードなどを分析するにあたってもまずは全体のことがわかっていないと先に進めないので、講義を実施していただいたことで大変勉強になりました

■講義を受けてみて印象に残った点や良かった点があれば教えてください。

大学の場合、特に研究室においては、学生が2〜3年で入れ替わります。元々学生たちが開発したシステムをベースに改良を続けていくのですが、数年して学生が入れ替わって機能が複雑化していくと、段々とシステムの全体が見えなくなってしまうんですよね。毎年スキルやレベルの異なる学生が入ってくるため、効率の良いソフトウェア開発というのがどうしても難しい部分があります。

今回はフィールド実験を行うということもあり、完成度の高いアプリを作るためにプロにお願いさせていただいたのですが、同時に学生たちにとってもいい学びの機会でした。

今回の講義で全体の構造を教えていただいたことで、学生たちも全体像を掴んでから開発についての理解を深めることができました。講義していただいて本当によかったですし、ありがたかったです。もっと早くお願いしていれば良かったと思いました(笑)。我々にとっても大きな資産となりました。

■今回のアプリ開発を通じて、研究テーマ内で数値的な効果はありましたか?

フィールド実験で実際に地域のみなさんの活動がデータとして出てくるので、アプリを通じて行動の分析や仕掛けに対する効果計測などができています。学生たちも卒業論文や修士論文、学会発表の論文などでデータを活用できています。

■下原先生から見たバイタリフィの強みは何だと思いますか?

一緒に開発してくれる一体感だと思います。

今回特にバイタリフィアジア社のNhi(ニー)さんと頻繁に連絡をとっていたのですが、うまく連携して開発ができたなという印象です。我々の基本設計やアプリの仕様書の抜けの部分を指摘していただいたり、逆提案をしていただいたりと、“依頼側” と “依頼される側” という関係性ではなく、「一緒に考えて開発していく」という姿勢がすごくいいなと思いました。

■今後弊社にどのようなことを期待されますか?

一緒に開発をしていってくれることが我々にとっては何よりもありがたいので、この関係性を続けていけたらと思っています。

■最後に今後のCSDアプリについてや研究の展望があれば教えてください。

下原先生2

CSDアプリは今後も改良を続けていきたいと思っています。研究をして、シミュレーションをして、フィールド実験をして、フィードバックしてという風に、ある種の理論研究と実証実験を連携させた研究展開を行っている過程なので、今後もこのような研究展開を続けながらより良いものにしていけたらと思っています。

■まとめ

インタビューのお時間いただき誠にありがとうございました。

バイタリフィでは、今回ご依頼いただいたようなオフショアを活用した段階的な開発はじめとして、新規アプリやシステムの請負での開発も可能です。ご希望の要件に合わせて、最適なご提案をさせていただきます。その他、エンタープライズ系、エンタメ系、IoTなど多種多様なジャンルを得意としておりますのでご興味ある方はぜひお気軽にご相談いただけますと幸いです!

問い合わせ

DX時代に適応した開発ならバイタリフィへ

DXパートナー

バイタリフィは、「ベトナムラボ型オフショア開発サービス」を「DXパートナーサービス」へ事業展開し、AIやIot、AR・VR・カジュアルゲームのUnity案件などの最先端技術にも対応できるようになりました。

主に3種類の開発サービスを通して、ITによるお客様ビジネス促進のサポートに携わります。

1. DXを促す伴走型オフショア開発
お客様専属の開発チームを構築し、ビジネス・DX並びにプロダクト開発を成功に導くためのパートナーとして開発業務にあたります。WEBサービス・業務システム開発やシステム保守・運用、iOS・Android・PC用アプリ開発など、幅広いニーズに対応します。※要望に応じて、伴走型(ラボ型)だけでなく請負型での開発も可能です。

2. モバイルとAIを組み合わせたサービス開発
課題解決や新たな価値創造に繋げるべく、AI(人工知能)の開発や導入を支援します。

3. Unityを用いたゲーム・AR・VRほか各種コンテンツ開発
モバイルの利用率が高まっている時代の流れに沿って、世界で最も使用されているゲーム開発プラットフォーム「Unity」の専門チームを構築し、カジュアルゲーム・AR・VRほか各種コンテンツ開発が可能です。

料金など詳しくは以下からお気軽にお問い合わせください。

問い合わせ

▼関連記事