2017.09.14

オフショア開発

2017年ベトナムオフショア開発環境(前編)~開発言語/スキルでIT人材の給与水準はどう違うのか?~

ベトナムにあるオンライン求人サイトTopDev社より、5,500のIT求職者、150超の企業による募集内容、7万件のデータを基に分析したベトナムのIT人材に関する調査レポート(2017年上期)が発表されていました。

この資料はベトナム語になりますが「開発言語やスキルごとベトナムのITエンジニアの給与相場や見通し」といった、ベトナムでのオフショア開発をご検討の方にとって、役立つ情報が満載でしたので、前編と後編2回に分けて日本語で紹介いたします。

NEW2018年10月12日に最新のITエンジニア/プログラマーの給与水準について新たに記事を公開しました

1. ベトナムにおけるIT人材のニーズ

以下、いずれもTopDev社のサイト内における集計結果より。

1-1. ベトナムIT人材の求人件数

・2012年:7,567件
・2013年:8,250件(前年比+11%増加)
・2014年:9,405件(前年比+14%増加)
・2015年:12,550件(前年比+35%増加)
・2016年:18,230件(前年比+45%増加)

上記は、TopDev社だけの件数ですが、ベトナムにおけるIT人材の採用ニーズが年々大きく成長している様子が伺えます。

ベトナム全体で現在20万人のIT人材の求人数は、2018年末までに35万人と大幅に増え2020年には、50万人のIT人材が必要とされるなどさらに増えていく見込みです。

1-2. IT人材の求人件数の割合をベトナム3大都市で比較する

3大都市の合計求人数を100%としたときに、
・ホーチミン市:59%
・ハノイ:39%
・ダナン:2%
となり、南部の商業都市ホーチミンでの求人募集が圧倒的に多く、応募してくるエンジニア数も多いこともあって採用活動が他の都市よりも活発であることが推測できます。

1-3. 職位(ポジション)別のベトナムIT人材の求人状況

・新卒や未経験者:5%
・経験者:85%
・管理者:9%
・経営者:1%

経験者が85%と多いですが、その中でも60%以上は、「シニアレベル以上」を求めています。具体的には、求人を出している250以上の企業のデータから「少なくとも2年間以上の経験を持っている開発者」または「シニアレベルの開発者」を求めていることがわかるとのことでした。即戦力重視ということですね。

1-4. 仕事内容別のベトナムIT人材求人状況

・アウトソーシング:48%
・自社製品の開発:41%
・その他:11%

例えば、日本国内で使われるお客様のソフトウェアやITサービスをオフショア開発会社が開発するといったアウトソーシング形態が約半数、自社ITサービス開発の拠点(ベトナム国内向けサービスも含む)がそれより若干少ないくらいで、アウトソーシングがまだ大半であるベトナムの現状がわかるものの、今後ベトナム国内向けのITサービス需要増加や賃金水準の上昇などから、ベトナム国内向けサービスの開発比率が高まっていくと考えられます。

2. ベトナムIT人材募集での開発言語・スキルとその給与水準

「求人を出しているベトナムIT企業で、どのような分野に関心が高いのか?」という点では、
・Javascriptに精通している
・様々な開発フレームワークをよく知っている
という2点が分析結果として挙げられていました。

またトレンドとして以前は、求人が多かったのはJAVAであったものの直近では、JavaScriptにシフトしている様です。さらに今後増えてきそうなのは、人工知能(AI)、機械学習(ML)などの分野とのこと。

2-1. ベトナム人求職者側で多く検索されている開発言語やスキル

・JAVA:37%
・PHP:19%
・Android:11%
・iOS:9%
・.Net:8%

多く検索されているスキル・・・とあるので仕事を探す求職者(ベトナム人エンジニア)の側での行動と思われます。

それゆえこのデータからは、JAVAやPHPのエンジニア(求職者)が多い=採用しやすいことがわかります。

2-2. ベトナムにおける開発言語・スキルとその募集給与水準


上記グラフはTopDev社の資料より

募集の多さは横軸の%ですが、マルチスキル人材など1つの募集であってもそれぞれにカウントされる様ですので合計しても100%にはなりません。
このグラフから分類してみます。()内は、USドルです。

◆募集給与が1,000ドル以上と高めで求人が多い(ニーズが高い)分野
JAVA(1,161)、Javascript(1,070)、SQL(1,100)、React.JS(1,037)

◆募集給与が1,000ドル以上と高めで求人がそこそこな分野
C#(1,037)、React Native(1,170)、Node.js(1,219)、Python(1,140)

◆募集給与が1,000ドル以上と高めで求人が少ない(ニーズが低い)分野
Symfony(1,251)、Swift(1,190)、Scala(1,208)、Xamarin(1,186)

◆募集給与が1,000ドル未満と低めで求人が多い(ニーズが高い)分野
CSS(820)、PHP(910)

◆募集給与が1,000ドル未満と低めで求人がそこそこな分野
HTML5(971)、ASP.NET(903)、Bootstrap(570)

◆募集給与が1,000ドル未満と低めで求人が少ない(ニーズが低い)分野
Perl(942)、SASS(933)

といった傾向があります。また日本向けでニーズが高いRubyは、給与水準が1,190ドルと高いものの、ベトナムにおいては募集(それに伴う求職者)が多くは無いことがわかります。

2-3. ベトナムIT企業における開発言語のニーズ


上記グラフはTopDev社の資料より

Javascript、PHP、C#、Java、Swift、C++、ASP.netといった順で求人が多いことがわかりました。

最近オフショア開発の相談でもフロントエンドの開発はJavascript、バックエンドの開発はPHP(またはJava)でというご相談が多く、この傾向については肌感覚と一致します。

3. ベトナムITエンジニアにおける給与水準

3-1. ベトナムITエンジニア平均給与・昇給率・給与の高い分野

・経験者に対する平均給料:1,160ドル
・2017年の昇給率:6~20%
・一番高い給料を払っている分野:モバイル業界向け

平均給料1,160ドルは、1ドル110円で換算すると127,600円。今年2月に書いた「ベトナムにおけるIT人材の平均賃金は2,600万ドン(約13万円)?」というVietnamWorks社の調査レポートを基にした数値とほぼ一致します。

またモバイル業界というのは、スマホ向けのアプリ開発やサービスと思われ、最近ですとJavaScriptを使ったシングルページアプリケーション開発などのニーズが高まっています。

3-2. スキルレベルによって異なるベトナムITエンジニア給与水準

・新卒で2年以下の経験者:月350~520ドル
・2年以上の経験者:月750~812ドル
・経験5年以上やリーダークラス:月980~1,530ドル
・経験10年以上または、管理職や経営陣:月2,300~2,840ドル

給与格差が日本以上に大きいベトナムの状況をよく反映しています。
新卒の場合、給与水準が高いホーチミンでも500ドル以下であるものの2~3年の経験で1.5倍、会社として任せられる人材となると新卒時の2~3倍である1,000~1,500ドルとなり、マネージャークラスだと新卒時の5倍超、2,500ドルを超えてきます。

日本で新卒時の給料を仮に20万円として比較していただければ、その上がり方が急であること(5年目でリーダークラス月収40~60万円、マネージャーなら新卒の5倍で月収100万円)がご理解いただけると思います。

3-3. 職種(分野)によるベトナムITエンジニア給与水準の違い

・QA/QC Engineer:月820ドル
・ソフトウェア開発者:月930ドル
・インフラやネットワーク:月1,070ドル
・ビッグデータや人工知能など:月1,325ドル
・プロジェクトマネージャーなど:月1,412ドル
・部門責任者:月2,721ドル

ビッグデータや人工知能関係が挙げられていますが、今後は暗号通貨やブロックチェーンなどの分野が入ってくるのかもしれません。

3-4. ベトナムのIT業界で高い給料をもらえるTOP5スキル

求人の80%に該当する人気のあるスキルとしては、
・ビッグデータ関連:月1,325ドル
・スマホアプリ(iOS/Android):月1,212ドル
・JavaScript(React、Node、Angular):月950ドル
・Ruby:月820ドル
・Python:月719ドル
などが挙げられています。

また同じく求人の80%に該当するデータより、ベトナムでは採用の際にどんな能力を持っている人が人気があるのか?という点では、
・フルスタック
・ソフトスキル、チームワーク、管理能力、クリエイティビティ
・英語能力
といった3つのポイントが挙げられております。

例えば弊社Vitalify Asiaでも採用の際には、英語でのコミュニケーションができること、マルチ開発言語能力や一般的なコミュニケーション能力を重視しており、上記3つのポイントは納得がいく点でもあります。

次回後編では、給与(金額)の満足度や福利厚生、エンジニアはどうやって勉強をしているかなどベトナムオフショア開発のもう一面を紹介予定です。

4. ベトナムでオフショア開発をするなら現地情報も豊富なバイタリフィへ

ベトナムへ進出されるならホーチミンで約11年、オフショア開発・アプリ開発を展開しているバイタリフィバイタリフィアアジアへお気軽にご相談ください。上記のようなベトナムのビジネス情報提供に加えて、オフショア開発のリスクや費用を極限まで抑えた『拠点開設プラン』も用意しております。またベトナム向けIT・WEBサービス/アプリの開発支援、ローカライズ、テストマーケティングといった進出支援に加えて、日本や他国向けのオフショア開発やアプリ開発も行っております。

本ページ内のデータや画像は、TopDevの資料から引用したもので、その権利はTopDev社に帰属します。

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