2017.09.25

オフショア開発

2017年ベトナムオフショア開発環境(後編)~給与/福利厚生の満足度やITエンジニアのスキルアップについて~

オンライン求人サイトTopDev社「ベトナムのIT人材に関する調査レポート(2017年上期)」のうち、前回の前編では開発言語ごとの給与水準などを紹介しましたが、今回の後編では、給与/福利厚生に関する満足度及び、ベトナム人ITエンジニアがどのようにスキルアップをしているのかや、求人状況から見えてくるトレンド(ベトナムで人気のあるフレームワーク)などについても紹介します。

1. ベトナム人ITエンジニアの昇給率や給与満足度について

2017年ベトナム人ITエンジニアの42%がもっと給料や福利厚生などの待遇が良いところであれば、現在の仕事をやめて転職したいと考えています。まず給料の満足度を見てみます。

1-1. ベトナム人ITエンジニアの給料に対する満足度と転職について

・満足:11%
・まぁまぁ/どちらでもない:54%
・不満足:35%

どちらでもないと回答している人が半数超であるものの、満足と回答した人の3倍は不満に思っている人がいます。これにたいして企業側の昇給計画を見てみましょう。

1-2. ベトナムでIT企業は、2017年に何%昇給させる計画か?

・1~5%の昇給率:5%
・6~10%の昇給率:41%
・11~20%の昇給率:28%
・20%以上の昇給率:7%
・昇給計画がまだ無い:15%
・昇給しない(据え置き):4%

2017年のインフレ率は4%くらいと予想されていますが上記を見た限り、76%のIT企業がインフレ分以上の昇給を計画していることがわかります。これは、エンジニアの離職(引き抜き)を防ぐという為、優秀なエンジニアは大きく昇給せざるを得ないという側面があると思われます。では、どのような条件で昇給をさせているのかを見てみましょう。

1-3. ベトナムでIT企業は、どういう理由で昇給させているのか?

・会社の業績/パフォーマンス:38%
・ポジションの昇格による時:34%
・会社のポリシーによる昇給:15%
・新しいスキルを身に付けた時:11%

パフォーマンスや昇格といった点がそれぞれ3分の1ずつ、これに能力UPも加えると大半が成果主義的な昇給であることがわかります。

一方で成果によらず全員一律で上げていると思われる(会社のポリシーによる昇給)があるのも、経済成長中でインフレもあるベトナムらしさが見えてきます。

2. ベトナムのIT企業では、どのような福利厚生を行っているのか?

まずこの項目の総括として、
・ベトナム人の従業員にとって福利厚生は重要である
・社員のモチベーションを上げるため、多くの会社が福利厚生を充実させている
と述べられており具体的には、「社内学習のチャンス」「オフィス環境や施設」「待遇や手当」などがあげられていました。

2-1. ベトナムで企業とITエンジニア、福利厚生において重視している点の違いは?

TopDev社の資料に掲載されていたグラフに、日本語の解説を付けたのが下記画像になります。

グラフの左側が社員が期待している点、右側が企業が重視している点です。内容によってはギャップがあることがわかります。

たとえば、企業側は、「女性社員を大切にする制度(出産休暇?)」「自宅勤務」「オフィス環境や設備」などを福利厚生として重視していますが、従業員側はそこはあまり重視していません。

一方で従業員側は、「各種手当(昼食や住居など)」「交通費支給」などの手当てを福利厚生として望んでいますが、企業側はそこへの関心が低いです。この点補足すると、日本では勤務の際に通勤交通費は別途支給するのが一般的(しかも一定額まで非課税)ですが、ベトナムでは給与に含めるケースも多く、それゆえ通勤交通費支給という福利厚生を望む声があります。

ベトナムで多いのはバイク通勤、オフィスには駐輪スペースが必須

また家族や従業員本人を民間健康保険に加入させることという項目があります。これも日本と違うところで、ベトナムでは強制加入の健康保険もありますが、あらかじめ指定した一部の公立病院しか使えず、その医療サービスレベルが低いという特徴があります。日本のような医療サービスが期待できるのは、民間の病院ですが健康保険の適用外のため、『民間の病院にも対応した民間の健康保険に加入』という福利厚生のニーズがあります。

その他、ベトナム人従業員(ITエンジニア)側では「臨時賞与や賞金」「スキルアップできる環境」といった点を重視している人が多いことが上記表から見えてきます。

2-2. ベトナムのIT企業が提供する福利厚生の満足度

・満足:26%
・不満足:30%
という結果で若干不満足が多いですが数値的には、ほぼ拮抗していますね。

3. ベトナムのITエンジニアは、どのようにスキルアップをしているのか?

ITエンジニアの内、専門資格を持っている開発者の割合は、25%でした。

ベトナムの企業は、社員が資格を取得できるよう援助をしており具体的には、
・外国語(英語や、日本語検定2級など)
・専門資格(MiacrosoftやAWSなどの技術資格)
・自分自身で勉強できるための援助
などがあります。その詳細を見ていきましょう。

3-1. ベトナム企業によるITエンジニア向けトレーニング内容

・英語:31%
・プログラミングスキル:30%
・IT系の資格取得:25%
・マネジメントスキル:24%
・プロジェクト管理スキル:22%
・その他:7%

プログラミングスキルよりも英語スキル向上という意外な結果でした。背景としては後述するように、最新の技術情報は英語で書かれたWEBから収集する必要があるからと推測できます。またベトナムの全IT企業に所属するエンジニアの内、25%が何らかのトレーニングを受けているとのことでした。

3-2. ベトナムにおけるIT系の資格に関する関心度

・プロジェクト管理関係:45%
・アジャイル型開発関係:39%
・AWS(Amazon Web Service)の資格:21%
・CISCO社の資格:41%
・MicroSoft社の資格:32%

といった結果で、プロジェクト管理が重視されている様子がわかります。またベトナムにおいては、60%の求人が上記資格を持っている人に対して高い給料を支払っているという特徴があります。

3-3. ベトナムのITエンジニアは、どこで開発知識を深めているのか?

上記画像はTEACKTALK.VNのTOPページ

MEDIUM:新しいテクノロジーを掲載するサイト
UDEMY:eラーニングサイト
TECHSTACKS.IO:技術系のBLOG
GITHUB:ソース管理のサービス
・TECHTALK.VN:技術系のBLOG

などがあり、その中でもベトナムのITエンジニアにとっては「tecktalk.vn」「Viblo」「toidicodedao」の3個所が特に人気があります。

3-4. ベトナムのITエンジニアは、どうやって勉強をしているのか?

・電子書籍(ebook)をダウンロード:49%
・イーラーニング(オンライン):31%
・Github-Stackoverflowでの研究:76%
・短期の研修コースに参加して勉強:10%
・Tech系のイベントに参加:31%

プログラミング言語やIT技術の勉強にあたってベトナム語で書かれた書籍の数が少ないため、オンラインで英語の説明を読んで勉強する、PCを使って電子書籍で勉強するという回答が多いのが、特徴的で日本とも異なる点だと思います。

それゆえベトナムのITエンジニアは、会話は得意でなかったとしても読み書きは得意とするエンジニアが多いです。

4. 求人募集から見えてくるベトナムITのトレンドとは?

ベトナムのIT企業が注目する分野のテクノロジーとしては、「フレームワークのLARAVEL」「React Native」「DOCKER」などがあります。

4-1. ベトナムにおいて人気があるWEBフレームワーク

・Angular JS:12%
・React JS:15%
・JQuery:16%
・Laravel:15%
・Code lgniter:10%
・Spring:8%
・Ruby On Rails:4%
・Diango:5%
・Symfony:5%
・Phalcon:1%
・Vue JS:1%
・Others:10%

フロントエンド系の開発フレームワークが人気ですね。

4-2. ベトナムでのMobile向け開発における傾向

・Android:28%
・Xamarin:3%
・ReactNative:13%
・Ionic:6%
・Phonegap:3%
・Others:13%
・iOS:34%

iOSの方がAndroidよりも若干多く、ハイブリッドのReact Nativeはまだ少ないです。ちなみにTopDevでの求人において、10%はモバイルに関する開発だったとのこと。

4-3. 世界のテクノロジー傾向やまとめ

このレポートでは、ベトナムだけでなく世界的な傾向(開発におけるトレンドワード)についても触れられており、「JavaScript」「BIG DATA」「IoT(INTERNET OF THINGS)」「DOCKER」「クラウドコンピューティング」「ネットワークセキュリティ」などの分野で求人が高まっていると紹介されています。

また全体としての総括では、

◆社員に長く働いてほしいなら福利厚生などベネフィットをうまく活かすべき
◆現在求人は2014年に比べて2倍超に膨らむなどIT人材のニーズは年々拡大している
◆今ベトナムで一番人気があって重要なスキルは、JavaScript関係
◆2017年は、LARAVELがより注目されてきた

といったポイントがあげられていました。以上のデータがベトナムでオフショア開発をお考えの方々にとって参考になれば幸いです。

5. ベトナムでオフショア開発をするなら現地を熟知したバイタリフィへ

ベトナムへ進出されるならホーチミンで約9年、オフショア開発・アプリ開発を展開しているバイタリフィバイタリフィアアジアへお気軽にご相談ください。

ベトナムでのオフショア開発において『Javascriptを使ったフロントエンド開発』や『アジャイル・スクラムでのサービス開発』も得意としております。またベトナム向けIT・WEBサービス/アプリの開発支援、ローカライズ、テストマーケティングといった進出支援に加えて、日本や他国向けのオフショア開発やアプリ開発も行っております。

本ページ内のデータ/グラフ/画像は、TopDevの資料から引用したもので、その権利はTopDev社に帰属します。またTECKTALK.VNのTOPページ画像は、TECKTALK.VNへ帰属します。

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