「Unityができることって何?」
「ゲーム意外にもできることはあるの?」
アプリ市場が高まっている昨今、Unityという言葉を耳にする機会も増えてきました。
本記事では、そもそもUnityとは何か?といった基礎知識からUnityでできることを解説していきます。Unity(=ゲーム)というイメージをもった方にも、ゲーム以外の活用方法を紹介していきます。ぜひご一読ください!
目次
1. そもそもUnityとは?
まずはそもそもUnityとは何か?
Unityとは、ユニティ・テクノロジーズが開発・提供している世界最大シェアを誇るゲームエンジンです。ゲームエンジンとは、ゲームを開発するために作られた統合開発環境のことで、開発の際によく使われる機能がまとめて提供されています。そのため、ゲーム開発初心者でも比較的簡単にゲームを開発することができます。
2. Unityを用いるメリット
Unityを用いたゲーム開発の大きなメリットを3つ紹介します。
- クロスプラットフォームに対応
- 3Dゲームが手軽に開発できる
- ゲームに必要な素材をダウンロードできる
では1つ1つ解説していきます。
2-1. クロスプラットフォームに対応
まず1つめのメリットはクロスプラットフォームに対応していることです。
クロスプラットフォームとは、Windows・MacOS・iOS・Androidなど異なるプラットフォーム上で同じ仕様のアプリケーションを動作させることを可能にしたプログラムです。
従来のゲーム開発では、同じ内容のゲームであってもプレイするデバイスに合わせて開発しなければなりませんでした。しかし、Unityで開発したゲームは様々なデバイスに対応させられるようになっています。PCであればWindowsやMac、モバイルであればiOSやAndroid、家庭用ゲーム機であればNintendo SwitchやPlayStationなどに対応させることができるため、効率的な開発を実現することができます。
参考記事:クロスプラットフォームとは?種類やメリットデメリット、事例をご紹介
2-2. 3Dゲームが手軽に開発できる
2つめのメリットは3Dゲームが手軽に開発できることです。
3DゲームはCGモデルを使ったような立体的な設計のゲームのことを指します。
通常、3Dゲームを開発するには専門的な知識が必要です。しかし、Unityには3Dモデルを動かすためのライブラリがデフォルトで備わっています。重力や当たり判定のライブラリも標準搭載されているので、3Dゲーム開発初心者であっても比較的簡単に開発できるようになっています。
2-3. ゲームに必要な素材をダウンロードできる
3つめのメリットはゲームに必要な素材をダウンロードできることです。
ゲームの素材はUnityが提供するAssetStoreというショップからダウンロードできます。素材には3Dモデルやサウンドなど、様々な種類が揃っています。他の開発者が制作した素材を活用できるため、開発を効率的に進められるようになります。なおAssetStoreでは有料で販売されている素材が多いですが、無料で利用できる素材も存在します。
3. Unityのデメリット
次にデメリットの解説です。ここではよくあげられる2項目を紹介します。
- 起動が遅いと言われている
- 大規模で複雑なゲーム開発には適さない
では解説していきます。
3-1. 起動が遅いと言われている
1つめのデメリットは、Unityで制作されたゲームは起動が遅いと言われている点です。
起動速度を改善する方法もありますが、根本的な解決はできないのでこの点は念頭に置いて開発を進める必要があります。
3-2. 大規模で複雑なゲーム開発には適さない
2つめのデメリットは、大規模で複雑なゲーム開発には適さない点です。
Unityは初心者でも使いやすい仕様になっているものの、複雑な処理を行いたい場合はコードが複雑になる傾向があります。特に高速な処理を実現しようとするとコードが複雑化しやすいため、大規模かつ複雑なゲーム開発の際はUnityではなくUnreal Engineなど他のゲームエンジンを使うのが一般的です。
4. Unityでできることとは~ゲーム以外も併せて紹介~
「じゃあ改めてUnityができることって何?」
前章でもUnityができることについて触れていますが、本章では改めてUnityを用いることで何ができるのか?について解説していきます。
4-1. 2Dや3Ⅾゲームの開発
まず1つめは2Dや3Dゲームの開発ができることです。
Unityでできることは多岐にわたりますが、2Dや3Ⅾゲームの開発が最も代表的でポピュラーです。Unityが一番得意とする分野といってもいいでしょう。
4-2. XR(VR、MR、AR)コンテンツの開発
2つめがXR(VR、MR、AR)コンテンツの開発を行えることです。
各コンテンツの意味は以下です。Unityを用いれば各種コンテンツを制作することが可能です。
- VRとは仮想現実のことで、バーチャルな世界をユーザーが体感できる技術を指します。
- ARとは現実世界を仮想世界を反映させる技術のことで、拡張現実と訳されます。
- MRとはARを発展させた技術です。複合現実と訳される技術で、ARとは異なり仮想世界の物体を現実世界の物体のように操作できるのが特徴です。
- XRコンテンツの制作には高度な知識とスキルが求められますが、UnityにはXRコンテンツ制作に必要な機能がライブラリとして提供されているので、専門的な知識やスキルがなくても制作することができます。
関連記事:ビジネスシーンでも拡大中?VRとARの活用シーンや今後の可能性
4-3. デザインをプレゼンテーションに
3つめがデザインをプレゼンテーションに落とし込めることです。
例えば、自動車産業では車のデザインをプレゼンテーションに落とし込む際に重宝されています。自動車のデザインは承認されるまでに何度も修正が行われるのが一般的なので、デザイナーはデザインの修正案を早急にプレゼンテーションに落とし込むことが求められます。
こんな時にUnityを活用すれば効率的にデザインをまとめることができ、デザイン承認までの時間を大幅に削減できるようになります。
4-4. シミュレーションを行う
4つめがシミュレーションを行えることです。
例えば自動車のシミュレーター作成にUnityが活用されているケースもあります。VRを活用したシミュレーターを活用すれば、実物の車体を用意する必要もなく自動車の確認を行えるようになります。
また、医療業界でもUnityが活用されています。例えばUnityを活用し、関節や筋肉などの動きを再現したり、手術前にリアルなVRシミュレーターで予行練習を行ったりできます。
4-5. バーチャル空間を作る
5つめがバーチャル空間を作れることです。
例えば建築業界においては、施行中の現場をバーチャル空間に再現するシステムや賃貸用物件の室内をVR上で再現してバーチャル空間上で内見を可能とするシステムがUnityで制作されています。
4-5. Unityでできることをまとめると
Unityはゲーム開発の印象が強いプラットフォームですが、実際はゲームやXRコンテンツの制作だけでなく、自動車産業・医療業界・建築業界など様々な業界で活用されています。
5. Unityでできないことや苦手なこととは
「逆にUnityができないことって‥?」
ここからはUnityでは実現できないこと、また苦手なことを紹介していきます。
前提としてUnityでできることは多岐にわたるものの、できないことや苦手なこともいくつかあるので注意が必要です。しっかり押さえておきましょう。
5-1. 音声の編集
1つめのできないことは、音声の編集です。
ゲームには音楽が流れていることがほとんどですがUnity内で音楽を編集することはできません。そのため、音声ファイルを開発に用いたい場合は、DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれる音声制作用のアプリケーションを活用して音声ファイルを制作した上で、AudioClip AssetとしてUnityに取り込む必要があります。
5-2. 描画制作
2つめのできないことは、描画制作です。
Unityではグラフィックを描画させることはできますが、制作するための機能は備わっていません。したがって、画像についてはグラフィック作成用のアプリケーションを使って画像ファイルを作成し、Texture Assetとして取り込む必要があります。3Dモデルについては、DDC(Digital Content Creation)と呼ばれるツールを用いて作成した3DモデルをModel Assetとして取り込まなければなりません。
5-3. テキスト表現が苦手
3つめはテキスト表現が苦手なことです。
特に、カーニング(文字間隔)の調整が苦手と言われています。文字間隔はデザインにおける重要な要素となりますが、Unityの標準テキストにカーニング機能は備わっていないため、場合によっては文字を画像に書き出して対応しなければなりません。なお、標準テキストの後継となるTextMushProにはカーニング機能が搭載されていますが、文字間隔の調整ができるのはテキストボックス全体に対してのみで、文字間隔を1文字ずつ調整することはできません。
5-4. アウトライン描画が苦手
4つめはアウトライン描画が苦手なことです。
アウトラインを描画するためのOutlineというコンポーネントが提供されており、この機能を活用することでテキストや画像にアウトラインを付与することができます。しかし、このOutlineで付与されたアウトラインは決してクオリティが高いわけではありません。特に、アウトラインの幅が大きくなるほどクオリティが下がるので、高いクオリティのアウトラインを加えたい場合は画像側に入れる必要があります。
5-5. Unityができないことや苦手なことをまとめると
Unityはゲームなどの開発には適している一方、音声・画像・3Dモデルなどゲーム開発に必要な素材の制作はできない、苦手としている点は注意が必要といえます。またマスク表現やドロップ車道表現、アルファ表現も苦手としているので注意が必要です。
6. 具体的なUnityの活用事例とは?~こんなものまでUnityで作られていた~
「市場で見られるUnity活用事例って?」
ここまで読んで、実例が気になった方もいるでしょう。本章では具体的なUnityの活用事例を紹介していきます。もしかしたら、見かけたことがある事例もあるかもしれません。
6-1. ゲーム開発
まずは1番ポピュラーなゲーム開発の事例です。
「ポケモンGO」
Unityで作られたゲームの1つめはポケモンGOです。ポケモンGOは、ポケットモンスター(略してポケモン)の世界を体験できるゲームで位置情報を活用することで、現実世界と連動させたゲームを体験できます。
「白猫プロジェクト」
Unityで作られたゲームの2つめは白猫プロジェクトです。白猫プロジェクトは3DアクションRPGで、全ての操作を指一本で行うことができます。
「スーパーマリオラン」
Unityで作られたゲーム3つめはスーパーマリオランです。スーパーマリオランは、本格的なスマホゲームとして作られた、マリオを走らせたりジャンプさせたりするゲームです。
「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」
Unityで作られたゲーム4つめはドラゴンクエストVIIIです。これは、ニンテンドー3DSで登場したゲームであり、後方視点の3Ⅾグラフィック技術が用いられたリアリティあふれるゲームです。
「バイオハザードアンブレラコア」
Unityでつくられたゲーム5つめはバイオハザードアンブレラコアです。これは、プレイステーション4を用いるゲームであり、バイオハザードの世界感が細かく再現されたゲームです。
6-2. 医療分野
次に医療分野で用いられる事例です。
「teamLabBody-3D Motion Human Anatomy-」
人体解剖学に関するアプリで、人間の骨格や関節の動きを3Dで忠実に再現できたり人体の3D模型や各部位の詳細を表示させたりできます。2Dのテキストで学ぶよりも分かりやすいため、主に教育目的で利用されていますが、治療や手術の計画立案にも活用されています。
2013年のUnity Awardで「Best VizSim Project」賞を受賞しており、大阪行岡医療大学にデジタル教科書として導入されるなど高い評価を得た事例ともいえます。
6-3. 不動産
次に不動産で用いられる事例です。
「竹中工務店のvisiMax Mobile」
建物の内部や外部の様子をVRで体感できるドーム型のシミュレーターです。持ち運び可能なシミュレーター内部にUnityで作成した3D空間を投影することで、実際の建物の内部にいるかのような体験を得ることができます。素材の質感、高さや広さの感覚、時間帯や季節による日当たりの変化など、模型やCGでは確認しにくいポイントを設計段階で体感できるので、施工後のイメージの食い違いを防ぐことが可能です。
6-4. メタバース
最後にメタバースで用いられる事例です。
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のことで、ユーザーは自身の分身であるアバターを操作して空間内を散策したり、他者とコミュニケーションを取ったりすることが可能です。
メタバースの中でUnityは、多人数でコミュニケーションが取れるソーシャルVRアプリの「VRChat」、バーチャル空間内に入って公開されているワールドを散策したり他のユーザーと交流したりできる「cluster」などの開発に用いられています。
参考記事:メタバースとは?注目の背景やメリット・デメリットを解説!
7. Unity開発が得意な会社5選
ではここからは最後に、Unityを用いた開発を得意としている会社を5つピックアップしてご紹介していきます。
Unityは、初心者でも比較的簡単にゲーム開発やXRコンテンツの制作などを行うことができますが、高度なゲームやXRコンテンツを制作する場合は外部の開発会社に依頼するのがおすすめです。
ぜひ参考にしてみてください!
おすすめ1:株式会社バイタリフィ
まず1社目は東京都渋谷区に本社を構えるバイタリフィです。バイタリフィはベトナムのホーチミンとハノイに開発拠点を持っており国内開発やオフショア開発事業を展開しています。
バイタリフィは、Unityに特化したアプリ開発を得意としており、3DデザインやAR・VR、バーチャル空間の開発にも対応しています。また、ベトナムにUnity開発の専門スタジオを構えており豊富な人材を抱えていることからスピード感をもった開発を行えます。
参考記事:2022年度までにハイパーカジュアルゲームを100本開発します【Colorful Tails社 インタビュー】
おすすめ2:SAT-BOX株式会社
2社目はSAT-BOX株式会社です。SAT-BOXは、愛知県名古屋市二本社を構える企業で、UnityやJavaなどを活用したアプリ開発を行っています。これまでに100以上のタイトルをリリースしてきた実績があり、幅広いアプリ開発に対応することが可能です。また、すでに公開されているアプリをカスタマイズすることで、低コスト・短納期での納品も実現しています。ゲーム開発技術支援も行っており、スタッフをクライアント先に派遣して常駐させてのサポートも行っています。
おすすめ3:株式会社エスカドラ
3社目は株式会社エスカドラです。エスカドラは東京都世田谷区に本社を置く企業で、Unityなどを用いたコンシューマーゲームやスマホアプリの開発を得意としています。他社ゲームの移植開発も数多く手掛けており、過去には全世界1,000万ダウンロードを突破しているファンタジーリズムゲームアプリ「DEEMO」のNintendo Switch版の開発を担った実績もあります。
おすすめ4:株式会社ウィズ
4社目は株式会社ウイズです。ウィズは大阪府大阪市に本社を構える企業で、システム開発を中心として事業を展開しています。大手企業との取引実績も豊富なので安心して依頼することが可能です。Unity開発に関しては主にAR開発を得意としているため、ARを活用したアプリ開発を外部に依頼したい方におすすめです。
おすすめ5:株式会社シンクロジック
5社目は株式会社シンクロジックです。シンクロジックは、神奈川県横浜市に本社を構える企業で、モバイル向けのゲームアプリ開発、オンラインゲーム制作、組込み系・オープン系のソフトウェア開発などを手掛けています。また、Unity制作も手掛けており様々なゲーム開発実績を保有しています。
8. まとめ
Unityはゲームを開発しやすいプラットフォームであり、2D3Dゲームの開発だけでなくXR(VR、MR、AR)関連の開発も行えます。また、ゲーム以外にも医療や建築など幅広い場所でも使われており、活用の幅が広がっていると言えます。
昨今注目されているメタバースにも活かせるUnity。ぜひ理解を深めていきましょう!
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