ベトナムの医療

2020.12.02

ベトナム情報

ベトナムの医療システムはレベルが低いって本当?

ベトナムで過ごす上で不安な要素となるのが「医療」。日本のようにスムーズな診療が受けられるのか、医療レベルはどのくらいなのか気になりますよね。

今回は、ベトナムの医療レベルがどのくらいなのか、どんな病院があるのかをご紹介していきます。

1. ベトナムの医療レベルは?

近年は諸外国からの援助などもありベトナムの医療レベルも上がっていると言われていますが、やはり日本と比べるとまだまだ足りていない部分も多く、特に都市部以外ではその水準は大きく下がります。

ベトナムの都市部の病院でも対処できない場合はシンガポールやタイなどの近隣諸国に搬送されることもあり、その場合の医療費は高額になります。

また、東南アジアでは蚊を媒体とした感染症も多く、ベトナムも感染症でなくなる人が毎年10%程度います。病院の衛生状態も良いとは言えず、病床が足りないために野戦病院のようになっているという報告もたびたび聞かれます。

新型コロナの状況下において、ベトナム政府は徹底した隔離を行って感染拡大を防いでいます。それは、ベトナムの医療制度では対応に限界があることを政府が認識しているため、重症者が増えないように事前に防ぐことに重きをおいているという理由もあるでしょう。

とはいえ、今回のコロナ禍で一度重症に陥った患者を人工心肺装置ECMOを使って治療し回復まで持っていくなどその医療レベルの向上もみられ、今後もよりよくなっていくことが期待されます。

2. ベトナムに健康保険はある?

日本ではほとんどの国民が健康保険に加入しており、病院にいくと保険適用の診療であれば医療費の3割負担というシステムがあります。また、一定額を超えた高額な医療費を支払った場合は申請すれば高額療養費で払い戻しが受けられるといった精度があり、他国に比べても充実した健康保険制度があります。

一方ベトナムも政府が運営する健康保険制度があります。基本的に国民のほとんどが加入対象であり、ベトナムで働いている外国人も入ることになります。ベトナム国民の中でも、自営業者や農業従事者などは任意加入となるようです。

2020年時点で、ベトナムでは医療保険加入者数は8670万人で全国人口の89.6%に達しており、政府は2025年には95%まで引き上げることを目標としています。

健康保険の対象となるのは、病気の診療、治療やリハビリ、妊娠したときの胎児の定期診断や出産の他、特定の病気の早期発見や検査を目的とする診断、薬・医療用品、病院への輸送費です。

医療費の60%~100%が健康保険でカバーされますが、保険が適用される医療機関は決められています。日本ではどのような病院に行っても、基本的には保険適用診療であれば健康保険でカバーされるので、ベトナムで同じ感覚で病院へ行くと対象の病院ではなく医療費が高くなり驚くかもしれません。

そのため、ベトナムの企業は従業員に対し福利厚生として民間の保険に加入させることが多いようです。民間保険であれば使える病院が幅広いため、外国人の従業員でも外資系に行くことができ、万が一の時は安心です。

3. ベトナムにはどのような病院がある?

ベトナムには公的医療機関と民間医療機関があり、外資系の病院も多く存在しています。

3-1. 公的医療機関

ベトナムは、重症患者を高次医療施設に紹介・搬送するレファラルシステムを採用しています。患者はまずは郡医療機関に行き、そこで対処できなければ省医療機関へ紹介されます。より高度な対処が必要と判断されれば、中央医療機関へ搬送されるという仕組みです。

これにより保険診療の対象となり、医療費を安く抑えられます。

ただし、中央医療機関はすでに患者であふれており、病床の占有率は120%を超えています。これは各省や郡の医療レベルでは対処できないことも多いということと、最近では富裕層がこのレファラルシステムを無視して最初から中央医療機関へ掛かろうとするからということも一因となっているようです。

ハノイのバクマイ病院、中部フエのフエ中央病院、ホーチミンのチョーライ病院は3大公的医療機関と言われる病院です。

参考:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/downloadfiles/pdf/countryreport_VietNam.pdf

3-2. 民間病院

特にホーチミンやハノイなどの都市部には、民間の病院が多く設立されています。公的医療機関ではまかないきれていないこともあり、政府としても民間病院の設立を後押ししている状況があります。

外国人が多い地域では韓国、フランス、シンガポール、タイ、日本など外資系の病院も多く入ってきており、医療費は公的機関よりも高くなるものの医療レベルも高く、サービスも良いということで多くの人が利用しています。総合外来だけではなく眼科や歯医者などの専門医も常駐していることがあり、都市部であればある程度のレベルの医療にリーチできます。

ホーチミンであればフランス資本のFV病院、日系のロータスクリニック、ベトナム資本ではVinhomeという高級住宅街を開発するVingroupが運営するVinmecという病院にアクセスすることができ、通訳がつくところも多く日本人もよく利用しています。

4. 医療が不安!ベトナムで安心して過ごすには?

ベトナムにおいては日本と同等の医療を受けることは難しいものの、外資系などを使えばある程度は安心できそうです。ベトナムに住む上で大切な3点をまとめておきましょう。

4-1. 医療保険は民間保険にも入っておく

上記で説明したように、ベトナムで働く外国人はみんな公的医療保険に入ることになりますが、それではカバーされないこともあります。また、言葉の通じない国・病院で医療を受けるのは不安があります。日本人は特に、日系の病院もカバーできる民間医療保険や、日本語通訳サービスが使える保険に入っておくと安心できます。

また、具合が悪い時にベトナムの高額な医療費をキャッシュで払うのは辛いものがあります。キャッシュレス診療を受けられる保険に加入しておくのがベストです。

4-2. 信頼できる行きつけの医者を見つけておく

ローカルでも外資でも言葉がある程度通じて信頼できる医者を見つけておきましょう。都市部であれば日本人医師も常駐しているので、一度かかってみてもいいかもしれません。

4-3. 救急の場合に自分のことを伝えるメモなどを持っておく

ベトナムではバイク事故なども多く、急に病院にいく必要があるようなときもあると思います。もし持病があるような場合は、自分の状況を伝えるメモをベトナム語・英語で書いて持っておくと良いでしょう。

ちなみにベトナムで救急車を呼ぶための電話番号は115ですが、ほとんど機能していないと言われていますので、万が一の時はそのまま病院へ電話することになります。交通状況も悪く救急車もすぐにこないことが多いため、タクシーで向かう人も多いようです。

5. ベトナムの医療のまとめ

ベトナムの医療は不安なこともありますが、しっかりと対策をしておけばある程度不安は軽減できます。みんないつ病気になるか、事故で怪我をするかはわかりません。なるべく日頃から備えて安心して過ごせるようにしましょう。

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