海外で生活する、ビジネスをするとなったときに最も厄介と言っても過言ではないのが税制です。各国でそれぞれ異なる税制がある上、日本での手続きとも合わせて考える必要があるため、海外での納税や申告は非常に面倒なものになることが多いです。
ベトナムも例外ではなく、日本ではあまり馴染みのない制度があります。その中の一つがレッドインボイス。いわゆる領収書ですが、日本とは少し違うところもありますので今回はレッドインボイスについて解説していきます。
目次
1. ベトナムのレッドインボイスとは
ベトナムにおいてレッドインボイスと呼ばれるのは、文字通り赤い請求書・領収書のことです。公式領収書と言われることもあります。
日本でも会社の経費で買い物をしたり食事をするときには普通のレシートとは別に領収書をもらうことがありますが、レッドインボイスはより詳細な情報が記載された、政府から公認された形式の領収書という位置付けです。
ベトナムで会社を設立すると当然法人税の申告もしなければなりませんが、法人税の申告のときの損金経理の証憑書類(なんらかの取引があったことを証明する書類のこと)としてレッドインボイスが使用されます。
ビジネスにおいて取引価格が20万ドン以上であればレッドインボイスの発行が義務付けられており、レッドインボイスがあれば経費として計上できるため企業にとってもメリットがあります。
2. レッドインボイスをもらうために必要な情報は?
ベトナムでレッドインボイスをもらうためには、ベトナムでの納税番号が必要となります。そのため、基本的にはレッドインボイス発行はベトナム国内の法人同士の取引がメインとなります。
自分がサービスを受ける側で、レッドインボイスをもらう必要がある場合に必要となる情報は下記のものになります。
・税務コード
・会社名
・会社の住所
予定では2020年11月にレッドインボイスは全て電子化され税務コードなどの必要な情報を伝えるだけで電子レッドインボイスが発行されるようになっているはずです。この場合は取引額20万ドン以下でも発行する必要があるようです。
全ての事業者がきちんとレッドインボイスを発行することが望ましいのですが、実際にはローカルの事業者はレッドインボイス発行を怠ることもあります。例えば、家賃補助などのためには家のオーナーにレッドインボイス発行を頼む必要がありますが、レッドインボイスを発行することで政府から課税対象として把握されるということもあるからか嫌がるオーナーも…。
3. VATとは
ベトナムで会社を経営するにあたって避けられないのがVATです。VATは付加価値税のことで、いわゆる間接税と呼ばれるものです。最終消費者が払うものとなっています。基本的な税率は10%で、水や食糧などの生活必需品は5%です。輸出品、輸出サービスは0%です。
医療サービスや、優遇されているITサービスなどでは非課税になることもあります。レッドインボイスにもこのVATを記載する必要があり、この情報をもとにVATを記載することで控除や還付請求などができるようになるので、間違ってしまうと後々困ることもあり気をつける必要があります。
4. レッドインボイスには何が記載されているの?
日本の領収書は、会社名や個人名、値段、品目がメインの項目ですがベトナムのレッドインボイスはもう少し詳しく情報が載っています。
・発行者の税務コード
・発行者の会社名
・発行者の会社住所
・購入者の税務コード
・購入者の会社名
・購入者の会社住所
・商品名/サービス名
・単価
・個数
・合計金額
・VAT率
・VAT額
・VAT込みの合計金額
・日付
・発行者、サイン/押印
・レッドインボイスの番号
・印刷会社の名前と税務コード(印刷会社に発行を依頼した場合のみ)
5. レッドインボイスを発行しないのはどんなとき?
ベトナムでの付加価値税の申告方法は2種類あります。ほとんどの日系企業は、「控除方式(インボイス方式)」と言われる方法で申告しており、このときにレッドインボイスが必要となります。
もう一つの方法は「直接方式(帳簿方式)」と呼ばれるもので個人事業主や貴金属の売買をする事業者が行う方法です。このときレッドインボイスは発行されず、「売り上げインボイス」と呼ばれるものが発行されます。
6. レッドインボイスの再発行は可能?
紙のレッドインボイスの場合ですが、仮にレッドインボイスを紛失した場合は、発行者と税務署へ紛失届を出して再発行してもらう必要があります。
再発行にあたっては書類を準備しなければならなかったり、罰金を払う必要があったりとかなり面倒なので、紛失には気をつけましょう。
参考*https://manabox-global.com/2018/09/12/redinvoicelost/
7. まとめ
ベトナムでビジネスをする上で非常に重要となるレッドインボイス。ベトナムの法律やシステムは年々変わることが多いため、レッドインボイスについても手続きなどがすぐ変わる可能性はありますが、VATについてなど基本的なことを知っておくことで税務に関する手続きがスムーズに進みやすくなります。
また、海外でわからないから…ときちんとした手続きをしないことで後々トラブルになることもあります。まずは信頼できるエージェントなどに頼むのも検討してみてください。
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