2018年ベトナムでも注目されているのがAIの開発です。以前TopDev社による2017年上期(1~6月)ベトナムIT人材に関するレポートから「開発言語ごとの給与水準」「福利厚生やスキルアップ」の2回に渡って紹介をしましたが、2017年末に最新版『VIETNAM DEVELOPER LANDSCAPE 2017』が発表され、AIエンジニアの給与水準についても紹介されていました。
そこで今回は、ベトナムのオフショア開発でニーズのあるITスキル・開発言語・給与水準の最新状況に加えて、AIエンジンジニアの給与水準・利用している開発言語について見ていきます。
⇒NEW2018年10月12日に最新のITエンジニア/プログラマーの給与水準について新たに記事を公開しました
目次
1. 給料への不満は高いが転職活動は受け身?
最初にこの調査レポート(原文はベトナム語)は、5,000人以上の求職者(TopDevサイトへの登録者)と300社の求人を元に分析して作成されたとあります。まずベトナム人エンジニアが転職についてどのように考えていて準備しているのかについて紹介します。
1-1. ベトナム人ITエンジニアの転職意識
転職についてどのように考えているのかを見てみます。
◆自ら積極的に転職活動をしていないが良いチャンスがあれば転職をしたい:62%
◆転職について考えていない:25%
◆自ら積極的に転職活動を考えている:13%
意外にも「良いチャンスがあれば・・・」といった回答が多く、すぐにでも転職したいので積極的に活動中というのは全体から見て少数であることがわかります。
1-2. どのくらい前から新しい仕事(転職先)を探しているのか?
1年以内 | 37.6% |
1~2年 | 25.4% |
2~4年 | 18.5% |
4年以上 | 14.2% |
仕事を探していない | 4.3% |
とあり、6割近くが1年以上と時間をかけている状況も伺えます。
ちなみに求人サイトへ登録した職務経歴書等については、3割近くがあまり更新をしておらず(定期的に更新をしているのは、わずか6%弱)、一般に思われているほど転職活動に積極的ではないベトナム人ITエンジニアの一面が見えます。
1-3. 給料は自身の能力に見合っていると考えているのか?
期待以上にすごく高く評価されている | 0.3% |
期待よりも高く評価されている | 5.1% |
納得できる水準 | 34.3% |
不満である | 49.8% |
非常に不満である | 10.5% |
であり6割が不満という結果でした。
参考までに以前紹介した2017年上期のレポートでは、不満足が3分の1だったのでそれよりはかなり不満が増えたことになります。ベトナム人ITエンジニアに対していかに納得のいく評価を行えるのかが、オフショア開発における1つの重要なポイントになります。
2. ベトナム人ITエンジニアの職種別の給料水準
Machine Learning | $1,576 |
DevOps | $1,575 |
Mathematics Background | $1,487 |
Data Scientist | $1,455 |
Systems Administrator | $1,393 |
Embedded | $1,235 |
Desktop App | $1,208 |
Mobile Dev | $1,173 |
Database Administrator | $1,108 |
Web Dev | $916 |
QA | $671 |
AIの1つであるMachine Learning(機械学習)のエンジニアの給与水準が一番高く1,576ドルとなり、ベトナムでもこの分野で優秀な人材を取り合っている様子が伺えます。
過去10年のオフショア開発経験を元に、上記数値データでは見えてこない点を補足すると以下の2点があります。
2-1. ベトナムでは給料を手取りで合意するケースが多い
ベトナムでは給与を手取りで提示し合意するケースが多く、(記載は無いものの)これらの給料水準についてもおそらく手取りと思われます。
手取り1,000ドルくらいの人材の場合、会社負担の人件費は1,300ドルくらいになるため、機械学習エンジニアの人件費はおよそ2,000ドルを超える水準でしょう。また旧正月(テト)の時期に最低でも給与1ヶ月分のテト賞与が発生するため、年間の人件費は13ヶ月分で考える必要があります。
2-2. 平均では測れないほど給料の上下に幅があり急激な昇給もある
また上記金額は、あくまでも単純な平均値ではあるため過去の経験や求める能力見合いで非常に幅があります。同じ開発言語を使うエンジニアであってもその能力に応じて日本以上に給与の格差が大きい国です。
例えば入社してから1年以内でも本人の能力次第では2~3倍に給料UPすることが普通にあるため、平均値はあくまでも1つ参考値として考えておいた方が良いです。
3. 2018年の技術トレンド~AI関係やJavaScriptが人気~
最後に現在ベトナムで利用されている開発言語や開発フレームワーク・ライブラリー・ツールと、ベトナム人エンジニアやベトナムのIT企業が関心を寄せている分野(今後利用が増えると見込まれる分野)それぞれについて見ていきます。
3-1. 2017年ベトナムで使われている開発言語
現在、圧倒的に多いのがJavaScriptです。
3-2. 2018年ベトナムで利用が増えるであろう開発言語
AI開発で使われることが多いPythonやRといった開発言語についての関心が高まっており、ベトナムでのAI開発が増えていくであろうことがわかります。
3-3. 2017年ベトナムで使われている開発フレームワーク等
NodeJS | 48.1% |
Laravel | 44.0% |
.NET CORE | 31.4% |
React | 19.1% |
Cordova | 11.3% |
Firebase | 8.9% |
Xamarin | 8.3% |
Hadoop | 5.7% |
Spark | 3.7% |
NodeJSとLaravelが多く、Reactは半分くらいです。
3-4. 2018年ベトナムで利用が増えるであろう開発フレームワーク等
NodeJS | 47.1% |
React | 44.3% |
AngularJS | 33.4% |
.NET CORE | 19.5% |
Xamarin | 11.0% |
Hadoop | 9.8% |
Firebase | 8.3% |
Spark | 5.7% |
VueJS | 4.7% |
Reactが2倍近く増え、続いてAngularJSも挙げられるなどsingle-page applicationの開発が増えていく事がわかります。半年前に弊社へ応募のあったFront-end開発者CVを分析したことがありましたが、NodeJSは無かったものの、ReactやAngularJSに多さなどは同じ傾向です。
3-5. ベトナムで利用の多いデータベース技術
MySQL | 58.6% |
SQL Server | 38.2% |
SQLite | 24.3% |
PostgreSQL | 26.5% |
MongoDB | 20.3% |
Oracle | 16.7% |
Redis | 14.0% |
Cassandra | 3.1% |
こちらについては関心が高い分野というデータはありませんでしたが、MySQLがダントツで続いてSQL Serverの利用者が多いといった傾向がわかり、こういったDBの経験を持つエンジニアでしたら比較的採用しやすいです。
4. ベトナムでオフショア開発をするなら現地を熟知したバイタリフィへ
ベトナムへ進出されるならホーチミンで約9年、オフショア開発・アプリ開発を展開しているバイタリフィ・バイタリフィアアジアへお気軽にご相談ください。
ベトナムでのオフショア開発において『Javascriptを使ったフロントエンド開発』や『アジャイル・スクラムでのサービス開発』も得意としております。またベトナム向けIT・WEBサービス/アプリの開発支援、ローカライズ、テストマーケティングといった進出支援に加えて、日本や他国向けのオフショア開発やアプリ開発も行っております。また最近ではベトナムオフショアを活用したAIの研究開発などにも力を入れております。お気軽にご相談くださいませ。
本ページ内のデータ/グラフ/画像は、TopDevの資料を元に作成したものとなります。