ベトナム国内向けにITサービス・モバイルサービスの展開を考える際に知っておきたいのが、ベトナムではどのような端末(スマートフォン)が利用されているのかという点です。
そこで2017年の出荷台数や売れ筋の価格帯、メーカー(ブランド)ごとのシェア推移、人気機種などについて調べてみましたのでここで紹介します。(表紙の画像は、ベトナムの大手ECサイトTikiのスマホ販売ページより)
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目次
1. ベトナムのスマホ出荷台数を日本と比較
2017年ベトナム国内のスマートフォン出荷台数は、1,356万3,000台となりました。2016年の出荷台数が1,315万9,000台でしたので3.1%増加したことになります。
ちなみに2017年ベトナムの人口は、1月12日付けのNNAにて9,370万人と報じられていますので出荷数=販売数と完全に一致はしないものの単純計算ではベトナム人の7人に1人が1年以内にスマホを購入した計算になります。
日本と比べてみると(2017年データは未発表であったため)1年前の2016年スマホ出荷台数は、966万台(携帯全体なら1,727万台)でした。人口1億2,670万からするとスマホは13人に1人が購入でだいぶ少なくなりますが、フィーチャーフォン(ガラケー)も含む携帯電話全体で見れば7.3人に1人が購入でありベトナムと日本の携帯購入率は、ほぼ同じくらいという意外な結果になります。
ECサイトでも目玉のプロモーション商品にはスマホが多い
(大手ECサイトTikiとSAMSUNGの共同キャンペーンより)
なお2017年1~11月の11ヶ月間におけるベトナムのスマホ販売総額は33.89億ドル(約3,800億円)であり、前年同時期(2016年1~11月の11ヶ月間)の31.27億ドルに比べて8.4%増加しましたが、2015年から2016年にかけては26.3%も販売総額が増加しており、それに比べると伸びが鈍化していることがわかります。
その理由として考えられるのは、ベトナム国内にあるスマホの普及台数で2017年(前半時点?)に4,000万台、今年2018年は6,000万台になると言われているため、若くて購買力がある層にはスマホがほぼ普及してしまい、既に買い替え需要へと市場が変化してことが考えられます。
2. ベトナムで売れているスマホの価格帯推移
2017年1~11月(11ヶ月間)のベトナムで販売されたスマートフォン平均価格は、5,682,000ドン(約2.8万円)でした。ちょうど1年前である同期間(2016年1~11月)の平均価格が5,308,000ドン(約2.6万円)であったので、1年で平均販売価格は7%(374,000ドン(約1,870円))が上がったことになります。
スマホ価格帯ごとのシェア推移を1年を通じて見てみると下記のグラフとなります。
Gfk社が発表したデータを元に作成したグラフ
一番左に2016年と2017年の通年での比較も載せていますが、500万ドン超(約2.5万円)の機種の販売台数が38.9%から44.2%へ伸びる一方、それ以下の価格帯のシェアは減っていことがわかります。
Gfk社によるとベトナムで2017年のスマホ価格帯の売れ筋は、上記グラフの緑色である500~700万ドン(約2.5~3.5万円)でありこの価格帯におけるブランドとしては、SAMSUNGとOPPOが2強です。
2-1. 売れ筋の価格帯(500~700万ドン)におけるSAMSUNG人気機種
大手販売チェーン店のモバイルワールドサイトより。プロモーションで特典を付けて販売中
SAMSUNGは、この価格帯において10月に65.1%、11月に55.3%の市場シェを占めました。具体的な機種名では、J7 PrimeやJ7 Proといった機種になります。
2-2. 売れ筋の価格帯(500~700万ドン)におけるOPPO人気機種
大手販売チェーン店のFPTショップサイトより。ちょうど700万ドンを切る価格で販売
一方OPPOは、この価格帯において10月に23.4%、11月に32.4%の市場シェアを占めました。具体的な機種名では、OPPO F3 と OPPO F3 Liteといった機種になります。また11月には同じ価格帯でF5が発売され、その機種だけで同価格帯において21.9%のシェアを取るなど飛躍しています。
2-3. 高価格帯(1,000万ドン超)の人気機種
またもう1つ伸びている価格帯である1,000万ドン以上(約5万円以上)の高価格帯では、SAMSUNGとAppleが2強であり、iPhone 7、iPhone 7 Plusや、Galaxy S8 Plusといった機種が売れています。
3. ベトナムで売れているスマホブランド(メーカー)の市場シェア推移
では、ここ1年間におけるスマホのブランドごとの販売シェア(台数ベース)を見ていきます。
Gfk社が発表したデータを元に作成したグラフ
高価格帯(1,000万ドン超~)や売れ筋の価格帯(500~700万ドン)など幅広く抑えたSAMSUNG社が圧倒的な存在感であり、現在市場シェアの半分弱を抑えていることになります。また2016年の市場シェアが平均36.7%だったのに比べると、2017年のシェアは平均46.5%であり1年で+10%ほどシェアを高めるなど、強者がより強くなっていることがわかります。
また2018年1月15日付けの記事によるとAppleは2017年12月も入れた通年で、販売台数ベースの市場シェアでは9.2%でしたが売り上げベースでは(高単価がゆえ)ベトナムのスマホ総売上高の24.1%を占めたとあります。
SAMSUNG、OPPO、Appleの3社がベトナムのスマホにおけるメインプレイヤーとして存在感を高める一方、SONYは2017年第2四半期のデータでシェア3%とわずかしかなく、2018年の活躍に期待です。(Appota社:Vietnam Mobile Report Quarter 2 2017より)
4. ベトナムで有名な携帯販売チェーンにおける人気機種Top10
ベトナム全土に展開をしている携帯販売チェーン店でホーチミンなどでも頻繁に見かける、Thế Giới Di Động(モバイルワールド)と、FPTショップにおける人気機種Top10を、販売台数と販売総額から見てみます。いずれもSAMSUNG、OPPO、Apple(iPhone)しかランクインしていません。
4-1. 2017年ベトナムで販売台数が多いスマホTop10
販売台数ランキング | FPTショップ | モバイルワールド |
1位 | SAMSUNG J7 Prime | SAMSUNG J7 Prime |
2位 | OPPO A37 | SAMSUNG J2 Prime |
3位 | SAMSUNG J2 Prime | SAMSUNG J7 Pro |
4位 | SAMSUNG J7 Pro | SAMSUNG J5 Prime |
5位 | SAMSUNG J5 Prime | OPPO A37fw |
6位 | OPPO F1s | SAMSUNG J3 J320new |
7位 | iPhone 6 (32GB) | SAMSUNG J3 Pro J330 |
8位 | OPPO F3 | OPPO A37 |
9位 | iPhone 7 Plus (128GB) | OPPO F3 |
10位 | SAMSUNG A5-2017 | OPPO F1s |
4-2. 2017年ベトナムで販売総額が大きいスマホTop10
販売総額ランキング | FPTショップ | モバイルワールド |
1位 | SAMSUNG J7 Prime | SAMSUNG J7 Prime |
2位 | iPhone 7 Plus (128GB) | SAMSUNG J7 Pro |
3位 | iPhone 7 Plus (32GB) | SAMSUNG J2 Prime |
4位 | SAMSUNG J7 Pro | SAMSUNG J5 Prime |
5位 | iPhone 6 (32GB) | OPPO F3 |
6位 | SAMSUNG S8 Plus | OPPO F1s |
7位 | OPPO F3 | OPPO A37fw |
8位 | OPPO F1s | iPhone 6 (32GB) |
9位 | iPhone 7 (32GB) | SAMSUNG A520 |
10位 | OPPO A37 | OPPO A37fw |
5. ベトナムにおけるスマホユーザーの概要
ではこういった端末を利用している人たちはどういう人たちなのか、参考データとして2017年9月の発表と少し前のデータになりますが、ベトナムのスマホユーザーについてその概要があげられていたのでこちらも紹介します。(Zingやbrandvietnamより)
5-1. スマホの利用者像
◆ベトナム人の93%がモバイルデバイスを持ち、その44%がスマホ(最新のレポートでは55%と急速に上昇)
◆Appota社のデータによると、女性の比率が高まっておりほぼ均衡しつつあるもののスマホユーザーの56%が男性
◆スマホユーザーの平均年齢は低下しつつあるが24歳(この年齢において63%がスマホを保有している)
◆スマホの所有者は、都市部に在住していることが多い
5-2. 利用されているスマホのスペック
◆GfK社によると2017年初期に売れたデバイスの90%がAndroidでサムスン製が47%
◆ベトナム人の68%がAndroidを利用
◆80%超の端末がHD解像度(~720pixcel)のミッドレンジの端末だがフルHDの端末も急速に増えている
◆54.8%の端末がAnndoroid4.4系統
5-3. 次回スマホの購入計画
◆調査回答者の86%が、現在使用しているスマホ端末に総合的には満足している
◆一方でバッテリーの持ち(持続時間)部分への不満がある人は、44%もいる
◆74%の人々が大手チェーン店で端末を購入
◆次回購入時に同じメーカー(ブランド)を使う計画の人は37%
◆45%の人が次回もAndroidを買うと回答し、27%の人は次回iPhoneにしたいと思っている(実際に買えるかどうかは別)
◆次回の予算は、830万VND(約4.2万円)
5-3. スマホの利用状況
◆スマホ1台持ちは45%、2台持ちしている人が41%
◆1日平均4時間36分スマホを利用、最大28%がスマホを持ったまま寝ている。
◆スマホを一番使っているのは、19~21時の時間帯。
◆スマホユーザーの90%がSNSを利用
◆利用時間では、Facebook51%、Youtube51%
◆新しいスマホアプリ(ゲーム40%、その他トレンド35%)に関心が高く、新しいゲームを常に5点インストール済み
6. 2017年ベトナムの携帯契約数やインターネット普及率
スマホ利用数にも関係する携帯電話の加入者(ベトナムの場合ほとんどがプリペイド)について、スパムメールの温床になっている所有者不明なSIMをこれまで2,400万回線(2017年だけで400万回線)も強制解約したため、総数は前年比で減ったりもしていますが、2017年12月31日の報道では1億1,970万契約にもなります。
また2017年12月26日の報道でモバイルインターネット普及率が人口の52.8%とあり、一方でモバイルインターネットの人口カバー率は95%とありますので、スマホ+4Gの増加で2018年もネットユーザーがさらに増えていく事でしょう。
最後にベトナムのインターネット普及率(モバイルに加え光ファイバーといった固定接続も含む)は世帯数ベースで28%、人口ベースでは54%となります。モバイルだけでなく固定ブロードバンドの加入者も2017年末で1,080万契約になり2016年に比べて18.7%増加するなど好調です。
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