「ナッジ理論」を意識する

    どうも。
    伊藤です。

    会社、プライベートにおける言動において、後輩や子供達と接する時に心掛けている理論です。
    そして、物作り(特にUI)においても。
    ナッジは英訳すると「nudge」で「軽く肘で突く(あと押しをする)」という意味になります。

    ナッジ理論とは?

    簡潔に表現すると「無意識に働きかける誘導」です。
    2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者のリチャード・セイラー教授とハーバード大学のキャス・サンスティーン教授が2008年に提唱した概念で「個人に選択の余地を残して、もっともふさわしい選択がなされるように工夫する」というものです。

    言葉だけ見ると当たり前のように感じますが、最後の「工夫」に奥深さがあり、非常に画期的な理論です。

    どのようなシーンで使うのか?

    この理論は様々なシーンで活用されています(できます)。
    学習、部下や子供の教育、対話(コミュニケーション)、Webサイトやアプリの画面、アンケート、店舗のレイアウトなど。

    具体例として、質問方法の実例をご紹介します。
    フランスやベルギーでは「90%」の人が臓器提供に合意していますが、ドイツやイギリスでは「10%」程度に留まります。国民性は違えど同じヨーロッパの中でここまで違いがあるのは何故でしょう?

    実はここまで大きな差がでている理由は「意思確認の方法が違うだけ」という事が分かっています。
    フランスやベルギーでは「提供しない場合は〇をつけてください」と質問していましたが、
    ドイツやイギリスでは「提供する場合は〇をつけてください」と質問していました。

    選んで欲しいほうをデフォルトに設定するだけで、結果を誘導できることがここで証明されています

    人はデフォルトを変えるささいな手間を無意識に避ける傾向があるからです。

    4つのキーワード

    前述したナッジ理論をキーワードで表現すると「デフォルト」という分類に大別されます。
    その他には「フィードバック」、「インセンティブ」、「選択肢の明示」があり、日々の生活の中であらゆる場面で活用されています。

    例えば、「ポイント還元セール」の日に余計な買い物をした事はないですか?
    本来であればその日に必要はないですが、ポイントを得られる(得をする)という仕掛けによって不合理な選択をした経験がある方は少なくないのではないでしょうか?実はこれもナッジ理論(インセンティブ)を活用した工夫の一つです。

    既にお気付きの方もいるかもしれませんが、場合によっては「人心操作」として悪用される危険性もあるため注意が必要です。個人的には「人の背中を押す仕掛けを作る」ために使っていきたいと思っています。

    ではでは。