青春18きっぷで帰省しました

     こんにちは。製作部の本多です。

     

     世間には名前と実態が一致しないものがごまんとあります。品川区にない品川駅、東京にない東京ディズニーランド、東京にもドイツにもない東京ドイツ村。

    品川区にない品川駅。実際は港区にある。
    東京ディズニーランド。東京と言いつつ千葉にある。

     

    東京ドイツ村。東京でもドイツでもなく千葉にある。千葉県民は怒っていい。

     

     青春18きっぷ。これもそういったものの一つでしょう。名前からして18歳以下は購入できないように思えますが、実際は誰でも買うことができます。購入の際、みどりの窓口で年齢確認はされません。青春しているかどうかのチェックもありません。

     

     このきっぷ、一枚買うとJR線普通列車の普通車自由席が5回(人)乗り放題になります。一枚あたり12,050円なので、一回あたりの値段は2,410円。

     

     私はこのきっぷを帰省に使おうと思いました。

     

     私の実家は福島県の郡山にあります。郡山は新幹線の停車駅なのですが、大宮から郡山までの新幹線自由席の値段は6,050円もします。そのため学生の時はもっぱらバスを使って帰省していました。新宿駅から郡山駅までのJR高速バスは大体3,000円前後。新幹線の半額です。

     

     そして青春18きっぷ。2,410円。

     

     安い。圧倒的に安い。これを使わない手はないだろう。鈍行での長距離移動? 任せておけ。私は大学4年の時、就活に疲れて東北一周鈍行列車の旅に出た男ぞ。今更5時間程度の旅路など屁でもないわい。

     

     ところで青春18きっぷには利用期間が設定されています。私は夏季用のものを買ったため、2021年7月20日(火)から2021年9月10日(金)までが利用期間です。詳しくは以下のページをご覧ください。

    https://railway.jr-central.co.jp/tickets/youth18-ticket/

     というわけで時は2021年7月22日、オリンピック開催にあたって政府が権力を振るって集めた祝日に乗っかり、私は鈍行列車で行く帰省の旅に出発しました。まずは渋谷駅まで行き、みどりの窓口で青春18きっぷを購入します。てっきり回数券が五回分もらえるのだと思っていましたが、窓口のお姉さんが差し出したのは一枚の切符でした。

     

     きっぷを手に入れたため、そのままJR湘南新宿ラインで大宮まで行きます。電車に揺られつつ外の景色を眺めます。特に変わったことはありません。いつも通りの都会の景色です。

     

     大宮に到着すると、JR宇都宮線に乗り換えます。といっても直通なので移動はしません。乗っている電車の名称だけが湘南新宿ラインから宇都宮線に変わるだけです。

     

     この辺まで来ると少し景色が変わってきます。10階建以上のビルが極端に少なくなり、都市の切れ目、街と街の間というものが見えるようになります。大抵は田んぼです。それか住宅地。新幹線だとあっという間に過ぎていく景色も、鈍行列車だといかばかりの余裕を持って眺めることができます。新幹線では早過ぎて味わう暇がなく、高速バスだと騒音防止用の柵で囲われて見えなかったりする日本人の原風景的な田園風景も、青春18きっぷだと思う存分堪能することができます。

     

     宇都宮に着きました。ホームに降りた瞬間餃子の匂いがします。餃子消費量全国一位の名は伊達ではありません。

    宇都宮駅。ホームに降りた瞬間餃子の匂いが漂う。宇都宮出身の人はこの匂いを嗅いで「ああ、帰ってきたなあ」と故郷の風を実感するのだろうか。風というかニンニクと油の匂いだが。

     

    旅行に来ているのならここらでちょっと改札を抜け、駅前の店を冷やかしに行ったりするのでしょうが、今回の旅は帰省です。おうち大好きな私としては、できるだけ早く目的地に着きたいわけです。なので漂ってくる餃子の匂いを無視し、いそいそと次の列車、JR宇都宮線黒磯行きに乗り換えます。

     

     ガタンゴトンと揺られながら、ぼんやりと窓の外を眺めます。田んぼ、田んぼ、住宅地を挟んで、また田んぼ。そうして景色を眺めていると、ふと「山の中を通らないな」と思いました。

     

     高速バスに乗っていると、窓から見える景色は大体森です。田んぼと森が交互に来ます。けれども電車の場合、そもそも平らなところにレールを敷くのが望ましいため、山の間に入っていくことはあまりありません。バスと電車では斜面を登ることに対してのコストが大きく異なるからです。だからケーブルカーは重宝され、それ自体が観光名所になったりするのです。違うか。

    それ自体が観光名所となる移動手段。重力がある以上、高さはエネルギーを持ってしまう。あな恐ろしや。

     地球よりも重力が軽い惑星だったら電車でもバンバン斜面を走っていたのだろうか、それとも経済的な合理性を追求した結果、地球と同じようになるべく平らなところを走っているのだろうか、みたいなことを考えていると、黒磯に到着しました。

     

     黒磯は栃木と福島の県境あたりです。おうちはもうすぐです。ワクワクしてきました。

     

     ホームに降りると水の匂いがします。雨が降ったのでしょう。そういえば道中も一雨来たような気がしましたが、異星の交通事情に想いを馳せていたので意識に登っていませんでした。

     

     黒磯から東北本線に乗り、新白河まで行きます。ここまで来ると実家はもう目と鼻の先です。

     

     新白河に到着すると、アナウンスが聞こえてきました。聞いてみると以下のようなことを言っています。

     

    「ただいま〜東北本線下りは〜雨の影響により〜運転を見合わせております〜」

     

     東北本線下り……新白河は郡山と東京の間にある……ここから郡山に行くには東京と逆の方向に向かわなければならない……あれ、東京と逆の方向って上りだっけ、それとも下りだっけ……

     

     下りじゃん。え、帰れないの?

     

     と思ったのも束の間、アナウンスは続けて、

     

    「下りをご利用の方は新幹線で振替え運行を行なっております〜改札で乗車券をお配りしていますので、そちらをお持ちの上で新幹線にお乗りください〜」

     

     というわけで新白河から郡山まで新幹線を使い、かくして私は実家に到着することができました。

     

     13:00にアパートを出て、郡山駅に到着したのが18:00ですから、ぴったり5時間ほどの旅路でした。

     

    感想としては、新幹線では感じられない旅情じみたものを感じられて良かったです。帰省のうち三回に一回くらいはこれで帰ってもいいかもしれないと思いました。

     

    ところで青春18きっぷの残り回数は、今回の帰省で二回使ったためあと三回。利用期限は2021年9月10日(金)なので、あと一月半のうちに少なくとも一回帰省し、一回旅行に行かなければなりません。んん、微妙に使い所に困りますね。特に最後に残った一回分の使い道が難しいです。最後の一回も帰省に使い、復路は新幹線やバスを使う、あるいは18きっぷを使わずに鈍行を利用するというのも一手ですが、それだと一月半のうちに三回も帰省する、とんだ親孝行者になってしまいます。これは困った…….むむむ。

     

    というわけで、青春18きっぷで帰省した話でした。関東近郊に実家がある方は、交通費の節約にどうでしょうか。たまには電車にまったり揺られるのも悪くありませんよ。