盲導犬、パピーウォーカーが終了しました。

    毎度、川勝です。
    盲導犬候補の子犬を育てる「パピーウォーカー」というボランティアに参加させていただきました。
    生後60日の子犬が1歳になるまでの約10か月間あずかります。
    我が家に来たパピーは、2017年5月19日生まれのかわいい女の子で、2018年5月20日に協会に返しました。

    彼女を紹介します。
    名前:クロエ
    性別:女の子
    体重:生後60日時点 約5㎏、1歳時点 約22㎏
    兄弟:オス3匹、メス4匹(ブラック5匹、イエロー2匹)
    両親:ともにブラックのラブラドールレトリバー
    趣味:昼寝、散歩
    性格:ツンデレ、マイペース、甘えん坊、人も犬も大好き

    結論から言うと、10カ月も一緒に暮らしたクロエちゃんがいなくなることはかなり寂しく悲しいですが、
    活動はやってよかったと非常に満足しています。
    簡単に経緯などをまとめたいと思います。

    1、資格を満たしているかチェック
    2、盲導犬協会のWebサイトから申込書をダウンロードして郵送する
    3、しばらく待つ
    4、委託2か月前に連絡あり(面接もあったかな)
    5、委託前説明会が2回
    6、委託式
    7、協会で毎月レクチャー
    8、修了式

    こんな流れです。
    意外と資格要件を満たすのが難しいかもしれません。
    室内で大型犬を飼えること、犬や道具を運ぶ車を所有していること、他に犬を飼っていないこと、長時間パピーをボッチにしないこと、などを満たす必要があります。

    申し込む協会の所在地によっても異なるようですが、神奈川県の場合は申し込みから委託まで6か月くらい掛かりました。ボランティア不足のようですが、タイミングもあるようです。

    申し込んで数か月すると協会から電話があり、7月頃から委託できそうだけど都合はどうかと。
    ぜひぜひ、ということで説明会に参加。
    さらに委託の少し前にゲージやクレートなどを預かって自宅で受け入れ準備を行います。
    こちらで負担するのはエサ入れ、水入れ、ドッグフード、リード、おもちゃ、ペットシーツ、病院代くらいで、
    他のものは支給してもらえます。
    ワクチン代やフィラリアの薬なども支給してもらえるので、金銭的な負担はあまり大きくはないです。
    (自己負担には変更があるようなので、ご自身で直接確認してください)

    ちなみに生まれた日によってアルファベットで管理されており、我が家に来る子はC胎でした。
    Cで始まる名前を付けます。委託日まではどの子を預かるかわからないので、Cで始まる名前の候補を
    男女6つずつくらい提出します。

    そして待ちに待った委託式、
    めちゃくちゃかわいいです。
    かわいいラブラドールを預かることができるのであれば贅沢な要望もないのですが、
    可能ならイエローのメスが欲しかったですが、見事に1/7の確率で希望が叶いました^^
    またCで始まる名前も複数考えましたが、気に入っていた名前であるクロエ(Chloe)と決まったことも嬉しかったです。



    クロエちゃんと呼ぶこともありますが、
    小さいときは「クロ吉っちゃん」「クロ助」などと呼び、
    大きくなると「クロクロ、クロクロ」と呼んでました。
    ほんとにかわいかったです。

    家にきたとき、最初に覚えさせるのはトイレです。
    所定の場所、条件でワンツーの合図で大小をさせます。
    盲導犬候補なのでその辺でトイレをしてしまうと困るので基本は家でするように躾なければいけません。
    8か月くらい経つとベルトをつけて袋にすることもできるようになりました。

    委託から間もない頃は大変です。回数も多く、我慢もできません。
    クロエちゃんは特に多くて、小が20回、大が8回と1日で驚異的な回数でした。
    クンクン嗅いでいたり、部屋の隅っこに行ったり、グルグル回ったりしているのが催している時です。
    それを見逃さずにトイレサークルに連れていき、ワンツーとコールしてさせます。
    クロエちゃんは比較的覚えが早かったですが、それでも夜中に起きたりと大変でした。
    あまり熟睡した気がしない日が続きました。

    そして月1回のレクチャーで盲導犬協会に行きます。
    レクチャーでは夢中作り(犬が人に集中するように)や散歩の練習(人の左に歩かせる)、
    指示語通りに動かす(シット、ダウン、ウェイトなど)、障害物を越える練習、
    盲導犬ユーザーの方の体験談、爪や足の裏の毛のケアなどを行います。

    感心したものがいくつかあり、
    ・できなかったことや悪いことを怒らない。基本は無視する。たとえば甘噛みしてくるのをノーといってもわからないので、甘噛みが始まると離れるようにしたりします。トイレの失敗も無視して淡々と片づけます。
    ・できたこと、よいことを徹底して褒める。グッドグッド!クロエ、グッド!
     犬は嬉しくて同じことをやれば褒められると理解して賢くなっていきます。

    クロエちゃんは無駄吠えもなく、すごく育てやすいおとなしい子だったと思いますが、
    私の育て方がうまくなかったせいか、直らなかった悪癖がいくつかあり、それは少し心残りです。

    あと車酔いがひどかったため(後に改善)、当初はあまり遠出もできなかったのも残念です。
    次の機会があればぜひキャンプとかアウトドアに連れていきたいです。

    代わりに散歩には多くいきました。
    中目黒には毎週行ってましたが、クロエがかわいく、愛想もいいため通行人からも大人気でした。
    近所の子供たちにもオトナにも大人気で、いつも声を掛けてもらいました。
    近所の方とはあいさつ程度の付き合いでしたが、よく話すようになりました。
    犬の散歩をしている方との交流も生まれ楽しかったです。



    そして迫りくる修了式の日。
    リビングでドデンと寝転がり、尻尾を千切れそうに振り、全身で喜びを表現するクロエちゃん、
    私が座っている膝の上に当然のように載って眠りだすクロエちゃん、
    洗濯物をくわえて逃げ回っているクロエちゃん、
    最高の思い出です。

    修了式の日は泣きそうになりました。妻は車の中から既に泣いていました。
    みんな泣いていました。
    最後は首輪とリードを付け替え、係の人に連れられて犬舎に入っていきました。
    クロエちゃんは嬉しそうに尻尾を振って、後ろを振り返ることなく歩いていきました。



    非常に幸せで濃密な10カ月を過ごすことができました。
    これはボランティアをしていたのではなく、クロエがボランティアとして我が家に来てくれていたのだと思います。
    協会の方もパピーウォーカー仲間もユーザーの方もみんな素敵な人ばかりでした。
    フレンドリーで前向きで肯定的でグッドグッドの精神の持ち主です。
    非常に大事なことを学べたと思います。

    番外編
    クロエはこの後どうなるか。
    3~4割の確率で盲導犬となります。
    適性がない場合、家庭犬として「我が家以外」のボランティアに引き取られることになります。
    繁殖犬やPR犬などになる犬もいます。
    一旦盲導犬となり、約10歳の誕生日で引退するときに預かれる可能性があるようです。
    いずれのケースでも犬の幸せを一番に考えています。

    訓練を受け適性試験の後に一度は面会することができます。
    まずはそれを楽しみに待ちます。

    現在、神奈川県盲導犬協会では繁殖犬飼育ボランティアを募集しているようです。
    興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。