毎度、川勝です。
最近マイノリティと思われる層にフォーカスを当てた小説を読んだので紹介します。
「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治 著
丸いケーキを三等分にすることって、皆さんできますよね。
正確に三等分することは難しくても、だいたい三等分にすることって難しくないと思います。
しかし非行少年にとっては難しいケースが多いようです。
絵や文章を写したり、人の話を聞き取って書き下ろすことなども、できない非行少年が多いと。
認知力が弱く、表現力にも問題があるようです。
この時点で反省を促しても、自分が悪いと思っていないケースもあり、表面的な反省態度となります。
認知力を高める訓練、表現力を高める訓練を行うことで再発防止を図っていこうと。
日常生活においても意図と異なって伝わったりするケースも多いと思いますが、示唆に富んだ内容でした。
こちらのせいで伝わっていないこと、
相手側に受け入れる準備がなくて伝わらないこと、
分かっているけどうまく表現できないこと、
話しているうちに脱線してしまうこと、
手段と目的がいつのまにか混在してしまうこと、
認知と表現に起因してコミュニケーションが円滑に進まないことはよくあります。
自分もイライラしがちなので今一度改善に努めたいと思います。
世界平和を望む人にはぜひ読んでもらいたいです。
「アーモンド」ソン・ウォンピョン 著
感情を持てない主人公。殴られても蹴られても痛みは感じるが恐怖は感じない。
祖母と母が目の前で通り魔に襲われてもただ見ていただけ。
その後、激しい感情を持つ全く逆のタイプの人と出会い、主人公が変わっていく。
生まれてから変わらないもの、
接する人や経験など環境によって変わっていくもの、
危機に瀕して変わらざるを得ないもの、
いろいろあって人生おもしろい。
振れ幅のある方がワクワクしていい。
危機はイヤですけどね^^
「流浪の月」凪良ゆう 著
両親が不在で親せき宅に住んでおり、夜ごはんにアイスクリームを食べたい9歳の少女。
居場所がなく自分の世界を探していると、発達障害の青年と出会い、その家で暮らすことになる。
性的な触れ合いはないまま数か月寝食を共にしたあと、出先の動物園で無理やり保護される。
10数年後に二人が再会したとき、周りを巻き込んで運命が動き出す。
人は見た目ではうかがい知れない課題を抱えており、世間の「常識」がその人を苦しめてしまうことも。
最近でこそLGBTQなどのマイノリティに対する理解も出ていますが、自分が常識と思っていることから逸脱するものには素直に受け入れられなかったりします。
遠巻きに見守りなにもしない、
親身に理解しようと努め対応する、
踏み込んでなんとかしようとする、
いろんな対応が考えられます。
この主人公は何もしてほしくないタイプですが、
接する以上は何もしないことも難しいという矛盾。
難しい題材ですがすごく面白かったです。
「かがみの狐城」辻村深月 著
似た境遇の中学生7人が集まる謎の城。それぞれが別々の理由で学校には通えていない。
なんとなく居心地もよく定期的に集まるようになり、謎の城の期限の1年が経つ頃には。
それぞれの心の問題も興味深く、また城の謎が解き明かされていき、物事が繋がっていくときは感動します。
こどもの教育、こどもとの接し方は永遠の課題です。
放置も強制もダメでバランスが必要。
世の中もバランス感覚が重要ですが、人類は子育てからバランス感覚を学んでいるのかもしれませんね。
たまたまですが、マイノリティにフォーカスした小説を続けて読みました。
多様化する社会で優しく生きたいものです。