ごきげんよう、39歳と364日で結婚しました、新婚のモリヤです。結婚2日目に40歳です。晩婚です。この短文に情報が多くて迷子です。
某月某日、文字通り、結婚指輪を「作りに」行ってきました。
元々、アクレード銀座さんでオーダーメイドで作る予定でした(ドイツ製のこちらのリングも質実剛健な美しさがあって素敵でした)が、下見より1週間経っていざ契約しようとすると、ウクライナ進攻の影響を受け、1本につき3万円も値上がりしたので意気消沈して白紙撤回。えっ、3万円なんて一生ものなら誤差? すまん、一般人にはそんなん無理や……。
そんなところに見付けたのが、横浜元町彫金工房でした。結婚指輪でググるとランキング上位でよく目にする、鎌倉彫金工房の姉妹店です。
↓ 横浜元町彫金工房のリンクはこちら
https://yokohama-chokin.com/course/marriage/
結婚指輪手作りコースの平均予算を見て、それなら予算も浮くし大丈夫そうだと、急遽予約を入れました。
朝の回と昼の回があるんですが、昼は先に埋まるので、ここで作ると決めているなら早いうちに予約推奨。
先輩作品集がサイトに載っているので、それを見ながら、わりとガチガチに作りたい内容のイメージを固めてから行きました。もちろん、行ってから見本を見て相談することも全然できます。
2組ずつ向い合わせで席が用意されており、計4組のカップルが同時に制作ができるようになっていました(もう一つ高台に席があったので、特殊な制作をする場合はそこも解放されるのかも)。インストラクター兼職人は2組につき1人ついていて、手際がよいカップルだとサクサク進んでましたが、自力で作るのが難しいカップル同士に当たるとちょっとサポートが大変そうでした。
私とかは全然自力でできなかった部類だと思うので、向かいのカップルもお待たせしたりとお手数おかけしました……。
講習代+制作当日の金属の地金代のみ(当日作り終わった後の重さで計算)なので明朗会計。
結婚指輪コースだと、
金属の素材は
・プラチナ
・イエローゴールド
・ピンクゴールド
・ホワイトゴールド
から、
リング幅は
・1.5mm
・2.0mm
・2.5mm
から(事前予約でもっと太い幅も用意してもらうことは可能)、
デザインは
・甲丸
・平打
・鎚目(平打ちの変形)
から、
表面仕上げは
・クリア
・マット
・ヘアライン
から、
選ぶことができます。
詳しくは公式サイトへ。
~作業工程~
指輪にする金属の種類とデザイン、リング幅を選んだら、作りたい指輪の号数に合わせて地金(金属の棒)を切ってもらいます。(表面仕上げは後で選べます)
まず、金属の切片に火を入れます。温めて柔らかくするため?丈夫にするためかな?
手前の手は私ですが、奥の手は制作をサポートしてくれるインストラクターの手で、夫の手ではございません(笑)
こちらのインストラクターの方、ご自身の結婚指輪はヘアライン仕上げで作ったけれど、結婚何年か経って摩擦ですっかり消えてクリア仕上げのようになったという話が印象的だったので、ここでは変化さんと呼ばせてもらうことにします。
火入れ後の真っ直ぐの金属切片を、ペンチで丸めて行きます。力というよりコツがいるのだと思うのですが、全然変形させられるような力が入らなかった……ほとんど変化さんにやってもらいました。。
なんだか形がおにぎりみたいに見えるので、これをおにぎりと呼ぶことにします。
おにぎりになったら次は正円にしていくのですが、その前に、おにぎりの端と端を繋げるため、金属の薄片を溶かして間に流し込みます。
変化さんの手再び。
おにぎりの切れ目がなくなったら、上に行くほど細くなっている棒(芯金棒)に嵌め、木槌でおにぎりの角を叩いて、角を丸めていきます。すると三角おにぎりがだんだん棒の下に降りてきて丸おにぎりになり、隙間がなくなると同時に目的のサイズにぴったり合わせる感じです。
横からの画角は撮り逃したんですが、棒は竹の節のように刻みが入っていて、その節が上から、3、4、5、6、7号……となっているようなイメージです。
正円になったら軽く磨いて後は仕上げ、ヤスリで内側の黒変したあたりを落としていきます。
結構金粉が飛び散る感じ。
残っていた黒い部分が全部なくなったら、指に当たる内側を目の細かい紙ヤスリでツルツルにしていきます。
わりと何回も巻き替えて、手数を要しました。
表面仕上げを最終決定して、仕上げをしていきます。
私達はマット加工にしたので、外側は雑にタワシみたいなので表面を撫でるだけで済んだので楽でしたが、指輪に沿って髪の流れのようなヘアラインを入れる場合は釘で引っ掻く手間がありますし、クリア仕上げは指輪裏の紙ヤスリと同じことを表面にももっと念入りに行うということで、クリア仕上げが一番大変というのも納得。一番シンプルに見えるものが実は一番手間がかかっているというのも、世の中よくあることだったりしますよね。
指輪裏には刻印も入れられます。
使えるのは大文字ブロック体のアルファベットと数字。ハートも用意があるようです。toだけは半角小文字2字で1字のセットがあるとのことで、それを使いました。
当日持ち帰りの場合は当日入れられるとのことで、自分達で刻印しているカップルもいましたが、位置を合わせるのが難しそうでした。
当日の完成形がこちら。
表面がボコボコしているのは鎚目(つちめ)加工で、最初に金属に火入れをする前に、鏨(たがね)を金槌で打ち付けて、表面に凹みをつけていました。
鏨を打った練習用の板はこのようになります。
~オプションとお支払い~
当日は写真撮影後、こだわりで両脇にミルグレイン加工を頼みました。
この小さな丸が数珠繋ぎになるような装飾のミル加工は自分ではできないので、店に預けて2週間後くらいに受け取りになりました。
ここまでやったらお支払いとなります。
指輪を秤に乗せて、重さ×地金代が計算される形です。
支払いは、
講習代(16,500円)+作業当日の金の地金代+ミル加工代(13,200円)だったので、
11号2.5mm幅K18(3.3g) 合計約86,000円
6号2.5mm幅K18(3.0g) 合計約84,000円
でした。(2022年3月現在)
ミル加工はオプションなので、つけなければもちろんそこの料金はかかりません。
この加工だけは、比較するとアクレードのオプション料金よりは唯一高かったんですが(事前にじっくり調べて分かってはいた)、ミル加工はサイズ直し不可のブランドも多い中、こちらはミル加工してもサイズ直しをしていただけるとのことで、アフターサポートを考えたら致し方ないかな?
ミルグレインを入れてもらった完成形がこちらです。遠目ですが、作業日の中間段階よりいちだんと引き締まって見えませんか?
こっぱずかしいのでそちらは掲載を省略しますが、お店でカップルの記念撮影もしていただけますよ!
~こぼれ話~
ここで誤算が。
当初の予定から頑張り過ぎたのか少し伸ばし過ぎ、6号の予定が6.25号になってしまった結果、手を下に向けたらそのまま落ちてしまうほどの緩さだったので、完成後に詰めることに。
当時なぜか5号のリングゲージが測り直したら入ってしまったので相談の結果、5.25に縮めることをお願いしましたが(このお店は0.25刻みで作れる)、これは完全に下調べ不足の失敗でした。
指輪を普段からつける方ならご存じと思いますが、1日の中でも指の太さはかなり変わり、身体が水平になって血液が上半身にも均等に流れる睡眠後は指が太くなること、夏になると冬より太くなることを知らなんだ。買ってから家で着けていると、1週間のうちに指輪が無事取れそうだなーと思うのはたった半日ほど。暑くなってからは2週間経っても、1時間たりとも取れそうな余裕がありません……。
ほらこんな苦しそう……。
おぼろげな記憶を辿るとこの時以外5号が入った試しはないので、私はそんなに細くないと思い出して5.75号にするか、一般的なブランドは0.5号刻みなので、ここでしか0.25は選べないからと欲を出さずに5.5にしたらせめてもう少し指が楽だったのに……とかなり悔やんでいるポイントだったりします。
貧乏性的観点からは、5.75にしていたら切断分が若干少なくて、精算後に捨て去られた金の勿体なさが少し減っただろなーとか。
ミネラルウォーターも用意されていて自由に飲める状態ではあるんですが、思えば朝からほとんど何も飲まずに乾燥した状態であったなと……あの時は過去最大限に指が細かったと後で実感しました。
一生ものの指輪なので、これから結婚指輪を買う皆様は私を反面教師にして、サイズ感はくれぐれもお気をつけを。
横浜元町彫金工房では何度でも無料でサイズ直しできるとのことですが、一度切ったものを戻すのもただただ2回指輪にダメージを与えると思うと決断できませんし、もしくは伸ばすと内側が磨き直しになるだろうので、夫に作業してもらった部分がなくなってしまうと思うと躊躇しています。
長く使う結婚指輪、練習がてら、シルバーで作って少なくとも1ヶ月着用して様子を見て、自分の指の伸縮に耐え得るサイズを確認してから本番を作るのがベストなんじゃないか?と思いますね。
ちなみに、こちらの工房はシルバーの制作にも対応しているみたいです。
それから、自分で作った結婚指輪でもこんななんで、これから彼女にプロポーズしようと思っている男子は(男子じゃなくても、逆プロポーズでも)、本人でもサイズが分かっていなかったり、つけてみて似合う似合わないが意外に激しくあるものなので、映画などのイメージには騙されず、絶対に、ぜーーーーったいに、勝手に買って用意しておくことのなきよう、お頼みお願い申し上げる次第。あれはイマジネーションの世界だから上手く行ってるんだからね!!!契約締結へのクロージングは顧客のニーズでっせ!
別のプレゼントでプロポーズして、指輪は一緒に買いに行こう、というのが好み問題も回避できて一番事故を起こしにくい気がします。※個人の主観です
さて、ブログ当番なので、恒例の映画紹介、行きます。
『キャメラを止めるな!』(2022・フランス)
カッコいいプロB級映画でした。実に面白かった。
言わずと知れた、B級邦画の『カメラを止めるな!』のリメイク作。
ゾンビ映画を撮っていたら、本当にゾンビが現れて……というストーリー。
これ一本だけ見たら気付かないかも知れないですが、予算の差がふんだんに現れていて、圧倒的に昇華された感があります。
何せ、アカデミー賞を獲った監督ですのでね。
スマートさに予算が現れていて最早B級ではないのだけれど、B級マインドの残っているこの感じ、邦画で言えば『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』とかが近いイメージです。(注:ゼブラーマン2は世間ではそんなに評価は高くないですが、観る相手が層を間違えたのであって、私は快作だと思っている) 三池監督より巨匠度はもっと世界的なため、ミシェル・アザナヴィシウス監督ファンからしたらおこがましいのかもですが、三池監督が好きなもんで……(これはすごいと思わせる作品を撮りつつも、ずっこけたくなる作品をも撮り続けるところも偉ぶらず逆にいい。レースで勝ち負けの激しかった、大好きだったウオッカにも通じる……)
フランス版『キャメラを止めるな!』は、下手さの演出も、飽きさせず下手すぎずの絶妙なバランスが実にいちいち上手いのです。
本人に語らせず別の人に語らせることでリアリティや深みが出たり、敢えての失敗の中にも画角が美しい感じ、百戦錬磨。。と、後から振り返ると経験が豊富だからこそのナチュラルさ、足掻いていなさを表せるのだとつくづく実感させる天才を見た思いです。
そして、比べると荒削りではありましたが、日本版の脚本の構造自体が優れていることも再認識させられました。
国によって登場人物の行動や思考回路が違ったりするのも、そうそう、これそれっぽいなと思えるのも興味深かったです。
私は幸運なことに試写会で観たのですが、フランスっぽいな、と思ったタイトルの『キャメラ』に合わせて字幕も”キャメラ”にするところが、試写会には間に合っておらずに”カメラ”なので申し訳ありませんと、運営から謝罪が入ったところがちょっと面白かったです。
日本版にはいない、オリジナルキャラがかなりいい味出していてお気に入り。
円盤が発売されたら買う予定。
原作を観ていないなら、新鮮な衝撃を受けて欲しいので、観ずにここから観るといいよ。
7月15日(金)公開予定。
かなりおすすめなので、どうぞ劇場に足を運んでみてください!!
それでは、またお会いしましょう。
Bye, see you!