海外ビジネスについての考察

    毎度、川勝です。
    弊社はベトナムに法人を構えて6年になりますので、色々な方が視察に来たり、情報収集に来られます。
    私も経営者にお会いできるので嬉しいことも多いのですが、いくつか事前に共有しておくと
    良いと思われる情報を記載させていただきます。

    1、ライセンス取得が難しい
    ベトナムに限らないですが、一般的に東南アジアの各国において外資にて法人のライセンスを取得するには一定の条件があります。自国に置き換えるとわかりやすいのですが、自国にとってメリットのある事業者には外資でもライセンスを出します。たとえば我々のようなオフショア開発会社などです。顧客は外国、労働者は内国、ということはお金を外から持ってきて、自国に落としているので、国から見るとありがたい話なわけです。他、メーカーの工場などもそれに当たりますね。

    逆に飲食店や小売店のように、自国の国民から利益を得ようとするビジネスは外資でのライセンス取得は難しい傾向にあります。ベトナムにおいてもパートナー企業(ベトナム資本)と組むパターンが一般的です。

    また、ベトナムは輸入する商品の1個ずつに申請が必要です。同じ服でもサイズ違いや色違いがあればそれぞれで申請が必要です。けっこう認可までに時間も必要です。輸入品のECサイト運営などはライセンス取得上、困難ということです。

    まずは海外ビジネスを始める前に、そのモデルでライセンスの取得が可能かどうか、また可能な場合、その条件は飲める内容か、を確認したほうが良いと思います。

    ※日本のイオンやドイツのロケットインターネットなどは外資でライセンス取得していますが、かなりの予算を掛けていると思います。


    2、マーケット規模は意外と小さい

    タイ 6800万人
    フィリピン 1億人
    ベトナム 9000万人
    ミャンマー 6500万人
    インドネシア 2.5億人
    ※出展 http://ecodb.net/ranking/imf_lp.html

    この人口だけを見ていると巨大なマーケットに写ります。
    しかし、パーヘッドGDPで見ると、

    タイ  5700usd
    フィリピン 2800usd
    ベトナム 1900usd
    ミャンマー 900usd
    インドネシア 3500usd
    ※出展 http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html

    と購買力がさほど大きく無さそうなことがわかると思います。
    一番大きなタイですら、一人当たり毎月5万円くらいで生活している計算です。
    都市部は数倍と仮定しても購買力はさほど大きくないことになります。

    計算上だけでいうと、タイというマーケットは、
    人口が日本の半分で、GDPが1/8、結果マーケット規模は1/16ということです。
    ちなみにベトナムは、
    人口が日本と同じと仮定しても、GDPが1/20なのでマーケット規模も1/20になります。

    ※購買力やマーケット規模は別の計算式も存在すると思いますが、今回はイメージを持つための単純比較です。


    3、お金の持ち出しが困難

    仮にライセンスの取得が完了し、うまくマーケットニーズを捉えて収益をあげたとします。
    次には税金の問題があります。B2Cビジネスは高額の税率になることが多いです。
    また、税引き後利益が残っても、それを国外に送金するには手続きもかなり大変だし、基本的には10~20%くらいは源泉されると思います。

    頑張って利益をあげても、お金を外に持ち出すのは困難です。
    地産地消が基本です。

    4、その他
    とはいっても、若い購買層が多数いることや、日本の過去のビジネスモデルが通じたり、ビジネスの基本である「解決すべき不便」が多数あるので、ビジネスチャンスは多いと思います。また、現地に根付いて現地の言葉を話し、現地の人と交流して、ビジネスで成功している人も、私の知り合いでも複数名います。
    現地で骨をうずめるつもりで起業すれば、東京で起業するよりも成功確率は高いかもしれません。
    そもそもリビングコストが安く、人件費が安いので、小規模な資本で雇用することができるため、ビジネスの立ち上げは日本より容易です。

    何かの参考になれば幸いです。
    ではでは。