今回も映画の紹介をします。
今回は「ラ・ラ・ランド」です。
本作は「セッション」で注目を集めたデイミアン・チャゼル監督によるミュージカル映画です。
主演は「ドライブ」のライアン・ゴズリング、「アメージング・スパイダーマン」のエマ・ストーンです。
ストーリーは女優志望のミアとピアニストのセバスチャンが惹かれ合い、恋に落ちていくというものです。
本作はアメリカで公開された当時は5館程度の公開だったのですが、1館あたりの平均興行収入2016年の最高記録を樹立し、
規模を拡大、今はボックスオフィスでぐんぐん順位を上げています。
この映画、とにかく評判が良い。
ベネチア国際映画祭でエマ・ストーンが最優秀女優賞、トロントでは観客賞を受賞し、アカデミーの前哨戦と呼ばれるゴールデングローブ賞では作品賞を含む最多7部門を受賞しました。
今年のアカデミー賞の本命と呼ばれる作品です。
「ラ・ラ・ランド」は往年のミュージカル映画を思い出すカラフルな色使いやロマンティックなラブストーリーなどで注目を集めています。
そこでミュージカル映画事情を少し、振り返って見ましょう。
ミュージカル映画の全盛期と言えばやはり1950年〜1960年でしょう。
この時代はトーキーとカラーの定着により映画には音楽と色が溢れていました。
とにかく映画は楽しくてロマンティック、まさに夢を描いていたのです。
屈指の名作と呼ばれる「雨に唄えば」、そして多額の制作費をかけて、なおかつ大ヒットした「サウンド・オブ・ミュージック」など皆さんも知っている映画が多いのではないでしょうか。
しかしこの直後からハリウッドの映画はこの反動を受けたようにアウトローたちの映画が作られ始めます。
映画には血と暴力とそしてアウトローたちの敗北が描かれました。
あまりにも映画が夢ばかりを描いていて、映画館の外にあったベトナム戦争やヒッピー・ムーブメントを無視しすぎていたからです。
このアメリカン・ニューシネマの始まりはミュージカル映画にとっては冬の時代の始まりと言えました。
この後に優れたミュージカル映画がなかったわけではありませんが、決して一時期のような主流の時代ではありませんでした。
では、ミュージカル映画の文化は死んでしまったのか、音楽で楽しさを描かれなくなったのかというとそうではありません。
1970年〜1980年はMVが大流行しました。この流行は映画にも押し寄せ、若者向けのポップな曲が流れ、音楽が映画を楽しく、明るく盛り上げる文化は形を変えて継承されていったのです。
1990年〜2000年あたりになると人気のブロードウェイミュージカルの映画化が始まり、シカゴやマンマミーア、そしてレ・ミゼラブルなどの作品が出てきて、ミュージカル映画の勢いがまた盛り上がりはじめました。
そしてラ・ラ・ランドです。
ラ・ラ・ランドはブロードウェイミュージカルの映画化ではなく、デイミアン・チャゼル監督のオリジナル脚本です。
ミュージカル映画全盛期の特徴をまといながらも、新しい風を作り出していくのではないでしょうか。
ミュージカル映画が好きな人もそうでない人もぜひ「ラ・ラ・ランド」観てください。
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