こんにちは。制作部エンジニアの大竹です。
突然ですが、皆さんはこれ読めますか?
mi di iit hegg.
この一見暗号みたいな文も一応英語です。しかもある程度スタンダードな。
英語の歴史を知っている人なら、言語変化の知識から読めるかもしれません。
正解は・・・
I ate an egg / eggs. (卵を食べた)
となります。
頭から順番に
mi → me → I
di → did
iit → eat
hegg → egg
を意味しています。
この英語はカイブ海域に属するガイアナ共和国で使われるGuyana Englishと呼ばれるもので、元はイギリスから入ってきた英語が独自に発展した「方言」です。
ガイアナ共和国に限らずカリブ海域の英語にはある程度共通の傾向が見られ、文法面でわかりやすいところだと
1.単数形・複数形の区別がない
2.現在形・過去形の区別がない(ので、先程のようにdidに相当する単語を別途付ける場合がある)
3.be動詞が省略される
4.Iとmeの使い分けが無い
というものが挙げられます。
ちなみに、eggがheggになっていたのにも理由があります。
英語はフランス語の流入の過程で、hを発音する単語としない単語が混在することになりました。また、英語単体でもhの音が抜けるよう音変化しやすい傾向があります。(whatとか、hを発音しなくなってきていますね。)
そこで、「正しくするために」hの音を復活させる動きが出てきたのですが、その際に本来hが無かった単語にも誤ってhを付与させるケースが相次ぎました。
heggはその1つで本来hが無い単語でしたが、意図的にhを付与されてそれが定着しています。
「こんなの英語じゃない」と考える方もいるかと思いますが、大西洋三角貿易やイギリス統治下という影響で本場イギリスから入ってきて、イギリスとコミュニケーションを取っていた、れっきとした英語です。
話し言葉がベースになっているためスペルが異なったり発音の変化や方言の影響をもろに受けているだけで、むしろ音を忠実に再現しているため、ある程度のスピードをつけてローマ字読みすれば現代のイギリス人相手にコミュニケーションすることも可能です。(実験済み)
事実このような英語は話し言葉としては通用し、それ故に当たり前のように外国人相手に話す際に用いられるため、国際言語としての英語力はこのような種類の英語への対応も求められてきます。
言語学としての英語学を学ぶと「都度プリセットを切り替える」ような感じで変化の傾向を頭の中で切り替えればいろんな国の人の英語が聞き取れるようになって楽しいので、ぜひグローバル派な方は勉強してみることをおすすめします。
本当はガイアナ英語でもまだまだ紹介できることがあって、さらにアフリカ英語やインド英語、アジア英語と面白い特徴を持つ英語は様々あるのですが、文量が多すぎるのでこの辺で・・・。
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前回「あなたの英語はどこから?「正解」がない英語の世界〜発音編〜」なる記事を書かせていただきました。
初回なので簡単にアメリカ・イギリス・オーストラリアの英語をご紹介しています。
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